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偽りの聖婚  作者: 凪子
一、邂逅
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帰り道、九曜は送ると言って聞かないので、二人は並んで歩いていた。


壁や柱、看板などそこかしこに、べたべたと手配書が張られている。


そこに描かれた、鋭い目つきをした人相書きが、こちらを食い入るように見つめてくる。


何度も目にしている似顔絵なので、淡雪はすっかりその顔を見覚えてしまっていた。


巫女姫殺しの大罪人、【星降里(ほしふるさと)】の「藍晶(らんしょう)」。


ひと月ほど前に起こった、史上最大・前代未聞の凶事に、この花散里も里中が震撼した。


噂と共に手配書は矢のような速さで各里を駆け巡り、もはや彼は知らない人のない有名人となっている。


淡雪たちの住む小さな大陸には、五つの国がある。


北方の【雪満里(ゆきみつさと)】、南方の【花散里(はなちるさと)】、西方の【風舞里(かぜまうさと)】、東方の【星降里(ほしふるさと)】、そして、大陸中央部にある【月輝里(つきかぐさと)】である。


そこにはおのおの一人の【巫女姫】と呼ばれる、天神地祇を統べる存在がおり、彼女の神託やお告げによる、祭政一致の政治が行われているというわけだ。


その国の一つ、【星降里】で、巫女姫が殺された。


巫女が殺されたためしなど、五つの里が開闢して以来なかった。


巫女姫という支えを失った星降里は混迷を呈し、国土は荒廃し、物の怪と呼ばれる魑魅魍魎が跋扈し、人々は飢えや病に倒れた。


今、星降里はまさに滅亡の危機に瀕している。


その原因となった、巫女姫をその手にかけた人物こそ、藍晶という名の男なのである。


しかも、この話には続きがある。


なんと藍晶は、殺された【巫女姫】の、実の弟なのだという。

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