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4話 人生相談

一月中旬都心でもチラホラと雪が降る寒空の下、積雪はたいしてないけど交通障害は起きてていて交通期間がストップしてしまうニュースが流れる。この程度で?と笑ってしまう。

テレビに映し出されるレポーターは慌てふためいている。


俺は、夕食後のコーヒーを飲みながら一息つきながらスマホを弄る。チョコをひとかけ食べてブラックコーヒーを飲む。仕事で疲れた日の夜はコーヒーとチョコに限る。甘いものこそが正義だ。チョコの濃厚な甘さがブラックコーヒーと合わさる味が好きだ。甘さの余韻を感じながらもう一口コーヒーを口に含む、程よい苦味にほんの僅かな酸味が心地よい。仕事で疲れた心を優しく癒してくれる。俺は、再びスマホを操作すると、永遠の推しの子であり先日、友達になった叶羽未来のアドレスの通話ボタンを押そうかどうしようかスマホと睨めっこしてやっぱり通話はしないでおこうと決めるが、指先が誤って通話ボタンをタップしてしまい、意図して軽快な電子音が鳴る。慌てて通話を切ろうとするも、3コール目にして通話が繋がってしまう。

ここで通話を切ろうものなら失礼に当たってしまうから俺は、諦めて通話へと出る。


「もしもし、佐藤さんなんですか?こんな時間に?」


「い、いや別に何ってわけじゃないんですけど……」


「酷い!用も無いのに電話してきたんですか?!わたしそんなに暇じゃ無いんですけど!」


「ごめん、すぐ切るよ…」と俺は、慌てて通話を切ろうとするが、「ちょと待って!」と言う彼女の言葉で手を止める。


「冗談ですよ、何か用事があったから電話してきたんじゃ無いんですか?」


「それは……」


「頑張って、わたし佐藤さんの力になれるなら悩み聞くよ。」


「未来たん、友達として人生相談があるんだけど、訊いてくれない。ダメかな?」


「人生相談?」


「そう、仕事関係なんだけど」


「会社内での悩みですかー。」


「まあ、そんなところです」


「わかった!佐藤さんはドルオタだから会社内でドルオタ仲間が居なくてアイドルトークが出来なくて悩んでいるんでしょ!」


「違うよ!会社にドルオタ仲間がいないのは合ってるけど、そうじゃなくて……」


「じゃあ、なんなんですか?」


「実は、今の仕事を辞めたいんだ」


「今の仕事は嫌いなんですか?」


「まあね、仕事は、それなりに出来るんだけど良くも悪くも無くて、やり甲斐とか達成感が得られなくてさ…元々、やりたい仕事じゃなかったし俺には向いていないと思う。」

仕事しながら未来たんを追っかけていたから仕事の辛さも苦にならなかったけど、今は、推しがいないこの生活では持ちそうにない。


「嫌な仕事を無理して続けても辛いだけですからね。クリスマスの夜に、わたしに言ってくれたみたいに、今度はわたしが佐藤さんの背中を押してあげます!」


「ありがとう、未来たん。」



「佐藤さん、わたしは応援していますよ、仕事を辞めること」


「どうせなら二人して幸せになろうよ!」


「なんだか、プロポーズの言葉みたいだね」


どう考えてもそうとしか聞こえないけどこれは完全に言葉のあやだろう。でも、その言葉に俺の胸は高鳴った。


「別に変な意味じゃないですよっ!そんなんじゃないですkらね!」


電話口でもわかるほど未来たんは慌てていた。きっと耳まで真っ赤にしているんだろうな。


「わかってるって」


どう考えてもそうとしか聞こえないけどこれ以上は言及するのはよしておこう。



「ありがとう、未来たん勇気が出たよ。明日、部長に仕事辞めたいって伝えてみるよ」

「実は俺、カメラが趣味で未来たんがアイドルをしてた頃は、ライブ会場やイベントにカメラ持って参加してたんだよ」

「ありがとうございます!」


「どうせ仕事するなら好きなことを仕事に出来たらという憧れがあるんだ。今の社会、仕事を選んでいられないのはわかっているんだっけど、どうしても夢を見てしまうんだよ!」




「その意気ですよ佐藤さんその熱い想いを部長さんに伝えたらいいじゃないですか。ご武運をお祈りしています。」


「ありがとう!じゃあ、またね。」


「はい、おやすみなさい!」


「うん、おやすみ」

未来たんに相談して良かった。自分のやりたいことをやるんだ!そのことを部長に伝えよう。でも、自分の気持ちに正直になってやりたいことをやれるのは学生のうちだけのような気がするが、そんなの関係ない。学生の頃、に読んだマンガにオタク教師が学生に向けて

『自分だけの武器を磨け。そして現実に自分だけのルールを認めさせろ!』と説いていたけど、本当にその通りだ。今の社会自分に、誰にも負けないコレだ!という武器が無ければ夢を掴むことは出来ないだろう。小説家にしても漫画家にしても成功しているのは自分だけの武器を持っている人達だ。俺の武器はなんだろう?

俺が誰にも負けないもの。それは……





まさか未来たんと電話で夜のおやすみを言えるなんて思ってなかった。なんだかほんとに友達みたいだなと思った。













読んでくれてありがとうございます。遅れましたが続きです。



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