第三十二話 魔石と魔獣
煉瓦で造られた廃屋の中に三つの裸体があった。
俺とナッセ、そして食堂の青年だ。
「いやぁ今日は熱いね〜」
全身汗だくのナッセが手で自分を扇いでいる。
これから行為を始めるというのにムードのような物は微塵も感じさせない。
俺と青年はそれなり以上に緊張しているのに対し、場違いなまでにさっぱりしていた。
「ナッセはこういう事慣れてるの?」
「別にそんな事は無いよ、今日はただ別の目的があるだけ」
「べ、別の?」
何故かここで反応する青年。
先程まで性欲に支配されていた顔に陰りが差した。
「んじゃ、ちょっと体見せて貰うね」
「は、離してよ!」
いきなり掴み掛かるナッセ。
俺は背後からその様子を伺いながら彼女の尻筋を視界に捉えた。
ムッチリと筋肉の付いた太腿の上の乗っかるそれは、外側が凹み、中心に尻圧を感じさせる見事な巨尻であった
取っ組み合いながら足踏みをするたび、大きなケツの塊が上下に揺れる。
半身の無駄毛ジャングルを処理していない彼女の裸体は野性的であり、俺の本能が大自然に対する畏敬を感じていた。
ナッセが青年を押し倒す。
「アキメ、少し手伝ってくれるかい?」
「分かった」
二つ返事で答えた俺は、青年の両足を抑えつけた。
魔力で己の肉体を強化し、足が動かないように固定する。
「ありがと!」
仰向け状態の青年の顔にジャングルプレスを決めるナッセ。
恐らく前ジャングルが口を、米ジャングルが鼻に被さる形になった。
苦しそうに足掻く彼と、興奮で充血しきった半身が前後左右に揺れている。
「どっこにあるかな〜?」
ナッセは青年の体を触り、何かを探している。
暗くて見えないのか?ナニは目の前にあるだろ?
「こっちじゃないな、よし裏面!」
こちらに合図を送り、ひっくり返すぞとナッセが言う。
青年が暴れまくって、それどころじゃないので、一応、同性のよしみで手を使い処理してやる。
「あっ、そこ駄目!うっ、うわぁぁぁっ……」
青年が見事なねっとり噴水をかました後、力が抜けたので裏返す。
「あっ!あったねぇ……」
ナッセが示した背中の部分に赤い宝石のような物が埋め込まれていた。
これはまさか……魔石?
「ナッセ、これって……」
「そう魔石だよ。そして、この子は人間じゃない。人に擬態した魔獣さ」
驚愕の真実を告げられ目を見開いて驚く俺。
いったい魔獣って何なんだ?
「魔獣?」
「そう、魔獣カーバンクル。今回の私の依頼なんだ、この子を捕まえるのが」
にっこりと笑うナッセ。
「隠しててごめんねアキメ。カーバンクルは警戒心が強いから、疑念を持たれないように気を付けていたんだ」
「事情は何となく分かったけど、この人どう見ても人間じゃない。魔石が付いている以外は……」
「まぁ見ててよ」
「や、止めてくれ!」
青年が抵抗しようとするが無駄に終わる。
ナッセが魔石に触れながら、言葉を紡いだ。
「「「汝の真の姿を見せ給え」」」
反響したような言葉と共に、青年の体が白い光で包まれる。
光の後に残ったのは30センチ程の小動物であった。
額に付いた赤い魔石は先程見たものと同一であると思われる。
ぬいぐるみのように愛らしい顔と長い耳は、メスになっている俺の庇護欲を駆り立てた。
「か、可愛い……!?」
まさに感動する可愛いさとはこの事。
「カーバンクル君には、これから事情を説明してもらうから、遊ぶのはその後にしようね」
「なんて酷い人達なんだ……」
大粒の涙をクリンクリンの瞳に浮かべ泣き出すカーバンクル。
ひょこっと首をつまみ上げ、愉快そうに笑う全裸女は、さながら狩りを終えたアマゾネスのようだ。
思わぬ事の成り行きに、熱く滾っていた俺の情欲もなりを潜めた。
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