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第四十八話 明け方のラプソディ

木陰の中で俺は目を覚ました。

眠る前に見た暗雲とした空模様は見る影も無く、

美しい青空が木々の隙間から覗ける。


「起きた?」


ユーヘルムが頭部程の大きさもある果実を抱えてこちらに歩いて来る。

外套を脱ぎワンピース一枚の彼女は脇が露出してしまっている。

すなわち、視覚的に俺を喜ばせ、更には脇からほとばしる淫靡なニオイによって摩耗したメンタルを元気にしてやろうという彼女なりの気遣いだろう。

陰キャの100歩先を生きる俺こと志摩明里しまあきりは、ユーヘルムの勇気ある行動セックスアピールを見逃す筈がない。

それはそれとして……


「おはようユーヘルム。大分眠ってたみたいだ、迷惑を掛けたな」


「別に迷惑じゃない……気にしないで良い」


そう言いながら脇に抱えた果実に魔力を込めてかち割った。

中から瑞々しい赤い果肉が溢れ出す。


「取り敢えず何か口にして……食べないと体調も回復しないから……」


「そうだな、ありがとう貰っておく」


彼女へ手を差し出す。

しかし何故かユーヘルムは微動だにしない。

もしかして自分の食料は自分で調達しろという事だろうか?

この果実はお前に渡すものではない、勘違いするなボケナスと俺を見る目は訴えているのか?


「これは食べ物じゃなくて身体に塗る日焼け止め……」


「なる……ほど……ね」


ユーヘルムも女の子だ。美容を意識するのは当然であり然るべき事。

食い意地を張って勘違いをしてしまった自分を恥じよう。


「……貴方に塗ってほしいの」


「っ!?」


「貴方……とっても黒くなってるわ……」


ユーヘルムは魔法の鏡を創り出す。

そこに写る俺は確かに日焼けしていた。


「かなり焼けてるな……」


「だから……塗っちゃうね」


ユーヘルムの細く白い指が俺の顔に触れた。

優しく撫でるように日焼け止めが全体に塗り込まれていく。


危ないっ!日焼け止めが目に入らないように瞼を閉じる。

なだらかな指さばきのままユーヘルムの2本の指が鼻の穴に突き刺さる。

そのまま何事も無かったように首まで塗られ作業は終了したようだ。


「終わった……」


「ありがとうユーヘルム、君は塗らなくていいのかい?」


「私は魔力の膜を体の表面に薄く張っているから必要無い……」


そんな事も出来るのか。つくづく魔力とは便利な物だな。


それはそれとして飯を探さなきゃ。


「ここの川、魚捕れそう……」


少し歩いた先に綺麗な小川が流れていた。

早速魔法を使い魚を捕まえようとするユーヘルム。

しかし、その時だった。


「お前たち、待て」


「っ!?、何だ?」


声のする方を向いた先に居たのは、リザードマン……ではなくリザードマンの革鎧を身に着けた

角の生えた女だった。


「あいつは……魔王軍幹部……龍水のリザーネ……」


「龍水の……リザーネ!?」


唐突な邂逅に火花は切って落とされる……!

リザーネの狙いは恐らくこちらの命。

俺の狙いは魔王軍幹部の革鎧を奪い取る事。

さぁ見せてみろ……その内側からはち切れんばかりの胸部装甲を!

日焼けによって黒ギャル男化した俺はいつもより手強いぞ?


赤黒い魔力の瘴気を身に纏う。そのまま背中から放出した。

魔力加速によって一気に相手との距離を縮めた俺は先手必勝を念頭に置いていた。


(一撃で仕留める)


俺の頭の中にあるビジョンを精密な制御によって形にしていく。

相手はまだ、ろくに反応出来ていないのが表情から読み取れる。

甘いぞ魔王軍幹部。

敵の前に出るとき、相応の覚悟をしておくものだ。


接敵!


勢いを殺さぬまま、鎧の金具を魔力を込めた剣先で弾き飛ばす。

驚くリザーネは、しかし無抵抗ではない。

手に持った槍を俺目掛けて突き刺そうとする。

だが遅れたな……既に俺はお前の鎧に手をかけている。


「魔力開放!」


「くっ!何っ!?」


リザーネの長い青髪が風圧によって後ろに流れる。

俺は魔力を込めた剛力で一気に胸部の鎧を剥ぎ取った。


「……!」


リザーネは驚いて言葉が出せない。

鎧の内側から躍り出た、豊満な果実、その人並み以上に大ぶりな先端に俺は吸い付いた……

朝飯、調達したぜ……


抱き着いた状態で時は止まる。


沈黙ののち、後ろから放たれたユーヘルムの魔法が俺ごとリザーネを吹き飛ばした。


大分長い期間更新が出来ず大変申し訳ありません。

少しずつ更新頻度を上げていく予定です。

最後まで読んでいただき本当に有難う御座います。

良かったら評価の方も付けていただけたら大変嬉しいです。

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