表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
守り神
8/108

学校探検

 お昼、美代子のクラスに行くと、ミカが、寝不足なのか、ボーッとしていた。お弁当を広げて、食べ出すと元気になったが、美代子に、後で、ノートを見せて欲しいと言っていた。


「服作れた?寝てないんでしょ」

「そうでもないんですが、普通の人より寝ていないかも。他の神社も、廻ってみませんか。やっぱり、布が足りないですよ」


 美代子は、ははーんという顔をした。

「もしかして、試して見た? 鏡に映るって言ってたよね」

「まだ完成じゃあないです。でも、これを着ているほうが、もっとHっぽく見えます」

「見てみたい」

「私も」


「面白がらないでください。必死なんですから」


 しかし、美代子は、ウインナーを食べながら難しいかなと話した。

「でも、特別だと思うよ。本殿の、それも、勾玉の敷布なんて普通もらえないよ。麻衣がいたから、潔がくれただけで、普通は、ありえないと思うな」


「潔さん、麻衣さんの事が好きなんですか」


 私は、食べていた卵焼きを逆流させた。


ぶっ


「ちょっと違うかな、潔は、保育園のころ、ずっと麻衣の後ろに、くっついてた。付き人みたいなものよ」

「一緒に遊んでただけよ」

「結構、命令してたよ。潔もすぐ反応してた。いっそ、潔もオカルトクラブに入れたらいいんだよ。そうしたら、もっと協力してもらえるよ。先生にだって創部を相談しなくっちゃいけないんだから」


「ちょっと厳しいです」

 ミカは残念そうな顔をしている。


「そのうち馴れるって、どうせ潔も、帰宅部だから。考えといて、力仕事要員も必要だよ。猫ちゃんみたいに、いい子ばかりとは限らないじゃない」

「猫ちゃんなんだけど、明日にしない。みっちゃんも一緒に行けるし」

「私もそのほうがいいです。相当手直し、しないといけないから」


 美代子は、潔も巻き込みたくて仕方ないようだ。確かにあいつなら、私の事を変な子だとは思わないだろう。小さいころは、潔の方が、お化けとか妖怪が好きな子だった。興味示すだろうな。ミカきっかけで、潔も誘おうかと、思い出した。


「御飯食べたら、学校の探険に行くからね」

「探険ですか」

「私は、クラスが違うでしょう。ずっと、此処で、お弁当食べるの、気が引けるのよ。いい場所が見つかったら、オカルトクラブの打ち合わせも、しやすいでしょ」

「良いと思います」


 ミカも賛成してくれて、この後、学校探検に出かけることになった。良くテレビの学園ドラマで、お弁当を屋上で食べるシーンが有るけど、うちの校舎は、木造だから、屋上はない。部活をやっている人は、部室で食べている人もいる。でも、私達は、今のところ帰宅部だから、真剣に探さないと、いい場所は見つからない。

 校舎は、コの字型になっていて、隣が体育館、向かいが、運動場になっている。2階建ての古い校舎だ。体育館とは反対に、特別教室がいっぱい入っている別棟がある。音楽室や、家庭科の教室、視聴覚教室などもある。理科の実験室は、ちょっと酢酸くさいし、家庭科の実習室は、人でいっぱいだ。とにかく別棟が、可能性高いという事になり、まずそこに向かう事になった。ここは、雨が降っても連絡通路が有るから、いつでもこられる。体育館もそうだが、運動場の運動部関係の部室は、大変だ。別棟の校舎は、生徒達で、勝手に特別棟と呼ばれていた。購買部は、その通り道にある。コの字型のちょっと出っぱった所だ。


 特別棟に着いた。入り口からすぐあがった所は、音楽室だ。2階にある音楽室の隣は、視聴覚教室で、ここが、ねらい目だと真っ先に向かった。しかし、みんな考えることは同じだ。上級生もいて入りずらい。パソコン教室もそうだ。鍵がかかる教室は、部室にもなっている。人気があるか、部室になっていて、ちょっと厳しいのが特別棟だった。音楽室から対面の第2視聴覚教室が、ブラスバンド部の部室だ。ここも、いっぱいだ。家庭科の実習室は、女子ばかりだったから、何もない時はいいかもと思った。でも、私達の話しは、他の人が聞いたら変だから、もっと人が少ない所を探すことにした。


「なかなか、いいところないね」

 美代子は、ブラバン(ブラスバンド部)の先輩と話して、結構充実していた。

「そうですよね。あまり他の人に、私達の話しを聞いて貰いたくないし」

「そんなの教室だって同じじゃん」

「まだ、みんないるから、まぎれて分からないだけよ。そのうち、先輩達みたいに、部室で食べたりするようになるんじゃない」


「分かってる、今、先輩から情報貰ったんだ。体育館に行って見ようよ。穴場かもしれないから」


 それは、体育館の2階にある備品室の事だった。1階の備品室と違い、殆ど使われていない物を置いているから、人も来ない。でも、汚いよと、言われていた。行って見ると、確かに埃っぽい。でも、思ったより広いし、窓から明かりが取れているから、明るい部屋だった。置いている物も、体育祭や文化祭で使うものが主なものだったので、ちょっと大変だけど、片付けて掃除をすれは、立派な部屋ではないかと、なんだか希望が出てきた。


「椅子は、体育館の椅子を拝借しようよ」

「体育祭用の長机もあるし、いいんじゃない」

「最高ですよ」

「先生に相談するのは、もうちょっと後かな、ミカ次第だよ」

「そうだね。正式部員二人はきついか」と、美代子。

「潔さんですか」

「かな」


 とりあえず部活申請は、急がないと言うことで話はまとまった。体育館では、お昼休みも終わりが近づいたからか、生徒が、まばらになっていた。麻衣子とミカが、放課後掃除をする事になり、急いで教室に帰った。



 放課後、体育館の1階から掃除道具を持ってきて、私とミカは、大掃除を始めた。掃除をしたから分かった事だが、この部屋の床は、体育館と同じ板でできていた。多分拭き掃除をすると、綺麗な木目が出ると思う。ついでに、棚の埃も落とす事になり、ブレザーを脱ぐことになった。私は、そんなに身長が低いわけではないが、ちょっと前のほう(胸)が、未発達だ。ブラウスが、少し透けているのも気になる。ミカも同じぐらいの身長で、もう、全部見ちゃったから、分かるけど、私と同じ感じだ。でも、胸は、私よりある。しかたないか、と、思いブレザーを脱いだ。ミカは、やっぱり私の胸を見た。こういう時は、同姓の方が大胆発言をする。何気ない一言が、友達を傷つけるのよ。


「麻衣さん、胸ないんですね。牛乳飲んでます」

 ほっとけ、ミカー

「うん、飲みだした」

「大丈夫ですよ。多分私の1年前と同じぐらいだから、すぐです」

 うー、1年

「うん、ありがと。掃除しよ」


 私は、笑顔で応対した。この後、家に帰って、いつもの倍、牛乳を飲んで、良子さんに、お腹を壊しても知らないからと怒られた。それで、良子さんに教えてもらったんだけどヨーグルトもいいみたい。牛乳だと自棄で飲んでいるように見られるので、それからこういうことがあった日は、ヨーグルトを食べるようになった。


 部屋を片付けていると、サルとか牛とか動物のお面がいっぱい出てきた。多分文化祭のだ。もう一回使うのは、無理っぽいと思ったが、埃を払って綺麗に整理した。重いものも出てきた。大型のテントや、雨避け用のビニールなどだ。重くて触れないので、寄せてごまかした。それでも終わってみると、立派な部屋になった。自画自賛かな。あまり綺麗になっても、他の人に使われるだけだから、こんなものだろうと思った。


 私が、腰に手を当てて、部屋を眺めていたら、ミカが、こそこそと、目立たない所に小さく、『オカルト部』と、ネームプレートをつけていた。私も、賛成だ。これは、我が部の小さな一歩である。今のところ帰宅部だから部長はいない。


「それじゃあ帰ろう」

 私は、相当気分が良くなっていた。部活の方針など、のんきに忘れていた。


「本屋さんに寄りますよね」

「なんで?」


「手話やるって決めたじゃないですか」

 そうだった。夢の世界のミカとは、話せないんだった。

「テレビでも、手話教室有りますけど、二人いますから、一緒にやるのがいいと思います」


 手話ができるようになると、世界が広がる。今まで話せなかった人とも話せるようになる。私は、小学校の通学路にいる、いつもニコニコしているお坊さんを思い出した。ミカと一緒に会って話をしたいのだが、今は無理だろう。まだ、ミカの水着スタイルは見ていないけど、多分、ミカに言っても、殆どストリップ状態の格好では、会ってくれない。本当は、水着姿だと思ってもらいたいのだが、シーズン的に無理だろう。何をやるにしても、第一歩からだ。それで、手話を勉強する事にした。本屋さんは、駅前のロータリーにある。CD屋さんとかが並んでいる所だ。でもそこに、制服で行くと怒られる事がある。私達は、一回家に帰って着替えてから本屋さんの前で待ち合わせをした。


 ここの並びに、よさそうな喫茶店がある。おこずかいが、あまりないから、いつも、入り口を見ているだけだが、手作りパンのパン屋さんからも入れるから、中も見た事がある。一番気になるのは、レアチーズケーキだ。しかし、セットで買うと大変だ。せっかくミカと待ち合わせをしたが、今回は、本を買うだけにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ