愚者への制裁
皆様の意見を真摯に受け止め、これからは読者の皆様を失望させてしまうようなことがないように心掛けていきたいと思います。
「さて……」
俺は目の前に倒れ伏している襲撃者達を見渡す。
計六人の襲撃者は、俺達に指一本触れることなく敗れたのだ。
気配の殺し方は上手かったが、それだけである。
戦闘力が低かったことと、コイツらの行動を考えると――
「アミーが狙いか」
俺の言葉に、襲撃者の一人がビクッと身体を震わせる。
ビンゴだ。
「いったい誰の命令で……って、聞くまでもないか」
このタイミングでアミーを狙ってくる人物は一人しかいない。
アミーを一人で本部に来させようとしたのもこれが狙いだろう。
本当に、救いようのない奴だ。
「そうだな……」
二キムの断罪に必要な証拠は揃いに揃っている。
目の前で伸びているコイツらが証拠だ。
「アミー。帰りは遅くなりそうだが、大丈夫か?」
「問題ありません。夕食は作り置きしておきました」
全く……抜け目のないメイドである。
この出来事が起こることを予想していたのかと思えるくらい用意周到だ。
「そうか。じゃあ、もう一回本部に行くか」
俺は襲撃者達を風魔法で浮かばせ、来た道を戻る。
さて、マリリエルになんて説明しようかね……。
◆◇◆
「はぁ……」
目の前にいるマリリエルが深いため息を吐いた。
まぁ、同じ立場だったら俺もため息を吐いていただろう。
「それで……二キムの手の者がルナ達を襲撃したというのは……」
「本当だ。そこに転がっている奴らが証拠だ」
俺はそう言って、床に倒れ伏している奴らを指さす。
俺とアミーは先ほど本部に到着し、様々な手続きを経てようやくマリリエルに襲撃があったことを伝えることができたのだ。
「それは本当なの?」
マリリエルが襲撃者達に向けて殺気を放つ。
纏わりつくような殺気が襲撃者達に絡みつく。
マリリエルの殺気に当てられた襲撃者達は、額に冷ややかな汗を流しながらコクコクと頷いた。
「どうやら本当のようね。……なら仕方ないわね」
マリリエルはそう言って、机の中から一枚の書類を取り出す。
そして紙に何か書いた後、俺に紙を渡してきた。
「これは?」
「死刑執行の許可証よ。一応身分を隠しているとはいえ、あなたは王子。その王子を襲撃したとあっては、死刑は免れないわ」
「……そうだな。この国の人間にはバレないように処理するつもりだったが、こっちの方がやりやすい」
こんな紙がなくても、俺は二キムを殺すつもりだった。
俺を狙った襲撃ならまだしも、アイツはアミーを狙ったのだ。
到底許せるものではない。
「アミー、ここで待っていてくれ。すぐに終わらせてくる」
「はい……万が一はないと思いますが……気を付けてくださいね」
アミーの言葉に頷き、俺はマリリエルの執務室を後にした。
二キムへ裁きの鉄槌を食らわせるために――。
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