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入学式

多目的ホールに集められた新入生たち、その中ではすでに友達をつくり談笑している者もあれば座り込んで1人で本を読んでいる人もいる。


すると、スピーカーからはりきった子供のような甲高い声が聞こえる。


「あー、マイクテストー、あー、よし、いいみたいだね、えー皆さん、おはようございます、私は、学園長です、えー、あのー、おめでとう、以上」


簡単すぎる挨拶に何だこの挨拶と、心の中で全員が思った。


すると、コツコツとハイヒールの音を立てて背がスラリと伸びた美しいブロンド髪の美しい女性がマイクを持って前に立つ。


「ただいまの学園長の挨拶に補足致します、この学園は。大きく三つに分かれており、修練エリア、アミューズメントエリア、訓練エリアとなっております、各エリアの詳細は配布しました。(生徒手帳)に、全て乗っていますのでご確認ください、皆さんの学園生活がより良いものになることを、我々は望んでおります。ありがとうございました。」


ホールいっぱいに割れんばかりの拍手が響き渡る。


入学者1500人、改めてその数の多さを実感した。


「そういえば生徒手帳が何とかって」


先程説明があった生徒手帳をカバンから出す。


「あった、なになに、アミューズメントエリアに面白そうなものいっぱいある、修練エリアには修練大図書館か、なんだか難しそうだなぁ」


南に校門があり、北に修練エリア、闘技場や鍛冶屋などの実践的な施設が揃っている、東にはアミューズメントエリア、遊園地やショッピングモールなどの遊んで楽しめる施設が豊富、西にはお花畑エリア、説明には近づくな危険とだけ書いてあった。


「よし、アミューズメントエリアで遊んでこよ」


叶美が次の予定を決めたその時だった。


「てめぇ何見てんだ」


「は?別に見てないわよ、自意識過剰なんじゃないの」


「んだとてめぇもういっぺん言ってみろや」


「何度だって言ってやるわよこのクソナルシスト」


「さっきと言ってること違ぇじゃねぇか」


ケンカだ、しかも男女のケンカ、周りの人は止めずに面白がって見ている。


「てめぇやるってのかよ?」


男が女の胸ぐらを掴む。


「ちょっと、話しなさいよ」


その瞬間、掴んだ男の手からバチッと雷が発生する。


「うおっ、具現とはやってくれるじゃねぇか」


雷を周囲に具現している女に対して、男は炎を具現させた。


具現、それは誰もが一定以上持っている魔力を様々な物質に変換して起きる現象、今目にしている炎と雷は魔力を変換して発生させている。


「ちょっと、魔法はダメだよ、落ち着いて」


思わず声が出てしまった。慌てて口を抑えるが遅い。


「なんだお前、邪魔すんのかよ」


男が睨んでくる。


「あ、いや、その」


口ごもってしまう、すると、後方から声が聞こえた。


「ダメだよ、何も出来ないのに口を挟んだら」


振り返ってみると優しい青年のようだった。


「こんな所で魔法を使うような脳筋に関わらない方がいいよ、遊びに行ってきな」


止めに来たかと思われたその青年は火に油を注ぐようなことを言う。


「お前、誰が脳筋だって?」


男が凄む。


「周りを見て気づかないんですか、こんな所で魔法を使ったら他の人に被害が出ることぐらい分かるでしょう」


男がハッとして周りを見渡す、そしてチッと舌打ちだけして背中を向けてこう言った。


「お前、名前はなんて言う」


「幼少期の頃から知らない人に名前を教えるなと言われているので」


青年がそう返すと男はため息をついて出口の方に去っていった。


「あと、貴方もですよ」


青年は喧嘩をしていた女の方を見た。


「わ、悪かったわよ、熱くなりすぎた」


「分かればいいんです、それじゃ」


そう言うと、青年も出口の方に歩いていく。


「私の名前は朱音、早本朱音(はやもとあかね)よ、アンタも名乗りなさいよ」

「拙者、名乗るほどのものではござらんよ」


そう言うと、青年は去っ行った。


「全く、一体何者なのよ」


同じく叶美も本当にそう思った。


突如現れた青年は大きな謎だけを残して消えていった。

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