終章
『ママ、元気にしてる?ソラも変わりはないから安心して。
今小学校で子供たちに教えているけど、勉強そっちのけで騒々しくて毎日が大変。
でも何とかやっているわ。先生方はみな親切よ。
特にママやエイミーおばあちゃんを知っている人たちはソラをとても気にかけてくれているわ。
困ったことや分からないことがあったら遠慮せずに聞いてねって。
だから大丈夫。心配しなくていいから。
この前レベッカに会ったわ。
その時初めてジェシカおばさんが亡くなった理由を知ったのよ。
継父の暴力が原因だったって。
一緒に住み始めてしばらくは明るくて優しい人だったんだって。
ところが仕事がうまくいかなくなってから酒に溺れだしたそうよ。
いつも酔って帰ってきたって。
そのうち夫婦喧嘩が絶えなくなってしまい、悪いことに酔っぱらった継父がジェシカおばさんに乱暴を働くようになったそうよ。
おばさんはレベッカだけには危害が降りかからないよう注意して、そのうち目が覚めるだろうと我慢していたそうよ。
ところがある日、継父に叩かれたおばさんが倒れた際に頭を土間の角にぶつけてそのまま動かなくなったって。
なんて気の毒なジェシカおばさん。
その様子をレベッカも見ていたって。とてもショックだったと思うわ。
その件は夫婦のことだから表ざたにしなかったそうだけど、それ以来レベッカはおばさんの弟さんの家族と一緒に住んでいるんだって。
とても酷くて悲しい出来事だったんでレベッカに慰めの言葉をかけたんだけど、こんなことを言ったわ。私は母が大好きだったんで継父を憎くって仕方がなかったって。
でも自分にも悪い人の血が流れていると思うとどうしても気持ちが沈んでしまうって。
自身の出生の事情を知っているのね。私には掛ける言葉が見つからなかった。
そのレベッカがママに会いたがっているわ。
ジェシカおばさんがいつも言っていたって。ママと一緒にいる時が一番楽しかったって。
ママからおばさんに宛てた手紙を大事に持っているって言っていたし、ママのことも詳しくおばさんから聞いているって。
そう、ママならレベッカを慰めることができるわ。
ママ、アメリカに来て。
レベッカ以外にも多くの人がママの顔を見たがっているわ。
大丈夫。ママが日本に残った理由は、私から話してあるから。
だから、お願い、ニューヨークに戻ってきて。皆が待っているから。
それから、パパや兄さんにもくれぐれもよろしく伝えてね。
ニューヨークから愛を込めて。ソラより』
****
「先生!大変です。先生!」
「まあ、どうしたのいったい?」
「多額の寄付があったんです。これを見てください」
「あら、ほんとうね。ありがたいわ」
「津田梅子様。このたびは女子英学塾の開校おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。ご寄付頂いた方のお名前が上林嘉右衛門、ナミと書かれていますね。ご存じなんですか」
「もちろんよ。私がもっとも親しくしているご夫婦よ」
「かなり以前からのお知り合いなんですか」
「そうよ。ナミさんには私がアメリカに留学生として派遣された頃、ニューヨークで出会ったの。当時すっかりアメリカの生活に慣れた頃だったけど逆に日本語を忘れてしまっていたの。私はまだ子供だったから不安だったけど、日本の方がいると聞いて思い切って尋ねて行ったのよ」
「へえ、そうなんですか。でもその方はなぜニューヨークにいらっしゃったんですか?」
「ナミさんの場合は子供の頃、長崎で教育者の米国人夫妻と偶然お知り合いになったんだけど、身寄りがいなかったため、お二人の養女になってアメリカに渡られたの。大変優れた方で日本語も覚えていらっしゃったわ。私が訪れた時はお養母さまもいらっしゃったけど、とても親切にして頂いたの」
「ではその方は日本に戻ってらしたんですね」
「そう。ナミさんはニューヨークに滞在されていた日本人留学男性と親しくなられたんだけど、その方が日本に戻られたまま連絡が取れなくなってしまったの。そのため、消息を確かめるため2年間だけ日本に戻ることになったのよ」
「じゃあ、嘉右衛門という方がそうなんですか」
「そうじゃないの。その男性は鹿児島の戦争でお亡くなりになっていたの」
「まあ、なんてお気の毒なことでしょう」
「そうなの。ナミさんはその方との間に娘さんが生まれていたの。ソラちゃんというんだけど結局父と子も対面が叶わなくなってしまったのよ」
「そんな悲しい出来事があったんですか」
「ナミさんには辛いことだったけど一応確かめることができたので、当初の予定通りアメリカに帰るつもりでおられたの。ところが思いもよらない出会いがあったのよ」
「それが今のご主人さんなんですね」
「その通りよ。嘉右衛門さんは当時薬品事業を始めるために有識者から指導を受けることになったの。それが、ナミさん母娘と一緒に日本に来た大学の教授で、東京大学で教鞭をとってらしたのよ」
「では、その時にお二人は知り合われたのですね」
「その通りよ。ナミさんは教授と嘉右衛門さんとの間で通訳をなさったのだけれど、最初の頃は専門用語が飛び交い大変だったそうよ」
「そしてそのまま日本に住まわれているわけですね」
「そう、教授の日本での任期が2年で奥様と一緒にアメリカに戻られたのだけど、ナミさんは嘉右衛門さんからの要望で滞在を延長されることになったの。薬品工場を本格稼働するには英語や独語の翻訳が欠かせないとの理由で引き留められたのだけど、それがいつの間にか年月が過ぎて、気が付けば二人は気の合ったパートナーとなっていたわけね」
「まあ、なんて不思議なご縁なんでしょう。もしかしたらあらかじめ定められた結びつきだったのかもしれませんね」
「そうかもしれないわね。ナミさんはそのまま日本にいらっしゃるわけだけど、でもねアメリカで帰りを待っておられる方も大勢いて心苦しく思ってらしたわ。そこで本人の希望もあって何年か後に娘のソラちゃんだけを戻すことになったの」
「母娘が離れ離れになってお互い辛かったでしょうね」
「その時は私が同行したの。私の二度目の訪米の時だったわ。以前に日本で一緒だった教授夫妻がボストンに住まれていて、そちらまで送っていったのよ。お二人とも大層喜ばれていたわ。あれから十年以上になるけどソラちゃんも大きくなって今では学校の先生になっているらしいわ。ナミさんの後を継ぐって張り切っているそうよ」
「ナミさんも先生をなさっていたんですか?」
「その通りよ。ナミさんの養父母も教育者だったから三代続きになるわね。実は私もその影響を受けて今の仕事を始めたのよ」
「まあ、立派な方々なんですね。でもナミさんご本人はアメリカにはお戻りになっていないんですか?」
「もう日本に来られてから二十年近くになるわね。今まで本人さえその気になれば戻ることは可能だったし、嘉右衛門さんも勧めてらしたのよ。でも首を縦に振らなかったわ。ナミさんはこう言うのよ。一度、嘉右衛門さんと離れてしまうと再び会えなくなってしまうのではないかと。それを恐れていらっしゃるの」
「まあ、よほどご主人様を好いていらっしゃるのね」
「以前に悲しい経験をされているので、もう二度と繰り返したくないのでしょう。お二人はお互いのことを嘉右衛さん、ナミさんと呼び合っていらっしゃるのよ」
「まあ、なんてお睦まじいのでしょう。羨ましい限りですわ」
「ところが、そのナミさんも来月アメリカに戻られることが決まったのよ」
「ではようやく決心されたのですね」
「実はソラちゃんからの催促の手紙に悩んでおられたのだけれど、嘉右衛門さん自身がアメリカの化学工場の視察に行きたいと言い出されたの。今携わっておられる事業を、後継ぎの彦太郎さんに任せられるようになったこともあるけど、やはりナミさんにアメリカに行かせたい気持ちがあったようよ。もちろん二人一緒に船旅に出られるわ」
「よかったですね優しいご主人で。さぞかし心の通じ合うご夫婦なんですね」
「そうなの。ナミさんも嘉右衛門さんと一緒だと安心できるし、アメリカで待っているソラちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶわ」
「先生、私、ナミさんという方とぜひ一度会ってみたいですね」
「大丈夫よ。この前お会いした際にナミさんにお願いしたのよ。塾が開校したら講師として演壇に立ってほしいと。するとナミさんはこうおっしゃったわ。私のようなものがお役に立てればいつでも呼んでほしいと。ナミさんは英語、日本語ともに完璧で、様々な体験をしてこられたし、教師の経験もおありで英学塾の講師としてはうってつけね。アメリカから帰ってこられてからになるけどここにいらっしゃるわ」
「どのようなお話をなさるのかしら。その時が楽しみですわ」
その後も二人の話は続いた。
嘉右衛門、ナミ夫妻の話題は尽きることがなかった。
****
ダニエル・ポーターはニューヨークの自宅で両親や妻、子供たちと一緒に姉ナンシーからの連絡を待っていた。
一家のルーツ探しの舞台は日本の東京に移っている。
発端はニューヨーク市長選に出馬したダニエル・ポーターの紹介で、メディアが彼の血筋に触れたことにある。
すなわち父方にアイルランド移民の血が、母方に黒人運動家の血が流れているという報道である。
けれども歴史学者であるダニエルの姉ナンシーが疑問を投げかけた。
彼女はもちろん両親でさえもそのように聞かされてきたが、対象者の詳しい人物像を掴んでいるわけではなかった。
選挙戦を終えた段階でナンシーは、父母双方の祖先について調査を開始した。
すると、彼らの親族が保管していた二通の手紙から意外なことがわかった。
父方の移住者であったアルバート・ポーターが孤児であった可能性があること。
更に母方の黒人運動家のレベッカ・モーリスの出生に不明な部分があることがわかった。
そして、いずれの手紙も差出人がナミ・ジョンストンという女性であったことから、今度は彼女について調べることになった。
ところが彼女の消息はニューヨークやその近郊には見当たらなかった。
そこでおおよその年代を特定してインターネットで問い合わせることになった。
その結果はるか海を隔てた日本から有力な回答がかえってきた。
情報提供は日本有数の薬品企業の創業家からであった。
東薬品工業の役員を夫にもつ婦人が、ナミ・ジョンストンは創業者の養母にあたる人物と同じ女性ではないかと言う。
彼女の名前は上林ナミと言い上林嘉右衛門の妻となり、夫婦で薬品製造事業を手掛け、血は繋がっていないものの創業者の東彦太郎を育てあげた。
もともとが日本の長崎出身で幼少の頃に米国人夫妻の養子となってアメリカ東海岸に渡り、二十台後半まで過ごした後、娘と一緒に再び日本に戻ってきたと言う。
年齢的にはナンシーの予想とほぼ一致したし、なにより決定的だったのは、東婦人が添付してきた娘ソラからナミに宛てた手紙であった。
ソラは母親と別れ単身アメリカに渡り教師になっていたが、文面にレベッカ・モーリスと思える名前が記載されていた。
そこには、レベッカの母親が夫からの暴力で亡くなったこと、更には彼女が自分の出生の経緯に悩んでいる様子が書かれていた。
そのことは、レベッカの母親が以前にも暴行を受けてレベッカが生まれたとする想定を裏付けるものであった。
それは彼女の子孫であるナンシーやダニエル一家には悲しむべき事実ではあったが、一方ではその後、女性参政権を目指す黒人運動家にどうつながっていくのか関心が膨らんだ。
そして同じく東婦人からもたらされた知らせには思わず小躍りしてしまった。
ソラの求めに応じて上林ナミが夫と共にアメリカに渡り、多数の知人と撮った集合写真が現存しているという。
もしかしたら、そこにレベッカが写っているかもしれない。
更にアルバート・ポーターも入っているかも。
東婦人から写真データを送付してもいいとの申し出があったが、ナンシーは直接現物を見たいと思い東京の東邸に行くことになったのである。
「ハアーイ、ナンシーよ。皆見てるかな」
「良く見えているよ姉さん。パパやママ、家族も一緒だよ」
ダニエル・ポーター一家の全員が自宅の居間にある大型サイズのモニターの前に集まっている。
「私は今、東京の東邸の一室で電話回線を借りて喋っているのだけど映っているかしら?」
「ああ、鮮明に映っているよ。だが、よく使わせてもらえたな」
「ええ、東婦人はとても親切でいい人よ。ニューヨークにも時折いらっしゃるそうで、これからもお付き合いしていきましょうって言い合っていたの」
「僕からもよろしく言っていたと伝えてくれないかな」
「わかったわ。ニューヨーク市長がそう言っていたと伝えておくわ。さて、私の今居るところは東京の中心部にあって昔、薬嘉堂という薬の問屋があったところなの。かなり古い歴史があった店で代々の店主は嘉右衛門と名乗っていたそうよ。そして今から百四十年ほど前の最後の嘉右衛門とアメリカから日本に里帰りしてきたナミ・ジョンストンが結婚したそうよ」
「じゃあ、ソラというのは?」
「ナミの連れ子だったそうよ。ソラはその後アメリカに戻り成人して教師になるのだけれど、ナミは日本に留まったらしいわ」
「すると、手紙に書いてあったパパとか兄さんというのは?」
「パパというのは嘉右衛門のことで、兄さんというのは嘉右衛門の前の店主の孫にあたるそうよ。彼は東彦太郎といって今の東薬品工業の創業者なの。嘉右衛門とナミの間には子がなかったそうよ」
「血のつながりがなかったのか。それで家族としてうまくいっていたのかな」
「東婦人が言うには、逆にそれだからこそうまくいったんじゃあないかって。嘉右衛門はもともと上の階級の出身で、子供の時に政変があって没落したのを見かねて前の店主が面倒をみたそうよ。大変優れた人で、すぐに仕事を覚え成長して薬品の製造に乗り出したそうなの、その後、次の嘉右衛門を名乗ってから、そのころ出会ったナミと二人三脚で事業を拡張したそうよ。そして創業者になる彦太郎には両親がいなかったそうで、更にナミ自身も孤児だったのをアメリカ人の養子になって海を渡ったって言っていたわ。おそらく、お互いが不幸な境遇を体験していることで強い絆が生まれたのではないかと想像するの」
「わかったわ」
その時、ナンシーの母親が声を掛けた。
「ソラの手紙にナミだったらレベッカを励ますことが出来ると書いてあったわ。ナミも同じような生い立ちだったのかもしれないわね」
「そう、ママの言う通りよ。私もそう思うわ。ソラはそのことを知っていたから、レベッカと通じ合えると思ったのだわ。もしかしたらレベッカも母親から耳にしていたから、ナミに会いたかったのかもしれないわね」
父親もうなずきながら言った。
「なるほど、あの手紙には様々な思いが込められていたのだね。そのような大切なものを見せて頂いてあらためて礼を言わなければならないな。ところで写真もあるそうだが見せて頂けるのかい」
「ええ、東婦人から了解を頂いているから大丈夫よ。写真は娘ソラの求めに応じて、次の年にナミが夫の嘉右衛門と一緒にアメリカに渡り、ニューヨークで彼女を慕って集まった人たちと撮った集合写真よ。びっくりするくらい大勢の人たちが写っているわ」
「その中に私たちの祖先が写っているのかい」
「そうよ。ナミがようやく日本から戻って来たというので、会いに来たんだわ。それを目にして涙がでちゃったわ」
「一人一人名前が書いてあるのかい?」
「書いてないわ。でも見ればわかるの。あらあらあまり説明が長くなりすぎてじれったく思われるわね。今からモニターに移すわよ」
ポーター一家の全員が固唾を呑んでモニターを見つめる。
しばらく部屋の一角が写っていたが次の瞬間、写真画像に画面が切り替わった。
ピント合わせの後、ズームで適当な大きさに伸ばされる。
それはモノクロであったが、ホテルの前庭のような場所で撮った記念写真であった。
「ほんとだ。大勢の人が集まってきたんだ」
ダニエルの息子の一声に皆頷きながら画面をのぞき込む。
おおよそ四十人くらいの人々が前から四段に横並び写っている。
服装は年代を思わせるが女性が多く子供も連れてきている。
もちろん皆初めて見る顔であった。
ナンシーの声が聞こえてきた。
「前列中央に移っているのが手紙の送り主のソラよ」
ソラはよほど嬉しかったのであろう顔に笑みが溢れていた。
「その両側が両親の嘉右衛門とナミ」
向かって左側の嘉右衛門は真剣な眼差しであったが、逆にナミは少し微笑みを浮かべた穏やかな表情であった。
「やはり優しそうな女性だな」
「ああ、ここに集まった人たちが彼女の帰国を願っていたのが分かるような気がするよ」
「そうね、皆から慕われていたのは間違いないわね。彼女のことだから、もしかしたら日本から便りを寄越していたのかもしれないわね」
彼女が送ったポーター家の祖先への心温まる手紙の内容が、一家の人々の頭を掠めた。
「それからナミの左隣の女性を見てもらえるかしら」
ナンシーが言うと彼らの目は左側に移った。
最初に気がついたのはダニエルの母親だった。
「レベッカよ。この女性はレベッカ・モーリスよ」
「ママの言う通りよ。私もそう思うわ。レベッカには数枚の晩年の写真があるけど、顔の輪郭が似ていると思うわ」
レベッカは大変若く、しかも明るい表情をしていた。
目鼻立ちからして彼女が白人の血が入っていることは明らかであった。
「見てごらん、ナミの左手がレベッカに触れているよ」
写真をよく見ると、ナミが一番気遣っているのがレベッカだということがわかる。
「ナミはどのような話をしたのでしょうね」
「おそらく、親友であったレベッカの母親の思い出話をしたのだろうね。そして出生の悩みを和らげたのだろう。もしかしたら、ナミは自らの生い立ちを引き合いに出し、少しも気にする必要はないと説いたのだろうね」
「そうね、それで自信を持ち自分が進むべき道を見出したのだわ」
「なんだか二人は実の母娘のようですね」
「多分その後もナミは娘のソラと同様に、親身になってレベッカの面倒をみたと思うわ。そして、この日はレベッカの生涯にとって忘れられない日になったでしょうね」
その時、ダニエルの娘が画面を指さして声を張り上げた。
「パパア!あの人」
一同は一斉にその人物を眺めた。
ちょうどレベッカの斜め後ろの男性はスーツ、ネクタイ姿の装いで実直そうであったが、その隣にいるのは息子と妻だと思われる。
「そうか、それで見ればわかるっていったんだな」
「なるほどね、アルバート・ポーターに間違いないわ」
「なんだか、パパが百年前に戻ったみたい」
皆がアルバート・ポーターと思われる男性を見ながら口々に言い合った。
「そうね、ナミ・ジョンストンが二十年ぶりに戻ってきたというので一家で駆けつけてきたんだわ」
ナンシーが言うと。父親が応えた。
「そうだな。どうやらこの親子も私たちのルーツであるようだな」
ダニエル・ポーターは頷きながら、その男性の顔を食い入るようにみつめた。
自分と瓜二つのその男性の顔を。
(完)




