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才能に愛されし者  作者: きんめ
第二章 魔法学院編
49/69

 マリリエルがソレに気が付いたのは偶然だった。

 


「なに……あれ……」



 窓に外を見ると、夜にも関わらず()()が浮かんでいた。

 しかもその太陽は今にも地上に落ちてきそうだ。


 

「ッ! 止めなきゃ!」


 

 アレはヤバいと、本能が叫んでいる。


 『限界突破』を発動させたマリリエルは窓ガラスを蹴破り外に出た。

 外に出たマリリエルは即座に魔力を練り、一つの魔法を発動させる。



 ―――『大海の防壁』



 マリリエルの扱える魔法は水魔法の一つのみ。

 だがそれ故に、マリリエルが扱う水魔法はとてつもない威力と精度を誇る。


 マリリエルの出現させた大海が、地上に衝突する寸前だった太陽の下に現れる。



 瞬間―――




『ドゴォォォォォォオオオオオオンッッ!!!!』




 爆音とともに爆発が起こった。

 太陽と大海がせめぎ合う。

 熱風が吹き荒れ、周囲の建物が倒壊する。

 

 やがて太陽が消滅し、役目を終えた大海も姿を消した。


 自身の周囲に『シールド』を構築したマリリエルは熱風を気にすることなく、あの太陽を生み出した存在のもとへと向かっていく。


 そしてマリリエルは見つけた。



 ―――ソレは美しかった。

 強大すぎる銀色の魔力は可視化され、銀の糸となって踊っている。

 そしてソレの瞳には光りも、そして闇も映っていない。




 ―――神。



 

 マリリエルの脳裏に、ソレの正体が(よぎ)る。

 が、そんなことがあるはずがない。

 だってソレは―――



「―――ルナ?」



 ルナ・ウィンデール。

 マリリエルの親友にして仲間であるフーリの息子。

 そして自らがスカウトした人材。


 

「ルナっ! ちょっとやり過ぎよ!」



 空中で停滞しているルナに向かってマリリエルが叫ぶ。

 だがルナはそんなマリリエルに一瞥もくれることなく、右手を正面に向けた。



「――ッ!?」



 瞬間、マリリエルは背筋が凍るような感覚に陥った。

 ルナの右手から膨大な魔力が溢れ、その魔力が糸になり、巨大な魔法陣を描いていく。

 そして魔法陣が完成した時――――



「あっ……」



 そんな間の抜けた声がマリリエルから漏れた。

 だが、仕方ないだろう。

 マリリエルは目の前に現れた存在を見た瞬間に、己の死を悟った。




 ―――龍。




 竜ではなく、()

 魔法陣から出てきた存在を、マリリエルはそう判断した。

 そして、その判断は間違っていない。


 

「お久しぶりでございます――()()()



 空を飛んでいた漆黒の龍が地上に降り立ち、言葉を発した。

 竜は言葉を発しない。

 長年生きている竜は言葉を理解できるようになると言われているが、発することはできない。

 


「うん」



 神々しい銀色の魔力を纏ったルナが短く告げる。

 その様子を見て、マリリエルは思った。


 ――違う。

 アレはルナじゃない。

 別のナニカだと。



「して、創造主。どのようなご用件で我を?」


「えーと、そこに転がってる“世界のゴミ”を消滅させて欲しいんだ。魂ごとね」


「かしこまりました」



 ナニカの言葉を漆黒の龍が了承する。

 そしてその口を大きく開き、口の中に膨大な――否、狂気とすら思えるほどの魔力が集まっていく。

 



 

 そして、それが放たれた時―――世界が揺れた。

 

 

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