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血闘

「はい、あんたのココア」

「あっ、ありがとうございます、朱音、さん」


あれから私は朱音と共にアミューズメントエリアのとあるカフェに来ていた。


「いいよいいよ、さっき騒いじゃったお礼だから、あと敬語使わなくていいよ、仲良くしよ」

「うん、そうだね、朱音ちゃん」

「ん、よろしく叶美」


あれから私は朱音にさっき止めようとしてくれたお礼がしたいという事でお茶に誘われたのであった。


「朱音ちゃん、もし良かったらこの後一緒に遊ばない」


気恥しかったがせっかくのお友達を遊びに誘ってみたら、朱音は目を大きく開けてずいっと顔を近ずけてくる。


「いいよいいよ、で、どこ行こうか、そうだ、ここで買い物とかどう?」


目を輝かせた朱音が指を指したのは大きなショッピングモールだった。


「う、うんいいかも、一緒に行こ」

「うん」


朱音の変わりように驚いたものの私は賛同した。


「わぁ、凄い大きい」


床には極限まで磨かれた大理石、1階から4階まで吹き抜けとなっており天井には一面のガラス張りに煌びやかな装飾が施されている、360度どこを見渡しても活気溢れる定員さんと賑やかなお店がずらりと並んでいる。


予想よりも広かったショッピングモールに感動していると隣で朱音がパンフレットを見ながら。


「ねぇコレ見てよ、こんなとこに服屋さんがあるよ、ここ行ってみない?」


「どれ?ほんとだ、行ってみよ」


そこには(ファッションTAKAHIRO)という名の店がある。


「TAKAHIROは南側だからあっちだね」


そう言って朱音が南方向に進もうとした時、ガシャンと大きな音がした。


「ってぇ、てめぇ何すんだよ」


どこかで聞いたことある男の声がする。


「あいつ、こんなとこまで来て何やってるのよ、叶美どうする、行ってみる?」


「うん、行った方がいいと思う」


「分かった、私の後ろに隠れててね、あいつが殴りかかってくるかもしれないし」


そんなことは無いと思うが一応朱音の背中に隠れながら声のする方へ行ってみる。


「ちょっとあんた何やって、ほんとに何やってるのよ!」


急に朱音が叫ぶ、後ろに隠れてて見えない私は隣から顔を出して当たりを伺う。


「え、イジメ、うそ」


そこには多目的ホールであった男がぐったりと横たわり、上級生らしき男3人に囲まれていた。


「あ?何見てんだよ、お前のお友達か」

「関係ねぇなら消えろ」

「それともお前らも纏め遊んで欲しいのか」


怯えている朱音に高圧的な態度で話す3人の男が近づいてくる。


「何だぁ、可愛い子連れてんじゃねぇか」

「いいねぇ、俺たちと遊んでかなぁい」

「そ---」

「まぁ待て」


奥から3人に比べて痩せているゴボウのような男が出てくる。


「兄貴、ご無沙汰しております」

「兄貴、なんの御用で」

「あーーー」

「俺も混ぜてくれよ」


兄貴と呼ばれた男は叶美を値踏みするように眺めると。


「なぁ、今夜どうだい」

「こ、今夜ですか、今夜、今夜、コンヤハデスネェ、コマリマス」


来ることを予想していた未来をどう扱うか困ってしまう。


確かに私はそれなりに美しいと自負しているし、スタイルにも自信があるし、胸も無くは無いと思ってますがぁ。


「あの、いきなりはちょっと」


正当な評価をされて嬉しそうににやけている顔を背けながら断る。


「兄貴のお誘いだぞ、受けなくてどうする」

「あの兄貴が興味を持ったんだ、受けるべきだ」

「あーーー」

「良いじゃないか」


さっきから鬱陶しく、可哀想なやり取りがかわされる。


「なあ頼むよ、優しいうちに決めてくれないか」


男の目つきが鋭くなる、気づけば3人の男達がこの部屋の出入口に立ち塞がっていた。


「け、血闘(けっとう)よ」

「あ?」


叶美が困り果てていると、朱音が割って入る。


「血闘って言ったの、私が勝ったら何でも1つ言う事聞いてもらうわよ」


血闘と、朱音がはっきりそう言った。


「お前、本気かよ」

「あ、当たり前じゃない」

「お前血闘の意味知ってるか」

「ええ、分かってるわよ」


男が鋭い眼光で朱音を捉える。


「見たところ、まぁ悪くは無いな、いいだろう、では13時に闘技場に来い、お前ら行くぞ」


そう言い男達は下がっていった。


「あ、朱音ちゃ、ちょっと朱音ちゃん」


緊張が解けたのか朱音は床に膝を着いた。


「ちょっと大丈夫朱音ちゃん」

「ええ、大丈夫よ、ちょっと安心しちゃった」

「全然、大丈夫じゃねぇだろ馬鹿野郎」

「あ、あなた大丈夫なんですか」


ボロボロになった男が目を覚ます。


「なによ、聞いてたの?」

「当たり前だろ、それより早く棄権しろ」

「しないわよ、もう覚悟は出来てる」

「な、なんですか血闘って」


ずっと気になっていたことを聞いてみる。


「血闘ってのはな、簡単に言うと一対一で戦って勝った方が負けた方に何でも要求出来る試合だ」


なんでも、なんでもとはそういうなんでもなのか。


「え、それって大丈夫なの、朱音ちゃん」

「さあ、分かんないわよそんなの」

「だから早く棄権しろって言ってるだろ、今ならまだ借金で済むぞ」

「あの、借金とは」


勉強不足で何も知らない私に試合の前に負けを認める代わりにお金を支払うのだと言う。


「無理よ、私は逃げない、例え負けたとしても絶対に逃げたくない」

「本当にお前は馬鹿野郎だよ」

「じゃあ、私は行くね、もうすぐ時間だし」

「朱音ちゃん……」

「叶美、しっかり見ててくれ欲しいな」


そう言って朱音は走って行った。

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