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語似奪似(ごじだつじ)  作者: 半信半疑
13/15

13 欲しがりさん

「今日はじゃんじゃん食べていいよ」


 私は友人の誘いで回転寿司に来ていた。

 何か良いことでもあったらしい彼は、鼻歌を歌うほどに上機嫌であった。


「そろそろ何があったのか教えて頂戴よ」

「あー聞きたい? 聞きたいか? この欲しガリさんめ!」


 酢漬けの紅しょうがをボリボリ食べることで、湧き上がる苛立ちを誤魔化す。

 テンションの高い友人は(只管に)鬱陶しかったけど、おごられる立場なので仕方なく乗ってあげた。


「聞きたい聞きたい。それで、何があったのよ?」

「むっふぅー」


 友人はいくらの軍艦巻きを食べながら、にやついている。

 正直、蹴りの一つでもくらわせてやろうかと考えたが、我慢した。口に大量の納豆巻きでも詰め込んでやろうかとも考えたが、我慢した。私、えろい。


「この前宝くじを買ったんだ」

「どれくらい?」


 聴くと、友人は右手の人刺し指と中指を建てて答えた。


「諭吉二人」

「まじっすか」

「まじっす」


 日頃からパチンコや競馬に手を出している友人は、けれども小学で楽しむ輩だ。それが今回の宝くじに限って、諭吉を二人も使ったらしい。


「当たる四冠でもあったの? 普段はそんなに使わないじゃん」

「そうなんだけど、あの日は違ったんだ」


 あの日? 漏れでも多かったのかしらん? …いや、こいつ男だったわ。


「あれはたしか一億……いや、三週間くらい前、この店でガリを食べまくっていた時のことだ」

「何やってんのよ…」

「店中のガリというガリを食べまくっていた」

「遠慮しろよ」

「手持ちが無かったから」

「だとしてもだよ」


 ガリばっかり食べやがって。


「それで、続きは?」

「それで、ガリをがりがり食ってたら、口の中に違和感が生まれたんだ」


 ツッコみは姉妹。


「何か遺物でも入ってたの?」

「吐き出して見て見ると、なんとそれは…」

「それは?」

「…まぁ、遺物だったわけだ」


 溜め息をつきつつ、形容しがたい顔をする友人。

 言い辛いということは相当アレなものだったのか…。

 それから彼は、沈んだ顔から無理矢理テンションを上げた後、続きを話しはじめた。


「そこで俺は思ったわけよ。『悪いことがあったから、今度は良いことがあるはずだ』ってね」


 だからって宝くじに諭吉を二人も書けるなんて…。しかもそれで本当に当てるなんて…。話の流れから察するに二万以上、それも、大きく設けたのだろう。


「あんた運がいいのね」

「そのおかげで、お前も寿司を食べれるって寸法よ」

「じゃあ今日はお腹一杯食べることにするわ」

「おう、じゃんじゃん食え。俺はもう、ガリだけを食べるから」


 もう一度当たりを引きたいのかしら?

 星狩りね、意味違う気もするけれど。


 それから私たちは、各々のお腹を満たした。

 友人はまた宝くじを買ったらしいけど、今度は外れたらしい。まざぁ。


「あれはたしか一億……いや、三週間くらい前、この店でガリを食べまくっていた時のことだ」

→やはり『一億』ではなく『一万』とすべきだろうか。

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