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天魔の書  作者: かのう
4/4

コボルト


翌日、昨日とは違い普通に自力で起きる。

どうやら昨日も疲れて眠ってしまったみたいだ。赤ん坊の体がキツい。

それにしても腹が減った。〈節食〉の能力を手に入れたおかげでマシだが、だからって飲まず食わずで過ごせる訳じゃない。

というわけで今日は外の探索だ。なんならこの洞窟とはおさらばかもしれない。


その前にリサを火葬することにする。いくらなんでもこれじゃ腐ってしまうからな。

そうして少し慣れてきた〈火魔法〉で遺体を燃やした。記憶で知ってしまったおかげで少しだけ感傷を感じたものの余裕の無い現状ではそれも長くは続かなかった。

感傷よりも今は明日生きられるかなのだ。


現状は魔力が増えたおかげで少しだけ強い魔法も使えるようになり、さらに多めの魔力を使えば歩くことも可能だ。とはいえそんな無茶は出来る訳もなく、移動はハイハイになる。忘れてたが生まれて数日なわけで、ハイハイでも結構無茶してるのだ・・・。


洞窟にあった鉄で出来たようなナイフ、皮袋を持ち、食料を求め森の奥に進む。


森は道が整備されてるわけではなく獣道って感じの道だが背の高い草などが道を塞いでたりはしないので想像よりは楽に進むことが出来た。

戻ってこれるように木に傷をつけながら進んできたが何処まで効果があるのかは分からない。


そうして少し進むと、リサの記憶にある薬草が見つかった。食べられないこともないようなので刈り取っておく。

さらに流石は森と言うべきか果実も複数種類見つかった。だが大抵は何らかの動物だか魔物のナワバリになっているみたいで目を盗んで数個取るのがやっとだった。

リンゴのような果実にブドウのような果物。リサの記憶によるとちゃんと食べられるらしい。


果実を取るのには本当に苦労した。魔物の目を盗むのもそうだが身長的に全く届かないのだ。

どうしたかと言うとどうも動物たちは適当に果実を取ってるので残り物がちょこちょこあった。

それを目を盗んで取った形だ。いわゆる残飯漁りだ。これしかないんだから仕方ない。


ただそうして食べた果実は格別の味だった。ここ2日何も食べていなかったこともあるがそれでも美味い。

歯がないのでなるべく小さくして食べないといけないのが歯がゆいが美味いもんは美味い。離乳食通り越しているような気もするものの気にしてられないのだ。


ちなみに川は比較的すぐに見つけた。

どうも洞窟の裏にあったみたいで動物や魔物が集まりやすい場所だった。


朝起きて周辺を探索して洞窟に帰る。動物が単体なら狩る。複数なら撤退。ゴブリンも3匹以下なら倒す。

そんな生活を半年ぐらい続けたところ、助けが来ることもなく気づけば川の近くでも洞窟に動物や魔物は近寄らなくなってきた。


自分の身長も伸び、そこまで栄養を取ってるとは思えないが身体は転生前の感覚だと2歳児程になった。

今では魔力無しで歩ける。ハイハイは卒業したのだ・・・。

さらに速度は遅いものの魔力を使うことで走ることも出来るようになり成長は著しい。

この世界は成長が速いのかと疑ったこともあったが、リサの記憶ではそんなことも無く、単にこの身体が成長著しいだけのようだ。


そして今日はいつもより探索をしていたところ新しい魔物に会うことになった。

外見は犬男って感じで、槍を持ちゴブリンよりはかなり強そうだ。人間で言うなら15歳ぐらいの体格はある。俺はこれをコボルトと呼ぶことにした。ゴブリンが正式名称だった件も含めて、あながち間違っていないと思う。


コボルトはまだこちらに気づいていないみたいだ。1匹だし先生攻撃を仕掛けることにした。


(悪いな、〔〕)


〔銃模す火〕は魔法の練習中に開発した魔法だ。威力が高く速度も速いこと、さらに数もかなり増やせることから最近では多用している。

今回もゴブリンと同じようにほとんど一瞬でカタがつき、少し拍子抜けした。


『魔力、記憶が徴収されました。コボルト、個体名無しの能力から1つ選択してください。』


ーーーーー


[名前]

[種族] コボルト

[年齢] 2

[一般能力] 〈槍術〉〈草食〉


ーーーーー


迷わず、〈槍術〉選択した。実は既に槍術は持っているのだが、前に同じ能力をここで選択すると能力が少しだけ冴える感覚があったのだ。俺はあれを能力には熟練度のようなものがあって、それが増えるのだと勝手に思っている。




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