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才能に愛されし者  作者: きんめ
第三章 人の美しさ、人の醜さ
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閑話 醜い、そして美しい

 ―――醜いね


 

 “白”が言う。

 


 ―――あぁ、醜い



 “黒”が言う。


 ()()()()の目を通して“世界”を見ていた白と黒。

 たった今、ある人物を逃がす為に決死の覚悟を決めた女性を見て、白と黒は久々に会話をした。



 ―――何て醜いんだろう。その命と()()の命の価値を比べた場合、明らかにその命の方が価値があるというのに



 白が言う。

 


 ―――()()は人の身で戦える相手じゃない。それを分かった上で、何故、彼女はミラのことを守ろうとしているのか



 黒が言う。


 

 ―――何故だろうね。でも、彼女は今は亡き娘の面影をミラに感じているんだよ。下手をしたら、ミラのことを娘のように思っているのかもしれないね



 白が言う。



 ―――昨日今日の付き合いで? 訳が分からない。でも、人の感情というものは難解だ。不可解だ。もしかしたら、その可能性もあるのかもしれないな



 黒が言う。



 ―――そうだね。人の感情は、ボク達には理解できないものだ。でも、少なくとも、今のボク達には彼女の()()()が分かるんじゃないかな?



 白が言う。



 ―――あぁ、分かるぞ。守りたいという強い気持ちが、今のオレ達には分かる



 黒が言う。



 ―――そうだね。そしてその気持ちは、美しい



 白が言う。



 ―――あぁ、美しい



 黒が言う。



 ―――人はどうして、こんなにも醜く、そして美しいのだろうね?



 白が言う。

 


 ―――それが人という生き物だからさ。人は醜くもあり、美しくもある。表裏一体の生き物なんだ



 黒が言う。



 ―――うん、そうだね。……ねぇ、彼女、そろそろ死んじゃうよ?



 白が言う。



 ―――そうだな。あのままだと、直ぐに死ぬ



 黒が言う。



 ―――ボクはさ、美しいものが好きなんだ。



 白が言う。



 ―――あぁ、知ってる



 黒が言う。



 ―――だからさ、彼女を助けようと思うんだ



 白が言う。



 ―――……勝手にしろ



 黒が言う。


 白は返事をすることなく、その場から消えた。



 ―――嗚呼。人は何故、こんなにも美しいのだろう



 先程まで黒の言葉に反応していたはずの白は、既に“世界”へと顕現していた。

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