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才能に愛されし者  作者: きんめ
第一章 幼少期編
22/69

剣聖の教え

 大ッッッ変お待たせしました!!

 投稿が遅れた理由といたしましては、第二章に突入した辺りからストーリーがぐちゃぐちゃになってしまい、私自身も投稿を急ぎ過ぎていると感じたため、少しお休みをいただきました。

 第二章は全て消して、新しく書き直そうと思います。

 この一ヶ月、数多くの作家さんの作品を読まさせていただき、私自身も少しは成長できたのではないかと思っております。

 長くなりましたが、結局何が言いたいのかというと、投稿遅れてすいませんでした!! そして、これからもよろしくお願いします!!

 


 ―――王城内、訓練場。


「はぁッ!!」


 俺は気合を入れた掛け声とともに、リーラに向かって木剣を突き出す。


「踏み込みが甘いッ! そんな突きではオークの一匹も仕留められませんよ!」


 だが、リーラは左脚を引くことによって簡単に俺の突きを回避する。


「踏み込みが甘いと……こうなるわけです」


 リーラは引いた反動を利用し、一気に俺との間合いを詰め――


「……俺の負けだ」


 俺の首元には、リーラの木剣が突き付けられていた。


「あと半歩踏み込みが深ければ、私のカウンターを受けることもなかったはずですよ」

「でも、あそこで半歩深く踏み込めば態勢が崩れるだろ?」

「態勢を崩してでも攻めるなければならない、という場面のもあるのですよ」


 負けた俺は、先ほどの模擬戦の反省点を挙げられている。

 リーラとは何度も模擬戦をしているのだが、一度も勝てたことがない。

 切りかかればいなされ、突けばかわされ、あらゆる攻撃が通じないのだ。

 身体強化は使っていないのだが、現状がこうである以上、身体強化を使っても結果は同じだろう。


「はぁ……勝てるビジョンが浮かばない……」


 訓練場から見える、雲一つない青空を見上げながら、ぽつりと呟く。


「仕方がありません、相手が悪すぎます」


 不意に空から声をかけられる。


「……セレネか」


 空から声をかけてきたのは、俺の召喚獣である銀色の体毛の小鳥――セレネだった。


「今の模擬戦、セレネから見てどうだった?」

「そうですね。リーラさんの言っていた通りに主様が攻撃していても……カウンターで負けていたと思います」


 やっぱりか。


「どちらにしろ、俺の負けは確定していたということか……」


 あの場面、俺は突きを繰り出すことしか選択肢がなかった。

 ……誘導されていたということか。


「リーラさんの動きには無駄がありませんが、主様の動きには迷いなどの雑念が混ざっているように感じます」

「ほぅ……」


 セレネの意見に、リーラが軽く感嘆の息を漏らす。


「セレネの言った通りです。ルナ様の動きには雑念が混ざっている。そのため、攻撃に移るときに重心がずれたり、突きを繰り出す際の踏み込みが甘くなるわけです」


 確かに、俺は模擬戦をしている時に様々なことを考えている。

 さっきは深く踏み込むか踏み込まないかで一瞬迷い、踏み込まないという選択をしたのだが、その一瞬の迷いのせいで突きを繰り出すのがコンマ数秒遅れてしまった。

 その一瞬の迷いが、リーラとセレネが言っている“雑念”というものなのだろう。


「午前中はここまでにしましょう。午後からは槍術の訓練です」


 リーラの一言で、午前中の剣術の訓練は終わりを迎えた。 






 午後、昼食と着替えを済ませた俺は、再び訓練場にやって来た。

 目の前には、木製の槍を手にしているリーラの姿がある。


「いつでもどうぞ」


 平然とした態度で、リーラが告げる。


「フッ!」


 俺はお言葉に甘えて、リーラの右肩を狙って木製の槍を突き出す。

 だが、リーラは表情を崩さずに俺の突きを回避する。


「まぁ、当然だよな」


 素早く槍を手元に引き寄せ、態勢を整える。


「では、次はこちらから」


 そう言いながら、リーラが尋常じゃない速度の突きを繰り出す。

 狙いは――


「頭か!」


 咄嗟(とっさ)に体を伏せ、リーラの突きを回避する。

 ビュンッ! という空気を切る音が聞こえる。


「おいおい。今の、下手したら死んでるぞ」


 そう思えるくらいの威力を持った突きだった。


「避けてくださると、私はルナ様を信頼していますから」

「嫌な信頼だなッ!」


 次々と繰り出される突きを、何とか防ぎ、回避する。


「そこだッ!」


 威力の低くなった突きを弾き、リーラの心臓部に向け渾身の突きを繰り出すが――


「ッ!?」


 突きを繰り出した瞬間、リーラが笑った気がした。

 そして―――


「……綺麗な空だ」


 ―――俺は地面に背を付け、青空を見上げていた。

 

 最後……あの威力の低い突きはわざとか。

 それにしても、俺はどうやって負けたのだろう?

 気づいたらいつの間にか地面に背が付いていた。


「怪我はないと思いますが……大丈夫ですか?」


 起き上がらずに考えていると、倒れている俺に向かってリーラが近づいてきた。


「ッ!」


 無言のまま、近づいてきたリーラに向かって槍を突き出すが……


 ――カンッ。


 軽い音が響き、俺の槍は飛んでいった。


「不意打ちもダメか……」

「私以外なら引っかかっていた可能性はありますね」


 そう言いながらも、リーラの表情は変わらない。


「あの威力の低い突きはわざとか?」


 わざとだという確信はあるが、一応聞いておく。


「ええ、見事に引っかかってくれましたね」

「あー、やっぱりか~」


 攻め時だと思って攻勢に出たが、ああなってしまうように仕向けられたわけだ。

 悔しいな……。


 内心で呟くと、まるでそれを聞いていたかのようにリーラが口を開いた。


「ですが、最後の思い切りのいい突きは良かったですよ。満点です」


 珍しく、リーラが俺のことを褒めた。

 

「誘導された突きだけどな……」


 あの突きは、ああ突くように誘導された突きだった。

 あれが自分のペースで出せた突きならば素直に褒め言葉を受け取ったかもしれないが、違うのだ。


「強情ですね」

「言っとけ」


 起き上がり、飛ばされた槍を手に取る。


「さぁ、第二ラウンドだ」


 俺は再び、リーラに向けて槍を構える。


「今度は少しレベルを上げますよ」


 リーラも、俺に向けて槍を構える。


 

 この日の夕方まで、俺は槍術の訓練をすることになる。

 それでも、俺はリーラに一度も槍を当てることができなかった。


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