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才能に愛されし者  作者: きんめ
第二章 魔法学院編
42/69

事後処理

 お久しぶりです。毎度のことですが、投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。

 

 応援メッセージが届きましたので、気合を入れて書かせていただきました。

 応援メッセージ……モチベめっちゃ上がりました。ありがとうございます。


 P.S.文章の書き方を少し変えてみました。

     良し悪しをコメントなどで教えていただけると嬉しいです。 

「えっ?」



 宙に浮かぶ鮮血を見て誰かが声を漏らす。

 そしてその声は、すぐさま悲鳴に変わった。



「キャァァァア!!」



 Aクラスの女子生徒が悲鳴をあげる。

 だが俺は柳に風と悲鳴を聞き流し、Aクラスの担任に問うた。



「お前、何様だ? たかが子爵の分際で何をほざいている。アミーは俺のものだ。にもかかわらず、ペラペラペラペラと……殺されたいのか?」



 胸の内から何かがあふれ出てくる。

 怒り、憎しみ、殺意、それらの感情がとめどなく……。



「き、貴様! 私がこの国の子爵と知っての狼藉か!」



 Aクラスの担任が肘から先のない左腕を押さえながら叫ぶ。

 


「お前は耳が悪いのか? ()()()子爵の分際で何をほざいている、と俺は言ったんだ」



 子爵というものは、国は違えど位としては同じものだろう。

 王子と子爵。

 どちらの位が高いかと問われれば、当然王子の方が位は高い。



「名乗れ」



 俺はAクラスの担任の腕を風魔法で浮かせながら言った。



「ッ……私は二キム子爵……」


「俺はルナ・ウィンデール。ウィンデール王国の王子だ」



 二キムとかいう子爵の名乗りに、俺はわざと言葉を被せる。

 そうすることで、お前より俺の方が位が高いということを強調しているのだ。



「アミーは俺のものだ。将来、側室になることも決まっている。そんな相手にお前は何と言った?」


「そ、それは……」


 

 言えないだろう。

 声をかけるだけならまだしも、こいつは将来ウィンデール王国の王族の一員になるアミーに対して側室にしてやると言い放ち、か細い腕を強引に掴んだのだ。


 二キムは今更事態の重さに気づいたのか、顔面蒼白になっている。



「アミー」


 

 俺はアミーを呼び寄せる。



「は、はい……」



 アミーはおずおずといった感じで近寄ってきた。

 俺はそんなアミーを強く抱きしめる。



「あ、あの……」


「すまなかった」



 俺は謝った。

 二キムに腕を掴まれた時、アミーの瞳には一瞬、強い恐怖の色が浮かんだのだ。

 

 怖かったのだろう。

 アミーは上手く隠していると思っているのかもしれないが、俺は知っている。


 アミーは高圧的な態度で接してくる人間が苦手なのだ。

 これは恐らく、タミーシャの街での出来事が起因している。

 タミーシャの街で奴隷同然の生活をしていたアミーは恫喝、暴力、こういったものを日常的に受けてきたのだ。

 

 腕を掴まれた瞬間、その時の光景が脳裏をよぎったのかもしれない。



「はい……」



 俺の胸に顔をうずめたアミーは静かに泣きだした。

 周囲には聞こえないように、小さな声で。




 ◆◇◆




「さて……」



 アミーが泣き止んだあと、俺は肘から先のない腕を抑えている二キムに意識を向ける。

 切断した二キムの腕は、未だに俺が風魔法で浮かせたままだ。



「何か言いたいことはあるか?」


「……私がこのことを国王様にお伝えすれば、ウィンデール王国の王子であるあなたと言えどもただではすまない」


「このこと……とは?」


「この腕のことだ。今回の件、いくら私に非があろうとも腕を切断するのは度が過ぎている」



 なんだ、そんなことか。

 

 俺は風魔法で浮かせている腕を二キムに返すや否や、治癒魔法を発動させた。



『パーフェクトヒール』



 俺が治癒魔法を発動させると同時に、周囲を神々しい光が包む。

 そして光が収まった時には、二キムの腕は元通りになっていた。



「なっ!?」



 二キムは心底驚いたようで、驚嘆の声をあげる。

 二キムの受け持っているAクラスの生徒達は事態が呑み込めていないようで唖然としている。



「帰るぞ」



 俺はアミーをお姫様抱っこしたあと、Aクラスの生徒達同様に唖然としているCクラス生徒達に声をかけ、Aクラスの生徒達がいる入口兼出口に向かって歩き出す。

 俺が近づいていくと、まるで海が割れるかのようにAクラスの生徒達が道を開けた。

 


「ちょっ、先生、待ってください」


「……兄貴! 俺はあんたにいつまでも付いていくぜ!」


「せんせー!」


「あ、あんた……とんでもないわね……」



 騒がしい声、そして足音とともに、自慢の生徒達が駆け寄ってくる。

 

 あぁ、そういえばAクラスの奴らに言わなければならない言葉があるんだった。

 俺は白いローブのフードを外し、Aクラスの生徒達を一瞥する。



「Cクラスの生徒達は落ちこぼれじゃない。わかったか?」



 殺気を放ちながら問うと、Aクラスの生徒達は皆首がちぎれるくらいの勢いで何回も頷いた。

 


 俺は瞬時に魔力を開放し、『転移』を発動させる。

 一気に巨大な魔法陣が俺達を飲み込み、訓練場の景色は見えなくなった。

 

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