21話 後輩とお土産
翌日、マシュマロに迫られて抱かれる夢を見た。それは柔らかく気持ちよくてまるでアレに生で包まれているような感触だった。夢にしてはリアルな感触に、これが自前の夢のVRかと感心した。
次第に意識が覚醒していき顔に先ほどの夢のような柔らかい感触を感じて起きてみると、未来たんの胸に顔を埋めて寝ていた。どうりであんな夢を見るわけだ。リアルでマシュマロを抱いて寝ていたんだから。
未来たんの浴衣がはだけ、隙間から見える胸の谷間にドキリとする。思わず、3秒間、凝視してしまった。これ以上は、イケナイ感情に苛まれると思い視線を外す。あんな夢見て俺、変なことしてないよな。恐る恐る股間を見る。
大丈夫だ、爆発はしてない。俺は未来たんを起こさないように起き上がろうとするが、未来たんが、「佐藤さん、待ってくだしゃい……」と寝言を言って抱きついてきて離れようとしない。
俺は、未来たんの腕を優しく剥がして「いい夢見てね」と言いベットを抜け出してトイレへと向かった。スッキリした俺は改めて「未来たん起きて朝だぞ」未来たんを優しく起こす。
未来たんはトロンとした目で俺を見ると、「おはようございましゅ、佐藤しゃん……」
と、未だ、眠たげな様子でまだ夢から抜け出せていないようだ
「まだ朝食まで時間があるからゆっくり頭を起こしてくれ。コーヒーでも飲む?」
自宅から小瓶に移したインスタントコーヒーと砂糖を持ってきていた俺は未来たんに訊く。
「それじゃあ、お砂糖たっぷりでお願いします」
「わかった。ちょっと待ってて」と未来たんに伝えて部屋に供えられていた湯飲み茶碗で加藤コーヒーを作る。
「はい、コーヒー」未来たんにコーヒーが注がれた湯飲み茶碗を渡す
「ありがとうございます。いただきます」
窓際の腰掛けに座りコーヒーをチビチビと飲む未来たん。
小さいテーブルには、昨日、渡した指輪が大事に箱に入れられ置かれていた。
「佐藤さん、確認ですけど、昨日渡してくれた指輪って……」
「ああ、婚約指輪だな。重かった?」
「そ、そんなことないです!嬉しかったです……」
「そっか、それは良かった」
付き合って間もないのに婚約指輪を渡すとか重い男と思われて引かれるかと思った。
俺たちはビュッフェ形式の朝食を食べてホテルをチェックアウトして、夢のリゾートホテルを後にしたのだった。
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ドリームランドから帰って翌日の休み明けの月曜日。都心では桜が咲き誇っていた。
ポカポカ陽気の中、スーツの上から春ものの薄手のコートを着て通勤する。
満開の桜を見ながら通勤した。
春だ。桜の開花を見るともう、春がきたんだなとしみじみ思う。俺の心も、春だ。未来たんと恋人になって同棲生活までして、この上なく幸せだった。
「先輩、おはようございます!」
「おう、おはよう」
会社に、出社すると春風が俺のデスクへと来た。
「いいところに来たな。ほら、春風、お土産だ」
紙袋からムーさんのクッキー缶を取り出して渡す。
「お土産ってこれ、ドリームランドのお菓子じゃないですか!まさか一人で行ってきたんですか?」
「ま、まあな。」
「……マジスか?」
やめろ、そんな可哀想な者を見る目で見ないでくれ。本当は、未来たんと一緒に行ったんだけど、そんなことは言えないから、こうなるよな。
「男の人が選んだにしては可愛い系ですね。先輩って、もしかして乙女趣味だったりして」
「Dストアで買う時点でどれも似たりよったりだろ。」
未来たんが選んでくれたお土産だったけど、やっぱり、可愛いのか?こういうの。
「いや、でも、一人で夢の国行くとか、ボッチの極みっスね先輩。ボッチランド寂しー!まさかここまでボッチを拗らせていたとは」
「うるせー!」
どちらかというとリア充イベントをを満喫してきたからボッチとはほど遠いのだが。
「もうあれですね!」
「なんだよ」
「ボッチ・ザ・オブ・ザ・ロード認定ですね!おめでとうございますw」
「ウゼー」
「ボッチの王だーカッケーww」
「お前、絶対にバカにしているだろ!ボッチの王なんて嬉しくねーよ。あと全然格好良くないからな」
恋人と一緒に行ってきたからどちらかというとリア充の王な気がするが、そんなことを言っても信じて貰えないだんろうし、まあいいか言わせておけば。言われるがまま必死で堪える。
「先輩、一人で遊園地とかどんな気分でしたか?やっぱりリア充爆発しろ!とか思いましたか?思いましたよね!」
「なんで確定的なんだよ!」
いや、どちらかというと、リアルに充実していたからそうは思わなかった。もしろ、超絶美女(外見的には美少女)の未来たんと遊園地デートをしていたから、むしろ妬みのこもった射殺すかのような視線を向けられることが多かった。リア充を妬む危ない輩にも遭遇し、剣を交えた。
未来たんと出会ってなかったら俺もあっち側の人間になっていただろう。
「一人コーヒーカップとか、一人メリーゴーランド寂しそー!一緒に行く友達が居ないなら今度、私が一緒に行ってあげましょうか?」
「うーん。いや、別にいいや。」
コイツの場合はただ遊園地で遊びたいだけだろう。騒がしくなりそうだし、俺はまた未来たんといけばいいしな。
「なんでですかー?!そこは一緒に行こう!って誘いに乗ってくるところでしょー!」
とウザ絡みされた。
「橋本、お前にも土産あるからな。上さんと一緒に食べてくれ。」
自分のデスクに戻って来た俺は隣の橋本に紙袋から取り出して、お土産を渡す。
「僕にもくれるのかい?ありがとう!佐藤は優しいな。」と爽やかな笑顔で言う橋本。
やめろ。そういう顔は女子に向けてくれ!
「同期のよしみだ気にするなよ。」
ふと、熱い視線を感じる。視線の行方を辿ると天城先輩が羨ましそうにこちらをチラ見していた。先輩と目が合うとプイっと目を逸らされた。
昼休み、天城先輩のデスクに行くと「先輩、先日、遊びに行ってきたのでこれ、お土産です」
と春風、同と様にお土産を渡す。先輩は、目を見開き、「キャー!可愛いー、ムーさんのクッキーだー。」と年上の先輩なのに年下のように無邪気に喜んでくれた。
そうそう、これこれ。女の子が可愛いお土産を貰った時の嬉しい反応だった。
「いいの?佐藤くん…貰っても」
「いいですよ。普段お世話になっていますしホワイトデーのお返しも兼ねているので」
あ、春風にホワイトデーのお返しと伝えるのを忘れていたな。まあ、いいか。
「お返しがドリームランドのお菓子だなんて化けちゃったね!」
いやいや、あなたのバレンタインチョコも相当なものでしたよ?
とは言わず、「喜んでくれて光栄です」と照れるのだった。
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夕方アパートに帰り、ゆっくりくつろいでいると
インターホンが押される。
「すいません日中、お隣に引っ越してきた者ですが引っ越しの挨拶に来ました…ってあなたは!」
そこに立っていたのは、先日、ドリームランドで通り魔から助けた、桃色の髪の女の子だった。
「この春から東京の高校に通う為に地元、博多から上京してきたんです。よろしくお願いします」
「そうだったんだ。こちらこそよろしくな」
「佐藤さん、お客さんですか?」とひょこっと未来たんが顔を出す。
「え?!未来たんが佐藤さんの家に!なんしようと?!」
「えっ、これは別に変な意味は無くてだな…-」
「じーっ……」さくらちゃんは、疑いの眼差しで見てくる。
これは、耐えられない!
「佐藤さんとは、一緒に住んでるんだ」
「み、未来たん?!」
あー、言っちゃったよ。これ、まずくない?
「えー!未来たんが同棲してるー!!」
「それも、佐藤さんと。最悪ばい!」
と多いに驚かれた。
読んでくれて、ありがとうございます。
3章開始です。よろしくお願いします。




