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偽りの聖婚  作者: 凪子
一、邂逅
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胸元を押さえていると、九曜が覗きこんで、


「どっか悪くしたのか?あいつに何かされたか」


心配そうな顔をするので、淡雪は首を振った。


「いいえ。それより九曜、あなたどうしてここに?神祇官は儀式のために駆り出されているはずでしょう」


痛いところを突いたのか、九曜は渋面になる。


「まさか、サボり?」


「俺がいなくたって何の問題もないんだ、儀式なんて面倒くさいもん出てられっかよ」


「駄目ですよ。そういうこと言ってたら、いつまでたっても準神祇官」


「うるっせえよ!お前まで親父みたいな口利くな」


九曜は怒鳴ると、きまり悪げにふいと視線をずらした。


淡雪は、これはまた父親とひと悶着あったな、と心中で推察する。


祭政一致のこの国【花散里(はなちるさと)】では、最も位が高いのは【巫女姫】と呼ばれる存在である。


彼女は国の中心部である聖都【散花(さんか)】にある神殿【咲耶殿】で守護神【咲耶姫】を祀り、神意を聞き、託宣を下す。


それを元に(まつりごと)が行われるのである。


その下には多くの神官や巫女が仕えている。


そして、巫女姫の側近であり宰相の役割を持つ最高権力者【神祇官長】は、九曜の父親、九雷(くらい)なのであった。


九曜は父親とそりが合わないことが多く、衝突を繰り返していた。


神祇官長を継いで欲しいと願う九雷と、神殿の警護と巫女姫の護衛を司る、神殿内唯一の軍人である【宮主(みやじ)】になりたい九曜。


二人の意思は最初から平行線を辿るばかりであった。

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