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3話 推しと卒コン

年が明け新年の一月。三が日の休みも終わり、新年早々仕事始めだ。他の企業はもっと正月休みを取っていると言うのにうちの会社はそうはいかない。そんな憂鬱な日々の中で嬉しいニュースも飛び込んだ。なんと、今週の土曜日に、未来たんの卒業コンサートが開催されるのだ。未来たんファンの俺は、泣いて喜んだ。だって未来たんの最後の晴れ舞台が見られるのだから!開演は午後一八時からだから仕事を上がってから向かうことができる。


残業なんて絶対にしないぞ!と意気込む。え?フラグが立った?のんなの気のせいだろ。



土曜までの日の経過はあっという間だった。そして迎えた未来たん卒コン当日。


この日は、朝から忙しかった。仕事を残さないように必死で業務をこなしていき、仕事がどんどんはけていった。終業時間が近づいてきてこのまま順調にいけば定時で上がれると思っていた矢先のこと、隣のチームでトラブってしまい急きょ、救援要請を頼まれて、まさかの残業コースとなってしまった。


「佐藤、すまないが今日仕事に残ってくれいいな!」有無を言わせぬ上司頼みの言葉に、俺は咄嗟に言葉が出なく、上司が悪魔に見える。遅れて「はい、わかりました……」と軽く頷く。

これだからブラック企業は嫌だ!ささやかな楽しみすらも奪っていく!と諦観モードになるも気を取り直して、速攻で、仕事を終わらせて、急いで卒コン会場に向かう。


電車に乗り最寄り駅から走って。空から雪が降りしきり、寒さに身を凍えなごら必死で走った。

黒い雪雲が俺の心を映し出しているかのようだ。


会場に着いた時には既にコンサートが終わった後だった。


「クソっ、間に合わなかった!」

ごめん、未来たん必ず行くって約束したのに…と悲しみに暮れてステージ上を見ると、そこはステージ衣装に身を包んだ未来たんが一人佇んでいた。


「な、なんで……」

よく見ると彼女の表情は、どこかくらく、表情が曇っているように見える。それより、コンサートは終わったのになんで未来たんがステージに居るんだ?そのことが気になった。


未来たんは俺に気付くと、「遅いですよ、佐藤さん。なんで卒コン見にきて来れなかったんですか?!佐藤さんにわたしの最後の晴れ舞台を見て欲しかったのに。佐藤さんの嘘つき!」


と語尾を強くして言ってくる。


「ごめんね、急に仕事が入っちゃってさ……」


「もう!わたしと仕事のどっちが大事なの?!用事があるからって途中で帰っちゃえばよかったのに!」


「ごめん、それは出来ないよ。未来たんだって大事なライブがあれば最後まで出るでしょ?」


「まあ、それはプロとして当然のことですけど……」


「俺の仕事もそれと一緒だよ。お得意様からご贔屓ひいきにして貰う為にね」と優しく諭す。二十歳と言ってもまだ子供なんだと思った。


「なんでわたしが、ステージで待ってたっか分からますか?」


「え?なんで?」

本来なら他のメンバーと一緒に舞台裏に下がるのにどうして?まさか、また戻ってきた?なんのために?!考えても訳が分からなかった。


「それは、佐藤さんに特別に個別握手会を開いてあげたいと思ったからです。」


「いいの?俺なんかの為にそんな特別に!」

いや、もう最高すぎるんだけど!未来たんはどうしてそんな良くしてしてくれるのかな?

考えても分からないからその行為に甘んじることにした。


「いいんです!わたしが佐藤さんにしてあげたいからじゃダメですか?」


「そんなことないよ!‘ありがとう未来たん!」


なんていい子なんだ!俺の為にここまで

してくれるアイドルって他にはいないぞ!俺は、神対応過ぎる彼女に最大級の感謝をした。


「じゃあ、始めるよ。佐藤さん」


「うん、お願いするよ」

俺は、咄嗟のことで言うことを何も考えてなかった。俺が未来たんに伝えたいこと。それは……

「今日は、握手会にきてくれてありがとうございます。いつも応援してくれてありがとう!」


「いつも、応援してました。卒業してもこれからも頑張ってください!」

しまった!色々考えていたのに当たり障りのないことしか言えなかった!

「佐藤さん、今日は、もうちょっと喋れますよ。」と未来たんが小声で囁いた。


「わかった」

そうか、ここには剥がしのスタッフは居ない。思う存分、未来たんに想いを伝えられるんだ!そう思い、俺は、言葉を続けた。

「アイドルは、皆後悔しない卒業なんてない。未来たんもやり残したことは沢山あると思う。

でも、卒業しない方が良かったと思うより、次に進むために卒業して良かったと思って欲しい。これから先の君の将来を全力で推していくよ。俺にとって未来たんは推しの子だから……」



「はい!ありがとうございました。お客さんそこまでですよ!」


「ああ、未来たん自ら剥がしをやるんだね。面白い」


「ああは、佐藤さん、わたしのこと推しの子って言ってくれましたけど、普通の女の子になっても推してくえるんですか?」ととはずかしそうに頬を朱色に染めて言う。


「それは勿論!未来たんがどんな人生を歩んでも応援するよ。」


「じゃあ、推してよ、他の子なんかに目もくれないで。」


「わかった!」


最初から、俺が好きなのは未来たんだけでだから未来たんが卒業したら新しい推しの子は

作らないと思う。というか作れない。未来たんを推してるのに他のアイドルを推すなんて浮気じゃないか!


「じゃあ、推しの子の証に……」

「証に?」


「わたしと友達になってください!」


アイドルと友達なんてファンとして彼女を応援していたら有り得ないことだ。


それが、今、彼女の方から申し出してきている。


俺は、呆気に取られて……

「へ??」

と間抜けな声を漏らしてしまった。


「え??」




「い、いや、これはその…普通の女の子になっても推してくれるって友達かなと思って。ダメ、かな……」


「いや今まで推しの子だったのに友達とかファンとしていいのかな?」

「え……」未来たんは瞳に涙を浮かべて今にも泣きそうになってた。


これは、マズイ!


「あ、クリスマスを一緒に過した仲だし、知り合いや友達ならいいのかもしれない」


「じゃあ、友達からでお願いしますっ!」


「わかった、いいよ。」

友達からでか、なんだかその次もあるみたいな言い方だな。まあ、気のせいか……

そんなことは、あり得ないのだから。だからこれは俺の考えすぎだろう。


「ありがとうございます」


「でも、なんで俺なんかを?こんな冴えないオッサンと友達になったっていいことないぞ。」


「それは、痴漢から助けてくれた時から佐藤さんのこといいなと思ってたから……」


「そんなあれは、その場に居た男なら誰でも止めるだろ?」


「ちがう、皆見て見ぬふりだった…佐藤さんだけが助けて来れたの。だから……」


「そうかーじゃあ、よろしくね未来たん。」

こうして俺は、推しの子と友達になった。


***


わたしは、自宅に帰って自室に篭って佐藤さんと出会った今までのことを物思いにふける。

本当は、佐藤さんとの握手会で告白するつもりだった。それは、痴漢から助けてくれた時から好きだったから……

佐藤さんは他の人とは違う。皆、わたしが痴漢されているのを見て見ぬふりだった…

でも、佐藤さんだけが助けて来れた。こんな人はもう出会えないと思った。

佐藤さんの事情聴取をとった警察官から佐藤さんの連絡先を聞いて連絡した。

クスマス・イヴとクリスマスに佐藤さんとデートできて本当に良かった。


卒コンでは想いを伝えられないで友達になって欲しいとい言ったけど、いつか本当の気持ちを伝えられたらいいな。














読んでくれてありがとうございます。


たくさんPV付いて嬉しいです!


面白い。続きが読みたいと思ったら


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★★★の評価もよろしくお願いします。


作者のやる気が上がります。

書き溜めている分は全て投稿してしまいました。


しばらく毎日投稿は、休みます。


日曜日に次話を投稿出来るように頑張ります!

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