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36話 推しと不安なステージ

「美来たんにそんな過去があったんだ……一緒に『放シス』のオーディションを受けた友達はその後どうなったんだ?」


受かったのは美来たんだけだし、またアイドルを目指して頑張ったのかが気になった。


「舞雪ちゃんのことですか?」


「そうそう、あんなにアイドルになりたがっていたのに一度の挫折じゃ諦めないよね?」


「それが、舞雪ちゃんは……『放シス』のオーデに落ちてからもう……」


「まさか諦めてしまったの?」


「そうなんです。あれ以来、アイドルに対する熱が冷めてしまったみたいで、アイドルになる夢は諦めちゃったみたいです」


「そうなんだ、アイドル志した人が皆、なれる職業ではないしな。その経験を活かしてもっと自分に合った夢を追いかけた方がいいのかもな」


厳しいシビアな世界だし、皆がみんな美来たんみたいにカリスマアイドルとして成功できるわけでは無いし、アイドルを夢見て辛い生活を強いられるのなら、他の職業を選んで正解だったとも思える。


「それが、それだけならいいんでしけど、あれ以来、アイドルに対して否定的

になってしまったんです」


「それってアンチになってしまったっていうこと?」



「はい、そうです……」


「そうか……アイドルを夢見ていた子がアンチに堕ちるのは正直悲しいな」


それも、アイドル業界に誘った張本人が自らアンチになるなんんてな、皮肉なものだ……



「じゃあ、もしかして復帰会見の動画配信で『ババドル』ってコメントを送ってきたのって……」


「もしかしたら舞雪ちゃんかもしれません」


「悲しいけど、その可能性はあるよな……」


「そうだ、佐藤さん、大事なお知らせがあるんですけど、聞いてくれますか?」


「お!いいけど、どんな知らせなんんだろう?」



「実は、四人体制となった私たち新生『放課後シスターズ』のお披露目ライブを恵比寿ガーデンプレイスで開催することが決定したんです!」


「おお!それはやったな!」


「嬉しいですか?!」


「そりゃあ、もう最高の気分だな!おめでとう。ところでいつやるんだ?」


またステージ上で美来たんのパフォーマンスが見れると思うと嬉しかった。



「それはですねー、夏休みシーズンの七月二三日日曜日です。観にきてくださいねー!」


「ああ、絶対に行く!」



正直、社畜に夏休みなど無いに等しいけど、開催日が、日曜日なのが唯一の救いだった。


もし、開催日が平日だったら涙を飲むことになっていただろう。


でも、同時に、本音は観に行きたいけど、俺がライブを見に行って、アイドルに復帰したばかりの美来たんにまた恋愛疑惑がまた浮上しないかが心配だった。このまま、一緒に居たらいつかボロが出る。俺という存在が、美来たんにとっての足枷になってしまう。彼女への想いが恋慕から愛情に変わっていることを自覚し、彼女のことを必死で頭から追い出そうとする。


アイドルに恋慕を抱いてもいいが、ガチ恋はするものじゃないな。と一人、自分の気持ちに釘を刺した。

***


新生『放課後シスターズ』のお披露目ライブ当日、わたしは緊張していた。


ファンの前では久しぶりのパフォーマンスに、上手く出来るだろうか?歌唱やダンスの勘が戻らないまま本番を迎えていた。勘が戻らずに失敗しないだろうか?それだけは絶対に避けたかった。


そして、佐藤さんは、わたしのサイリウムカラーの赤ライトを振ってくれるだろうか?の不安。わたしが推しメンだとい言ってくれていたし大丈夫だよね?いざ、恵比寿ガーデンホールのステージに上がってみると不安は更に加速した。


それは、佐藤さんが事前にチケットを渡しておいたにも関わらずVIP席に居なかったのだ。


トイレに席を外しているのかな?と思ったがどうやら違うみたいだ。いつになっても現れる気配がなかった。そんな、どうして……わたしはそんな不安な気持ちの中、ライブが始まった。



一曲目の曲で会場を暖めてから、真凛のMCに入る。


「今日は新生『放課後シスターズ』のお披露目ライブに来てくれてありがとう!うんと盛り上げていくからお姉ちゃんに任せておいてね!」


「皆、元気―?!わたしは元気いっぱいだよー!今日は楽しんでいってね!」と続けて、唯花がマイクを借りる。


そして、最後に美来たんからのMCとなる。


「一度は、アイドルを引退したけど、やっぱり、みんなと一緒のステージに立ちたくてアイドルがやりたくてまた、戻ってきました。こんなわたしで良かったらまた応援してくれると嬉しいです」


と、客席から、『アイドルなのに恋愛とか俺たちを裏切りやがって、よく戻ってこれたなー!!』

『お前なんてアイドルに復帰しないでそのまま引退して、彼氏とよろしくやってれば良かったんだ!』とアンチからの怒声が飛び交う。


わたしは萎縮してしまって声が出なかった。申し訳無い気持ちでいっぱいになる。


それでも中には、『頑張れー!』『気にするなー!』との励ましの声も聞こえてきて、


わたしは勇気付けられて、気持ちを持ち直した。

「こんなアイドルとして至らないわたしですが、精一杯頑張ります。ステージパフォーマンスで挽回したいと思います、どうか見ていてください!」

そうして次に各メンバーの自己紹介に移り無事紹介もを終えて佐藤さん不在の中、セトリを歌い始めるのだった。





読んでくれてありがとうございます。『復帰ライブ編』に入りました。


最後までお付き合いをよろしくお願いします。


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