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苦手な方はご注意ください。

同級生を殺したい〜17の夏〜

作者: NEKO

作者誕生祭という事で。

御宝候 ねむ/NEKOおめでとう!(自分で言うのもおかしな話)

今作『同級生を殺したい』の初作タイトルは『同級生を殺したい〜中1〜』でした。タイトル通り、作者が中学一年生当時に書いたものです。かの有名な(?)『NEKOの手帳』に紙媒体でしか残ってません。手書きの為、字数も約4,725字。5,000字に満たない超々短編。

その約二年後。『同級生を殺したい』がgooブログ『NEKOのベル』にて連載開始。これは確か作者が中三の頃にリメイクした『同級生を殺したい〜中三の夏〜』を校正して投稿したものです。

以後はリメイクのなかった『同級生を殺したい』。何度か話したかも知れませんが、中学の頃に人生で初めて1,000字を超える物語を書いた、その作品が『同級生を殺したい〜中1〜』だったんです。思い出のある作品なんですよ。

さて、今回は作者の実年齢とは違う年頃の主人公。過ぎ去った日々を感慨深く思い出しながらね……。そんなに昔の話でも無いですが。

作者は主人公の「僕」とは全くと言って共通点がない(と言いたい)人です。

だがしかし!ブログに投稿された『同級生を殺したい』のあとがきにこんな記述が。

「ここで告白しますが、私は決して人が好きではありません。主人公同様、嫌いです。ただ、誰一人嫌いな人物がいない。と、いう方は稀だと思います。誰か一人は嫌いな人がいると思います。突然ですが、犯罪者とそれ以外の者の違いは行動するかしないか。偶然が重なって犯罪者になってしまった。運良く犯罪者になっていない。それだけの違いだと思います。私と『僕』の違いは行動したかしていないか。犯罪者ではない方は『僕』とは違います。ただ、誰か一人でも嫌いな人物がいるのならば私と同じです。そんな方々に私を批判、軽蔑する事、病んでると思う事は許されないと私は思います。」(『同級生を殺したい あとがき』より引用)

あらら。まぁ、昔の自分がなんか言ってたなぁぐらいな感じで。忘れましょう。

頭はまあまあかな?ごく平均的だと思います。医者の息子でもないですし、医学の知識は皆無です。なので、作中に登場する毒物の効果等々、間違えがあると思います。プロじゃないんですから悪しからず。

一応、大ハズレは書いてないとは思いますけど……。

誕生祭記念リメイク作品という事で、長々と前書きで語ってしまいましたが、本編はこれからです。

どうぞお楽しみ下さい。


僕は他人ひとが大嫌いだ。

その気持ちは家族である両親に対しても変わることのない感情である。

当たり前のことだが、同級生なんかも大嫌いだ。

「同・級・生」という言葉の響きからして嫌いだ。

園児だった頃には流石にそんな感情は持ち合わせていなかった。

だが、小学生になってからだんだん思いは強くなっていき、遂に耐え難くなった。それが高校二年生、華の17セブンティーン

小中学校は義務教育である。行かなくてはならないし、行かせなくてはならない。

しかし、高校に強制力はない。行きたくないなら進学なんてする必要がない。

だが、実際問題不可能だ。

残念ながら学歴が物言う社会において「中卒」は昔で言うところのエタヒニンと同等の扱いを受けてもおかしくない。

事実上、高校に進学しないと生きて行くのが困難である。ならば義務教育にすれば良いのに。

そんな事を一般人がほざいても何も変わりはしない。

子供は大体、高校入試で自らの実力を知る。

「受験」というものが人を偏差値という数値によってランク付けするからだ。

偏差値40はバカ。50は普通。60は頭が良い。70まで行くと天才と呼ばれたりする。

バカにならないために、せめて普通以上でいるために中学三年生の頑張れる連中が頑張って50以上になっていく。

頑張れない奴が下へと向かっていく。

別に受験批判をしている訳ではない。何が言いたいのか。

高校とは同じレベルの知識知能を有する者たちが自然と集まってくる。

小中のバカ天才カオス教室と同じではないという事だ。

私の他人ひと嫌いもバカ天才カオスのせいで加速したのであって、高校に入れば治る…まではいかないにしても、マシになると思っていた。

現実は理想とかけ離れるものだ。

普通付近の連中は努力しなくなった途端、普通以下になる。

つまりはバカになるという事だ。

もちろん集まってきた皆がバカ上がりの普通人な訳ではない。

努力をせずに地頭できた者。学力はないけど体力、乃至ないしは知力が優れて者もいる。

つまりは「受験」というフィルターを通してもなお、教室はバカと頭の良い奴らによるカオス。

一年耐えた。周りが変わる事を望んで。

二年になった。周りは変わらなかった。

ずっと心の奥に秘めてきた思い。もう耐えきれる気がしない。限界だ。

僕は心に決めた。

同級生を皆殺しにする。

当たり前の事を話すと、学生というものは日々の生活の大半を学校で過ごす。その時に一緒にいなければならないのが同級生だ。

つまり、同級生を皆殺しすれば日々の生活の大半を人と関わらずに生きられる。なんて幸せなんだ。

殺人計画において、まず考えたのは殺し方だ。刺殺、扼殺、毒殺。思い浮かんだ殺し方はいくつもあった。一つずつ実現可能かどうか考えてみる。

刺殺は目立つ上、大量殺人には向いていない。また、殺害した事がすぐに警察に分かってしまう。それでは意味がない。

扼殺も一人ひとり殺していく必要があり、刺殺と同じ理由でダメだ。

対して毒殺は大人数殺害に向いている。しかし、犯人がすぐに分かってしまう。生き残るのが犯人だけになってしまうからだ。

どうすれば良いか……。

理想は大量殺人可能、且つ実行が僕だと分からない完全殺人にすることが可能な殺害方法だが、そんな都合の良い殺し方があるはずもなく。

しばらく検討した結果、毒殺を利用する事にした。

確かに大量殺人には向いているが、犯人がすぐに分かってしまう毒殺だが、全員に毒を盛らない方法ならば。少人数に盛って全員殺せる手段があれば。

そう考えていたら、思いついたのだ。

近々(ちかぢか)学校行事で京都へバスで行く。そのバスの運転手に毒を盛れば、事故で皆殺しだ。

自分も死ぬかもしれない。本末転倒だろうか。

だが、僕には何故か死なない自信がある。それに事故で同級生を皆殺しにした上で生き残れば運命に、神に生かされたという事になる。

仮に僕も死ねば、それは運命が、神が望まれなかったという事だ。

事故を誘発する方法として、他にタイヤをパンクさせる、爆弾を設置するなど別の方法も考えたが、思いついたものは確実性がなかったり、運転手に毒を盛るより困難だったり。

結局運転手に毒を盛る作戦が一番確実性が高く、可能であるといった結論で落ち着いた。

さらに作戦の詳細を決めていく。

京都に到着するまでにバスは二つの大きな高速道路を通る。東名高速道路と名神高速道路だ。

このどちらかで事故を起こせば間違いなく死者が出るほどの大惨事だ。

殺す方法は決定した。次にどの毒を使うか考えた。

そういえば肝心な事を忘れていた。

高校生が人を殺せるような毒を手に入れるのはほぼ不可能である。

日本という国は年間約三万人もの自殺者がいるにも関わらず、非常に死ににくい国なのだ。

多感な世代、中学生はまだ危険かもしれないが、高校生ぐらいなら致死毒を手に入れることが簡単な社会であっても良いと個人的には思うのだが。

さて、僕は高校生であるが、致死毒を手に入れるのは非常に容易な事なのである。

何故なら私の親は開業医という特殊な環境の元にいる高校生だからだ。

そもそも、一般的なサラリーマンの家庭で育てられた高校生が同級生を殺したいなんて考え始めたら恐ろしすぎるだろう。

僕にとって生と死は状態でしかない。分かりやすく言えば、死なんて風邪と同列の扱いなのである。

理解してもらおうなんて思ってない。不可能だから。

常識は幼い頃の体験や周りの環境によって身につく。

何百という死を間接的といえども知る僕に、死を一般的常識の見方で捉えるように強制することの方がおかしな話だ。

話が逸れた。毒と一言で言っても様々なものがある。有名どころを挙げればヒ素や青酸カリ、テトロドトキシンなどだろうか。

挙げた毒物は古来より暗殺や私怨殺人に多く用いられてきた。だが、死後の遺体に毒殺の痕跡が残ってしまう。

完全殺人を目指す僕は、痕跡の残る毒を使うという選択肢はない。

名前を書いたら書かれた人が死んでくれる魔法のノートでもあれば完全殺人も簡単なのだが。死因は心臓麻痺とかで。

そんな魔法のノートは僕も知らないが、心臓麻痺で殺すこの出来る薬物は知っている。

カリウムである。

カリウムは人間、誰でも体内に持っている。もっと言えば生きる上で必要不可欠なものだ。

だが、過剰摂取すると筋収縮が調節できなくなり心停止を引き起こす。心臓麻痺だ。

バスの運転手が心停止を引き起こし死亡する例は何度も聞いたことがある。死因から怪しまれることは無いだろう。

使用毒が決まった次は、過剰摂取させる方法だ。

経口摂取させるのは困難だ。一番簡単なのは注射器による非経口投与である。

最近の技術は恐ろしく進化している。

針が髪の毛よりも細く、刺された事にも気づかない。痕も殆ど残らないで使用できる注射器がある。

糖尿病患者用の注射器である。

入院者を数十名抱えるほどの、そこそこ大きな病院である私の家には勿論カリウムも糖尿病患者用の注射器もある。

置いてある場所も分かっている。病院の薬品庫だ。

もちろん鍵がかかっている。だが、開けられる鍵を「鍵」とは呼ばない。

計画の大枠は決まった。あとは準備を進めるだけ。


学校行事、京都観光まであと一週間。準備は着々と進んでいた。

主役であるカリウムと糖尿病患者用の注射器は何の問題もなく持ち出す事が出来た。

病院の危機管理体制に問題を感じるが、今の僕には全く関係のない話だ。

連日全授業を騒がしい教室で耐える日々。

今までは心に縋るものは無かったが、同級生殺害計画を考えてからは京都旅行まであと◯日。このいつも通りの日々があと◯日で終わる。

そう考えながら日々の生活を乗り越えていった。

すると不思議と日々が流れるように過ぎていった。

いつの間にか三日前。

このクラス全員の命日まであと三日。この嫌な学校もあと三日だ。

自然と笑みが溢れる。

一人でに微笑んでいるなんて精神疾患の患者と大差ない。しかし、それを指摘してくる他人ひとはいない。

そして夜が明ける。

京都旅行まであと二日。クラスの話題は京都一色。金閣寺、銀閣寺、清水寺。小学生でも知っている有名観光地の話ばかりだ。

もう少し高校生らしい進歩的な話をしたらどうだ。そんな事を考えながら僕は今日も笑っていた。

勿論クラスの話が面白いからではない。

京都なら何度も行った事ある。裏の観光地も多く知っている。

クラスの話は当たり前すぎてくだらない。

そもそも京都に到着する前にみんな死ぬのに。あぁ、笑いが止まらない。

京都旅行の前日。

放課後に説明会があったが、明日が楽しみすぎて、内容が全く頭に入らなかった。別に入れる必要もなかったし。

家に帰って荷物の確認をした。学校に指示された持ち物ではなく、カリウムと注射器が入っているか何度も確認した。

寝るために布団に入っても全然眠れない。瞳を閉じても暗闇が広がるだけで、睡魔は一切襲ってくれない。

結局徹夜に近い状態で当日を迎えた。


京都研修旅行当日。

大きな鞄を持って、満面の笑顔で家を出た。

恐らく両親に引かれたことだろう。

数日ぶりに顔を合わせたら普段滅多に笑わない息子が満面の笑みで接してきたのだから。

集合場所である学校に着くまでの時間はとても長く感じた。

ようやく学校に到着すると、既に何人か同級生が到着していた。

くだらぬ話が至る所から聞こえてくる。これも今日数時間後まで。そう思うと全く気にならなくなった。

しばらく待つと点呼を取ったり、学年主任や教頭の話を長々と聞かされたり。

どうして学校というものはくだらぬ事を大切にするのか。さっさとバスに乗り込んでさっさと京都へ向かえば良いものを。

そんなことは考えたが、くだらない時間もこの後の事を考えると我慢出来た。

最後に引率の先生の紹介と挨拶があり、やっとバスに乗り込んだ。

荷物を大きい鞄と小さい鞄に分けて、大きい荷物はバスの荷台に。小さい荷物はバスに持ち込んだ。

カリウムと注射器は小さい鞄に入れてある。これがなければ計画は始まらない。

小さい鞄を大切に抱えて座席に着いた。運転手にカリウムを投与するのは休憩のために寄る、サービスエリアに止まっている時だ。

何も気づかない運転手は時速100キロを超えるスピードで事故を起こしてくれるはずだ。

サービスエリアまでは出発してから一時間ほど。

ほぼ徹夜でここまで来ている。眠って心を落ち着かせようと努めたが眠れない。結局一時間ずっと目を閉じていた。

サービスエリアに着いた時には三時間くらい目を閉じていた感覚だった。

十分弱休憩だ。みんなトイレや売店、自販機などに行っていてバス車内はほとんど人がいない。

僕にとっては都合が良い。

注射器の中一杯にカリウムを入れ、袖で隠しながら外へと向かう。

運転手はバス出入り口のところで引率教諭と話している。運転手の近くで靴ひもを直すふりをしてしゃがみこむ。

その時、僕の手にはカリウムが一杯入った注射器。

恐る恐る運転手の脚に刺して、ゆっくりとカリウムを投与していく。

運転手は話に夢中だ。気付いていない。話し相手の先生も全く気にしている様子はない。

全て投与し終えた僕は、何事もなかったかのように立ち上がり、売店などのある方へと早足で歩いて行った。

サービスエリアのゴミ箱に他のゴミと混ぜながら注射器等を捨てる。

これらには僕の指紋がべったり付いてしまっている。見つかれば計画は崩れる。

全てを終えた僕は満足げにバスに帰った。

続々と同級生が帰ってくる。これからこいつらが全員死ぬと考えると笑いが止まらない。

こらえる努力はしたが、口元が緩んでしまうのはどうしようもない。

大丈夫。心配ない。誰も僕が一人で笑っている事になんて気付かない。

運転手が運転席に座った。効果があるまでしばらくある。エンジンがかかって、バスが発車。高速道路本線に合流する。

スピードは恐らく時速100キロ程を保っている。

それで良い。そのスピードで事故を起こしてくれれば。運転手が死ぬまでが一番緊張状態にあると同時に退屈だった。

寝るわけにはいかない。感動の瞬間に意識がないのはもったいない。かといってやる事はない。何もする事なく座席に座っていた。

事は唐突に起きた。発車してから三十分ほど過ぎていた。

僕は運転席に目を向けている。運転手が死ぬのを見るためだ。

運転手は乗客を不安にさせないために、心臓が痛み出しても声をあげたりしないかもしれない。つまり見続けていなければ死ぬ瞬間を見れない。

運転手の横にある壁に頭を打つような音がした。みんなは騒いでいて気づいていないようだが、僕には聞こえた。

運転手は死んだ。

遂に、遂に同級生を殺せる。ずっと夢見ていた。その夢が実現できる。スピードは落ちない。むしろ加速している。

僕は外へ視線を移す。白いガードレールが近づいてくる。そして、そして。

バスは同級生と僕を乗せ、死の世界へと落ちていった……。


目覚めた場所は真っ白な世界。

これが死の世界なのか?まるで病院だ。窓からの景色、室内の匂い、部屋の造り。全てが父の病院に少し似ている。

僕は死んだのか?生き残ったのか?

全身が痛い。人の声も聞こえてきた。

……という事は生き残ったんだ。

この時は喜びを感じた。生き残った。

”Deus vult.”運命が、神がそれを望まれたんだ。

そんな事を考えていると、突然何者かが世界に入ってきた。白衣を着たおじさん。

僕は確信した。生き残ったと。

医者は目覚めた僕を見て少し驚いた様子だったが、すぐに同情の目を僕に向けてきた。

「私は君の担当医師です。これからいくつか質問をしますね。」

医者は自己紹介をして、色々質問をしてきた。記憶の確認だろう。高校生に対してするような質問ではない、簡単な質問ばかりだった。

一通り質問が終わったところで、僕の方から質問した。

「クラスのみんなはどうなったんですか?」

我ながら純真な子供を上手く演じられたと思う。

医者は僕から目をそらして病室を出て行ったが、すぐに新聞を手に持って戻ってきた。

事故翌日の朝刊だ。その新聞の一面には大きくこう書かれていた。

『東名で大事故 二人死亡』

二人……。たった二人しか殺せなかったのか……。

「ここは?ここの病院の住所は?」

「え?あぁ、神奈川県◯◯◯市XXXだよ。」

「事故現場から近いですね。私、実家が結構な大病院なんですけど。搬送先、結構分散している感じですかね。ここには重体の人が何人運ばれました?」

「うーん、そうだね。分散してるかな。うちの病院には五、六人しか運ばれてきていないね。他の病院に運ばれた者の安否は分からないけど、うちの病院では目覚めているのは君一人だけだ。事故現場から一番近い大病院がここだったからね。私の感覚だと特に重篤の人が多いかな。本当に君が助かって良かったよ。」

医者の言葉を聞きながら、記事の続きを読んだ。

『昨日、東名高速道路大井松田インター付近で高校生三十五人と教師を乗せたバスがガードレールを突き破り、山へ落下した。原因は運転手の運転ミスとみられる。この事故で運転手が心臓麻痺、 教師が全身を強く打ち死亡。生徒二十六人が重体。九人が重軽傷を負った。 』

確かに大事故は起こせた。

しかし、生徒を殺す事が出来なかった。それでは意味がない。

今、僕に出来ることは重体の生徒が死の世界へと向かう事を願うだけだ。

「ありがとうございます。少し疲れたので休みますね。」

そう言うと医者は一礼して病室を出ていった。

追い出すための言い訳ではなく、僕は割と本当に疲れていた。

ベットに寝転がっているだけですぐに眠りに落ちた。

明るい光で目覚めた。

ここ最近は寝て、勉強して、飯食って、寝て……といったとても気楽な生活をしている。

目覚めたその日に両親が見舞いに来た。病院が忙しいだろうに何故来たのか。

その時に勉強道具を持ってきてくれた。何もないと暇に殺されかけたかも知れない。少しだけ感謝。

本音をいえば本を持って来て欲しかったが贅沢は言えない。

両親は色々とクラスのみんな情報を教えてくれた。

僕は重体だったらしい。当初、目が覚めるか分からないと言われていた。

両親は僕に目覚めて欲しくなかっただろうに。目覚めてしまって、両親には悪い事をしてしまった。

重体の生徒の中で目覚めているのは僕ともう一人だけで、残り二十四人は意識が戻ってなかったり、既に脳死だったり植物状態だったりでほぼ目覚める事がないらしい。

機械に生かされるなら生き残った僕の為に死んでくれ。

残念ながら生き残った重軽傷の生徒たちは入院した生徒も全員退院した。

翌日からも両親は毎日見舞いに来た。良い迷惑だが、情報を持ってきてくれるから我慢出来た。

意識がはっきりしていても、骨折だ、なんだかんだでとても退院出来る状況じゃない。

入院している間のこの長い時間を無駄に出来ない。

一回失敗したから諦めるなんてあり得ない。次の殺人計画を考え始めている。

僕は同級生を殺すんだ。


今回の事故の最終的死者は二十四人にも及んだ。運転手、先生、生徒二十二人。この生徒の死者数には脳死も含んでいる。

この殺害方法ではバスの前の方に座っていた先生と生徒しか死ななかった。死亡から軽傷までいる。

同級生を全員殺せなかった。失敗だ。

日常生活に不便がない程度まで回復したところでようやく退院させてもらえた。

二ヶ月ぶりに学校に行くと、事故で重軽傷だった生徒達がまるで事故の事を忘れたかのように笑いあっている。

むかつく。いらつく。今すぐにでも殺してやりたい。

ただ、嬉しい事もあった。教室の後ろに事故で死んだ先生と正式に死亡と認められた十三人の写真が飾られている。

同級生が減った事により、少し静かになった教室だが、人がいれば僕はストレスがたまる。

何か気に入らない事があればこの写真達を見た。そうすると同級生が死んだ事を実感できる。それがどれだけ嬉しい事か。

失敗したのは事実だが、損をしたとは思っていない。多くの同級生を殺せたのも事実だからだ。

だが、もちろん満足はしていない。

僕は同級生を全員殺したい。それまで満足する事はない。今度は間接的には殺らない。直接手を下してやる。運転手を殺したように。直接この手で十人を……。

殺害方法は運転手にしたようにカリウムによる毒殺……と思ったが、十数人に投与するのはさすがに難しい。

家にある猛毒を使ってしまおうか。僕が殺ったと分からないように。

僕に疑いの目を向けない為には…他人が…偶然…自分は回避できる……。そうだ。毒入りのお菓子をみんなに送れば良い。

事故がテレビで大々的に報道され、うちの学校のうちの組には偽善者どもから見舞いの品が大量に届いている。

花や手紙が多いが、菓子折も大量にある。教室の後ろに自由に取って食べられるように置かれている。

人数分届いているものは、代理担任が一つひとつ生徒の席に置いておく。

見舞いの品が凶器ならば、生徒達を疑わうことはまずない。

家の薬品庫にある青酸カリを混入させておく。僕はその品は口にはするが、致死量にいかないよう気をつける。それでも死ぬかも知れないが、一度助かったんだ。もう一度助かる。

目の前で苦しみながら死んでいく姿が見られると考えると楽しみで楽しみで仕方ない。

決行は個々人に見舞いの品が届いた時。いつでも出来るように毎日青酸カリを持って登校するようになった。

次に見舞いの品が届いた時には全員揃っているはずだ。

見えない終わりの日を待つのは辛い。しかし、持ち歩いている青酸カリが心を落ち着かせてくれた。

見舞いの品が届く前に入院していた生徒たちも揃い、生存者が全員教室に揃った。

遂にいつでも同級生を殺せる……。

数日後。朝登校すると皆の席に見舞いの品が届いていた。遂にこの日が来た。今日がクラスメートの命日となる。

僕は退院後、学校に復帰して以来、一番に登校している。

一人ひとりへの見舞いが来ているか確かめるために。そして届いていた場合、毒を盛るため。

今日を迎えるまで何度も練習してきた。

一応密閉された袋入お菓子に毒を入れる方法。角に小さな穴を開け、そこから青酸カリを入れていく。

慣れて手つきで進めていき、誰にも見つかる事なく全員分完成させた。

そして僕は一度家に帰った。一番の登校者にならないためだ。

少しでも疑われる可能性は消しておきたい。

家で興奮している心を鎮め、遅刻しない程度の時間に再び学校へと向かった。

僕が教室に着くと、同級生は全員登校してきていた。欠席なし。

皆、机に置かれていたお菓子は机の横に掛けていたり、鞄の中にしまっている。まだ誰も食べていないようだ。

大抵、見舞いの品は昼食後にみんな食べる。しかし、あくまでも大抵であり、お持ち帰りする場合もあれば早めに食べてしまうこともある。

準備段階では全く気にしていなかったが、準備を一通り終えて気づいた。

今回の作戦は綱渡りである。一つ想定からずれて事になれば実現出来ない。

しかし、今更だ。運命に、神に生かされた僕の行いは肯定される。

昼休み。午前中の授業は当然の事ながら全く頭に入ってきていない。

作戦が無事に成功するかの不安と、同級生の死に対する喜びが入り混じって、頭の中は混沌としている。

みんな家から持ってきた弁当やら菓子パンやらを机の上に出す。そして、見舞いのお菓子も。

見渡す限り、みんな今食べてくれるようだ。

喜ぶのはまだ早い。

机に出していても、食べない可能性は十分ある。お菓子を全員が口にするまで油断出来ない。

お菓子を食べてから数分で効果が出て、息が出来なくなるだろう。

遂に安心出来る瞬間が来た。同級生が次々とお菓子を口に運ぶ。

一人、また一人……。全員が口にした。僕も周りに合わせてお菓子を食べる。

待つのが苦痛だった。しかし、その苦痛もクラスメートの叫び声で吹っ飛んだ。

「うっ!」

雑談で騒がしかった教室に断末魔が響く。すぐに気づいたのは二、三人。

その二、三人も続々と首を押さえながら倒れていく。

死神が伝播するように次々と。

もう笑いをこらえられなかった。

「ははははははははははははははははははははははははははははははは……」

こんなに笑ったのは久々だった。最高に幸せだ!

最後の一人が笑う僕を見ながら倒れる。

僕もそいつの目を見る。負の感情が感じ取れる。

それが最高に嬉しい!

酸欠になる程笑い、僕は気を失った……。


目覚めたのは再び真っ白な世界。

見慣れた病室。どうやらここは親の病院だ。

計画は成功した。僕は生きている。そして同級生は死んだ。

何故、僕は気を失うだけで済んだのか。

確かに僕の食べたお菓子にも青酸カリは含まれている。

しかし、全て食べても致死量に満たない程度。ほんの僅かだけ。その上、僕は一口しか口にしていない。

本当にただの酸欠である。

対して同級生は青酸カリを致死量含むお菓子をみんな完食していた。

死なないはずがない。

とにかく。同級生のみんなは死んだ。全員殺したんだ。改めてそう思うと嬉しさが込み上げてきた。

しかし、嬉しさと一緒に感じたのは虚しさである。

悟ったのだ。

同級生を殺したところで、同じ学年の子供は日本全国に約百万人いる。

そして日本には一億二千万人、世界には七十億人もの他人ひとがいる。

どれだけ周りの人を殺しても、周りの他人ひとはただ変わるだけで、またすぐに現われる。

僕は他人ひとから逃げられない……。


目覚めてから数日間、学校の校長、教頭が見舞いに来た。

先生方や新聞、報道番組などで、僕は二度の悲劇の中、唯一生き残ってしまった不幸な子供としか思われていなかった。

見舞いに来た者達は僕に慰めの言葉をかけていく。そんな僕は別の意味で絶望の淵から這い上がる事が出来ずにいた。

どうせ退院したら他クラスに編入されて、新たな同級生が現われるのだ。

僕は他人ひとから逃げられない。

世界は僕を一人にはしてくれない。何も考えたくなかった。

ある日、病室に警察官と名乗る者達が二人来た。額に冷や汗が流れる。

「初めまして。私は警察の〇〇です。こちらはXX。さて、私達は先日起こった大量殺人事件の生き残りであるあなたに、当時の状況などを尋ねに来ました。思い出したくない事もあるかもしれませんが、ご協力お願いします。」

そう言って、一方的に質問してきた。

別に僕を疑っている訳じゃない。そう自分に言い聞かせ、答えられる質問には答えた。

内容は明らかに被害者にする質問だった。ひとまず安心だ。

だが、他に容疑者候補がいる感じではなかった。油断出来ない。

その後、僕は警察と会う事はなかった。

事故の時とは違い、比較的にすぐ退院出来た。元々酸欠が原因だし、家が入院先なのでいつ退院しても問題なかった。

退院手続き後は自室には帰らず、まず学校に両親と行った。

今後の話をするためだ。校長室で話し合った。

「今後、どうしますか?」

結論は最初から出ているにも関わらず、校長はそう言ってきた。

因みに僕の通う高校は地域トップレベルの偏差値を誇る。医者の息子だ、当然である。

近くに同レベルの高校は皆無。遠くまで通わなければならない。

校長側も転校なんてあり得ないという前提の元の質問である。

そして、残念ながらこちらも同意見である。

親は子供がこの高校に入れた事をどうやら誇りに思っているらしい。

学校を何故か信頼している。こちとら二度も死にかけているのに。意味が分からない。

意見の一致。僕は世間から呪われた学校と呼ばれるこの学校の他クラスに編入するに決まっている。

結局、大した事も話し合うことなく予想通りになった。

冗談じゃない。せっかく同級生を皆殺しにしたのに一人になれない。

学校なんて二度と行くか。すっかり忘れていたが、不登校という道がこの世界には存在する。

帰り道。親に良い子を振舞って言ってみた。

「やっぱり、学校怖い。落ち着くまで休んじゃダメ?」

僕は今まで無遅刻無欠席。不登校になるなんて両親とも思わないだろう。

「……分かった。落ち着くまでな。」

自分から聞いておきながら意外な回答。許してくれた。

これで新たな同級生に会わなくて済む。ただ一つ問題がある。

僕はどれだけ大人ぶっても子供、未成年であることは変わりない。

子供には望まずとも親、乃至ないしは保護者がいる。

親がいる限り、再び学校に行かなくてはならない日がいつか必ずやって来る。

僕は一つの結論に達した。親を殺せば良い。

前から殺したいと何度も思ってきた。しかし、親がいなければ僕は生きていけない。

もうそんな事はどうでも良くなった。今は親を殺せれば良い。そして残された人生を一人で生きるんだ。

同級生を殺す過程で知った、試してみたい殺害方法がある。

それは対象が寝ている時に行う。簡単な方法だ。必要な物はタオルと水のみ。

手順は、まず対象を寝かせる。熟睡の方が好ましい。

次にタオルを濡らす。大きめのタオルの方が成功率が上がる。

最後に軽く絞って、対象の口に載せる。呼吸が出来なくなり、窒息死する。

人はなんて簡単に殺せるんだろう。今夜、両親が目の前で苦しみながら死んでいくさまを見届けてやろう。

思い立ったが吉。決行は明朝午前二時。僕の幸せな人生までのカウントダウンが始まった。


明朝午前二時。

真っ暗な中、両親の寝室へと忍び足で向かう。その両手には濡らしたバスタオル二枚。体に太いロープを巻いてある。

両親の寝室に到着した。まずは二人とも手足をロープで縛る。タオルを口元から退かさないようにする為だ。

熟睡していて起きる気配がない。僕の見舞いなどの為に空けていた時間分、他の時間が忙しくなった二人の食事に強力な睡眠薬を盛るのは造作もない事だった。

二人の口元に畳んだバスタオルを載せる。畳んであっても両親の顔ほどの大きさ以上ある。

少し離れたところに座って様子を見た。すぐに母親が苦しみだした。しかし、抵抗虚しく最期は電源を抜かれた機械のように止まった。

死してなお苦しませる。タオルはしばらく顔に置いておく。

母は死んだ。しかし、ここで問題が起こった。

母の暴れる音でどうやら父が起きてしまった。

僕は急いで父に馬乗りになって、タオルを口元に押さえつける。父は抵抗して暴れる。すごい力だ。危うく落とされそうになった。

「さっさと死ねっ!」

僕は思わず叫んでしまった。

その言葉は実の子供から言われたものだと認識したのだろうか。父は生きる力を失ったかのように抵抗する事を止めた。

そして、ゆっくりと力が抜けていき、息絶えた。


ハッ。目が覚めたのは両親の寝室だった。

僕は両親の亡骸と共に寝ていたようだ。

最期に子供と寝る事が出来て幸せだろうか。最期の瞬間まで嫌いだった子供と一緒で不幸な人生だったと思っているか。

遺体は何も語りはしない。僕は立ち上がると部屋を出て、二度と開ける事のない寝室の扉を閉めた。

これで僕は一人である。僕に関わる人間はいない。

親の死体はそのままにした。どこかに捨てるより、家にあった方が安全だ。

この日は来訪者が多かった。全員取材の為に来たらしい。一流進学校で殺人事件。それだけで世間のネタにされるというのに、更に事件の唯一の生存者だ。

注目されるのは仕方ない。もちろん全員無視するが。

そんな日々が何日か続いた。

その数日間、なんの進歩もなく、犯人の特定はしばらく出来ないと連日報道番組で言っていた。

日本の警察は機動力だけが取り柄で本当に無能だ。高校生の犯罪すら暴けないなんて。

毎日報道番組を見ながら笑っていた。

僕が親を殺してから二週間経った。

訪ねてくる報道関係者は未だに数が減らない。むしろ増えているように感じる。

その上、同級生の親や、病院の職員が来るようになった。

報道関係者は一日ニ度、午前と午後に誰かがチャイムを鳴らして、反応がなければ家の前にカメラを構えてその場にいるだけだから良いが、同級生の親や、職員達はしつこくドアをノックしたり、外から両親や僕を大声で呼んだりする。

同級生の親が何故うちに来るようになったのかは謎だが、病院の職員は二週間連絡がつかない状況が続いてようやく動き出すとは、院長だった父もなかなかかわいそうな分類の人間だったんだなぁ、と今更ながら思ったりした。

そんな事を呑気に思っていられるうちはまだ良かった。

日に日に同級生の親の人数と滞在時間が増えていった。そして衝撃的なことに、なんの根拠もなく僕が殺人犯ではないかと報道のカメラの前で喋るやからまで現れた。

警察からも生存者からも全く情報が得られない報道は食いついた。

物語として考えれば自然と浮かんで来ても不思議じゃない。

残念ながら可能な環境にいるのが僕だ。

『悲劇の呪われた学校の真犯人は唯一生き残りの生徒?』

流石に報道番組でこんな取り上げ方はされないが、ワイドショーに遠慮はない。

「?」をつければ何を言ってもどうにかなると思ってるのだろうか。

スタジオに著名な専門家とやらを呼んで、語らせる。

「唯一生き残った生徒の親は医者で、実家が病院だとか。大きい病院ならばシアン化カリウム、いわゆる青酸カリがあっても不思議ではない。彼に可能かと聞かれれれば可能だと私は答えますね。」

「なんて事を。二度の悲劇を幸運にも乗り越え、生き残った生徒さんの目の前でもそんなことが言えますか?状況証拠のみで犯人扱いするなんて考えられません。」

現実。犯人は僕だし、僕の家の前で「この人殺し!」と叫んでいる人は何人もいるよ。面白いね。

しかし、この騒がしさ。もう我慢の限界だ。

折角同級生を皆殺しにして、両親までも殺して手に入れた孤独を侵されているのだ。

ここにいる奴らを全員殺したい。

しかし、それは不可能であり、無意味だ。

僕は僕に出来る事をする為に来訪者全員から僕が見える場所、家のベランダに立った。

「お集まりの諸君。よく聞け。カメラは回っているかな?」

聴衆の視線が一気に僕へと集まり、静まり返る。僕は深呼吸した。

「僕は……他人ひとが嫌いだ。僕に関わる人を全員殺したかった。小学生の頃に芽生えたその気持ちは歳を取るにつれて増すばかりだった。どうにか小中学校は乗り越えた。義務教育だから馬鹿どもがいるのも仕方ない。私の他人ひと嫌いは混沌とした教室のせいで加速したのであって、高校で次元の高いところへ行けば治る……まではいかないにしても、マシになると思っていた。しかし、地域最高峰の高校に入ってもマシになんてならなかった。他人ひとに限界を感じた。僕はもう他人ひとと関わりたくない。同級生を殺したい。だから高二の今、実行した。最初の計画はバスの交通事故に見せかけた大量殺人。当初はこのバス事故で全員殺すつもりだった。バスの運転手にカリウムを大量に投与して心臓麻痺で殺した。検死すると良い。どうせ忙しい警察様は事件性がないと判断してやってないだろうからね。血中カリウム濃度が異常だと思うよ。残念ながら事故では全員殺せなかった。だからうちの学校に大量に届いていた見舞いのお菓子に青酸カリを盛って、生き残った同級生を全員殺した。目の前で同級生が苦しみながら死んでいく姿を見るのは圧巻だった。しかし、全てを終えて悟ってしまった。どれだけ周りの他人ひとを殺しても、代わりの周りの他人が現われるだけ。僕の行為は無駄だった。いや、それに気づけたという点では無駄ではなかったかもしれない。僕は一人になる為に、他人ひとと関わらないで済むように両親を殺して、この家に引き籠った。それでも僕は一人にはなれなかった。お前等まえらが一人にさせてくれなかった。もう僕は一人になりたいんだ!だから……」

見えぬ人々を含めたらどれくらいなのだろうか。僕は報道陣、同級生の親、病院職員が待つ地上へと多くの他人ひとに見守られながら飛び降りた……。

僕は死ね。そう思った瞬間、全身に衝撃が走った。痛い。尋常じゃなく痛い。

……死にきれなかった。

周りに先程までの聴衆が集まってくる。な……何をする気だ。

周りの奴らの怒り。地面に横たわっている「僕」にぶつける他、選択肢がなかった。

痛い……。痛い……。痛い……。やめて……。やめてくれ……。お願いします、やめて下さい……。


「同級生を殺したい」と心から願い、その夢を実現した「僕」は高二の夏、絶望と自らの鮮血の海に浸りながらこの世を去った。享年17歳。


お楽しみいただけたでしょうか。

リメイクするにあたり、初作『同級生を殺したい〜中1〜』を読み直したのですが、当時感じたままを出来るだけ残したくて、今作は『同級生を殺したい〜中1〜』+『同級生を殺したい(〜中三の夏〜)』+加筆

でお送りしました。その為、強引な繋げ方をしているところもあり、違和感を感じたかも知れません。そんな未熟さも売りです。

さて、今作で登場した殺し方についてのお話を。

最初のカリウムによる心臓麻痺。実際に起こるっぽいです。一度に多量に投与されると。ただし、腎臓の機能が弱まってきていることがどうやら重要なようです。

次の青酸カリによる殺人。強引な殺し方でしたね。実際は実現不可能だと思いますよ。それでもこれは物語です。

最後に両親の窒息死。確かに殺すことは可能ですが、作中の父親みたいに暴れてしまい、現実ならタオルが顔から落ちてしまいます。作中では抑えてどうにかしてますが、人間の生存欲は高校生一人で押さえつけられるものではありません。実際に可能なのは寝たきりで日常生活において介護を必要としているような方に対してなどだと思います。

介護生活に疲れてしまったそこの貴方!絶対に真似しちゃいけませんよ?殺人ですから。

そういえば作中で作者は「僕」が同級生皆殺し計画を実行する上で「完全殺人を目指す」と書いていますね。完全犯罪ではなく。

ここには殺人という行為を犯罪から乖離させて、肯定化しようという意図があります。危険な考えですね。

「理解してもらおうなんて思ってない。不可能だから。」

さぁ、この作品のあとがき恒例のお断り。

今作品に登場する諸々は作者の創作でありまして、実在はしておりません。私含めこんな人間いません、多分。

次作もお楽しみに!

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