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祝福のエピローグ  作者: アレン
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第1話

時を遡れば約千年昔の平安時代



陰陽師と呼ばれた者達は厄災を祓い人々の身の安全と幸福を祈っていた


そして陰陽師の中でも選ばれた一族の者達は妖界で生まれた「惰殺」と呼ばれる穢妖達と戦ってきた


時は進み現代、ついにその戦いは終わり妖界にも人間界にも平和が訪れた






美澪『ん〜、自由って最高』


明楽『だなぁ』




戦いが終わった数日後、場所は美澪と颯清の家に皆が集まっていた、美澪と明楽は床に座り美澪は明楽の足の間に入り込み背を預けながら明楽の手をいじって遊びながら会話している



今までずっと戦いのことで我慢してきたが我慢する理由が消えた今、やっとのことで好きな人と結ばれた美澪と明楽、完全にそれを満喫している最中である





颯清『………いきなり距離が近くて、ビックリ…する……』


桔柳『僕達いるの忘れてない??大丈夫?存在認識してもらえてる???』




もちろん、他のメンバーもいる


いるのに完全にどこか二人きりだけの世界観を作り上げてしまっている明楽と美澪




明楽『ふふん、これでやっと美澪と結婚が…!!』


美澪『あ、それは早いから』


白威『断られてるじゃないかよ』



だが明楽に関しては相も変わらず通常運転な訳で、求婚をまたしているがそれは早いと断れている




蓮璻『はいはい、ほら皆お茶の準備できたよー』



その様子をニコニコと眺めながらお茶の準備が出来たとテーブルに人数分のお茶とクッキーを蓮璻が運んでくる



颯清『ありがとう、蓮璻』


蓮璻『柊菜からの差し入れだよ、秋の新作ってとこかな?』



季節は秋、過ごしやすい気温になっていてる




美澪『わーいクッキー!』



ヒョイっと立ち上がりテーブルの方へと移動しクッキーを一枚手に取るとそのまま口に入れる



美澪『…ぁ、くひのあひあ……』


颯清『美澪、口に物をいれたまま喋らないの、行儀悪いよ』



ごめんなさい、という目を美澪は颯清に向け今度は食べ終わってから口を開く



美澪『栗の味だ…!』


茜璃『あら、ほんとだわ、美味しいわね』



茜璃もふらっとテーブルの方へ近寄りクッキーを食べると美味しいと感想を述べており颯清はサクサクとクッキーを頬張っていた



明楽『にしても、こうやって平和にお茶やお菓子を食べながら穏やかに雑談をする日がくるなんて驚きだよなぁ?』



と、いつものメンバーではなく新たに加わった一人の男に声をかける



華惏だ



華惏『ふん、黙れクズ』


明楽『は?』


華惏『は?』


桔柳『うわ同じ土俵同士の低レベルな争い…』



華惏からすれば明楽の事は未だに気に食わない部分はあるらしいが良くても口喧嘩だけで本気で争うつもりはない




白威『まぁそれで?海冷の方はどうなってるんだ?』


華惏『まだ土地の整備中だが、上手くいけば今年の冬には全てが完成しているだろう、妖界の技術はかなり発展していたんだな』



お茶を飲みながらそう話す華惏



今までは穢妖達が獲物を仕留めやすいようにと年中雪を意図的に降らしていた、華惏との戦いの時茜璃の様に足を滑らせたりするのが狙いなんだろう



だが穢妖達もいなくなった今、年中雪が降らないとはなったがそれでもやはり冬になれば海冷は他の地域に比べて気温は一段と寒くなり雪も降りやすい



そうとなれば作るのは陽温と同じような観光施設だ、夏は避暑地にもなるのではと考えられる


冬ならば定番のスキーや子供向けに雪遊びやそりすべりなど楽しめるようなものも作れば経済は回り景気がよくなる



そして人間ではないのである程度の工程は妖術で短縮出来るものはあるので完成時間もそれほどまでに長くはない


純粋な技術面も発展していってるので上手くいけば今年の冬には完成するという訳だ



桔柳『おぉ〜、これから大変になるね華惏』


華惏『明楽に出来て俺が出来ないなんて事はないからな、簡単だ』


明楽『こういうところは憎い』


華惏『知らん』




華惏は明楽を元に生み出されている、その為妖力も明楽並にあれば力量も能力もそれなりにある


もちろん最初からわかっている訳ではないので教える必要はあるが一度教えれば理解をし直ぐに実行に移せると天才だ


もちろん元の明楽が、の部分もあるがそれでもある程度の個体差はある


完全に全てが明楽と同じな訳ではないのでそこは華惏の才能の問題だ




茜璃『まぁ、海冷での建設作業が出来るまでの間はのんびり出来るわけだしのんびりしましょ』


麗仁『秋だし色々あるもんね、芸術の秋とか、読書の秋、食欲の秋とか』


蓮璻『あ、それだ…!』



パンッ!と手を叩き思い出したかのようにポケットから一枚の紙を取り出す



蓮璻『これ楓鈴(フォンリン)兄さんから、琳帆からでお知らせの紙』



楓鈴(フォンリン)、蓮璻の兄だ



因みにだが颯清達は一度もう楓鈴に会っている







颯清『あー…疲れたぁ……』




これはあの戦いの後、華惏と共に星蘭へ戻った時の話



一度明楽の屋敷に帰るなり蓮璻は泣きながらおかえりと抱きついてきた



颯清『苦しいよ蓮璻…ッ』


蓮璻『だ、だって皆無事でほんと…ほんと良かったぁ……ッ』


明楽『ええい皆に抱きつくな!!暑苦しいぞ!』


蓮璻『ちょっとそれ明楽には言われたくはないかな』


美澪『分かる』


颯清『同感』


白威『お前がそれ言うな明楽』


明楽『は???』



こんな感じでギャーギャーと騒ぎながらもなんだかんだ再会を喜んでいた




蓮璻『ところで、そちらの方は?』



蓮璻は華惏の事を見たことは無い、話に聞いていた剠華も胸元にないものだから分からないのだ



明楽『華惏だ』


蓮璻『へぇ〜、君が華惏!よろしくね……って華惏!!!?』



何敵を連れて来てるんだと明楽に怒鳴りながらも警戒態勢に入る蓮璻



明楽『おちつけ蓮璻、もうこいつに惰殺を生み出す能力もなければこいつはもう惰殺でも何でもない』


蓮璻『は……?』



と、一から説明を蓮璻にする明楽


その説明を受け本当かと信じていない様子だったが明楽と茜璃、またその他のメンバーの証言からもとりあえずの所信じてみる事にした



蓮璻『だからって、いきなりここで預かるなんて言われても…ッ』


楓鈴『こら蓮璻、少し落ち着きなさい』



長い髪を一つにまとめた男性が小走りで廊下を走ってきて、蓮璻に軽く注意しながら明楽に声をかける



楓鈴『お帰りなさいませ明楽様、お怪我はありませんか?』


明楽『ああ、何も問題は無い』


楓鈴『それは良かった…』



ホッと一息をついて、今度はニコッと美澪達に笑いかけた



楓鈴『こんにちは、私は楓鈴、蓮璻の兄です。呼びにくければ(リン)とでもお呼びください』



穏やかにニコッと笑う楓鈴、これが美澪達と楓鈴との最初の出会いだった

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