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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
守り神
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初めての部活

 結局翌日、私の部屋に全員集合になった。美代子は、2泊目だ。私の家だと近いからフリーパスだったそうだ。そして、私達も9時に寝て、目覚ましで、12時に起きた。美代子は、なかなか起きなかったので、鼻をつまむと「殺す気」と言って起きてきた。美代子が、少し窓を開けてあげようよと言うので、そうして、ミカを待った。




 見えない光の夜。私の夜は、とても明るい。見えない光は、昼間より際立って見える。少し虹色架かった、その色は、発光しているせいか透明架かっていて、とても綺麗だ。燃える女、美代子は、言葉通りだと暑苦しそうだが、実際は、暖かくてやさしい炎だ。美代子が部活で忙しかったから、金魚鉢の中に見える、丘の話はしていない。久々にゆっくり話せたので、金魚鉢の風景の話をした。その丘には人がいっぱい居る。金魚が通ると、風景が歪むのよと言うと、変わった風景ねと興味を示してくれた。


 美代子が、ふわっと風が来たというので窓のほうを見てみると、ちょっと前かがみに、窓の所に寄り添って、もうちょっと窓を開けてと言う仕草をするミカがいた。堂々と、窓の前で飛んでいてくれたら、天使みたいで、カッコいいのにと思う。自分が裸なのに、いまさら気がついたという感じだ。


「ミカ来たー」

「うん、窓の所にうずくまって、もうちょっと窓を開けて欲しそうにしてる」

 そう言いながら、窓を開けてあげた。やっぱり、こそこそ入ってきた。


「裸だから、こそこそしているのよ。今更なのにね。こっちは筆談できるけど、ミカはどうしよう」

「いいもの持って来たんだ」


 美代子は、自分のバックから、あいうえお表を出した。ネットからコピーしたみたい。


「これを指差してもらえば完璧よ。どう、私が居て良かったでしょう」

「みっちゃん、冴えてるー。今日は、ずっと調子いいね」

「どんどん、誉めていいからね」


 部屋を明るくしても、私はミカを見る事が出来るけど、本人が恥ずかしそうなので、薄暗く調節して、話しをする事にした。薄暗いほうが、発光しているから、綺麗なのも確かだ。私は、ノートに「ミカは、窓際に座ってちょうだい。話すときは、あいうえお表を指差すのよ」と、書いて見せた。ミカは、「はい」と、あいうえお表を指差した。私が読んで、美代子が書記をしてくれる事になり。真夜中のオカルトクラブが始まった。美代子は、議長もやる気だ。


「じゃあ、始めるわよ。ミカってどんな感じ」


 私が、正座をしているミカを見ると、ミカは、イヤッという感じで、羽を余分に胸にまわして隠した。女同士だし、じろじろ見ているわけでもないのだが、12の乙女という事ね。


「裸だよ。正座していて、羽で胸を隠してる。下は、ぴったり足を閉じてるけど、なんかエロイかな。天使になって、すいませんという感じよ」


 美代子は、書記だから、私の話しも書いている。


「えー、なんかエロイと。他には?」

「みっちゃん、ミカが後で読むのよ。卒倒するような書き方しないでよ」

「大丈夫よ。だと思う。それで、」


 私は、胸を指差して、お守りを見せてとジェスチャーした。やっぱり持っていた。


「お守りを持ってる。お守りの袋も、はっきり見えるわ。緑に発光していて、透けてもいない」


「オッ、重要事項じゃん。お守りは、透けていない。ミカは、窓際のどの辺り」


 私が、指差すと、美代子は、その辺を見て、「よう」と手を上げミカに挨拶して、書いたものをあいうえお表の横に置いた。

 ミカは、真っ赤な顔をして、「わたしエロくありません」と、指差した。


「いやいや、そこじゃあなくて、ここ」


 美代子が指差したのは、お守りの所だ。ミカは慌てて、お守りをすかしてみたりしている。


「私にも、透けて見えません」


「やったじゃん。なら、話しは簡単で、ミカのおばあちゃんの、実家の神社に行って、巫女さんの衣装を貰うなり、お守りを作る時みたいに服をお払いしてもらえば、服着れるんじゃない」

「はい、今、言ったのも書く」

「へえへえ」


「私は、勾玉も関係あると思うんだ。だって光ってるじゃない」

「私らも、お守り欲しいから、ミカの実家に行くのが最初になりそうね」


 そう言いながら、美代子は、ノートをミカに見せた。ミカは、手で口を押さえて感動している。ここまで来るのも、勇気がいったのだろう。知らなかった時は、素っ裸で、平気で飛んでいたんだろうなと思うと、ちょっと間抜け。


「ミカ、泣きそうなぐらい感動してるよ。葉子さんの所はあきらめて、ミカのおばあちゃんの実家に行ったほうが良くないかな」

「そうね。おばあちゃんの実家は、どこ?か」

「和歌山です」

「遠いよ」

「一泊じゃない。実家に泊めてもらえないか聞いて見て。連休の時じゃあないと無理よ」


 美代子は、その辺も書いていたが、面倒になったのか、後にしないかと言ってきた。


「細かい話は、明日してもいいんじゃない。それより、私も気になる事があるんだ。羽には触れるのかな」

「どうだろ、本人に断ってよ」

「よしきた」


 美代子は、お守りの話しを後にして、羽が触れるか確かめて欲しいと書いた。それから、麻衣にも触らせてみてくれないかとも。私は、ちょっと期待して触ってみたが、素通りする。


「触れないわ」


 しかし、本人は違った。


「触れます」


「じゃあ、羽を抜いてみて」と、美代子。

「痛いんじゃない」

「でも、他人が検証するんだから、大事な事よ。抜けた後の羽根も見てみたいでしょ」


 ノートを見たミカが自分の羽根をなでていたが、思い切って一本抜いてくれ、床の上に置いてくれる。そういえば、床の下には、素通りしない。


「羽をぬいて、床の上においてくれたわ。真っ白で、大きな羽根よ」


「じゃあ、この羽根が、いつまでここにあるか確かめたいね。それから、麻衣は、ミカの羽をなでて見て」

「あっそうか」


 触れなくてもその仕草をしていれば、相手もそれに答えてくれる。しかし反応がない。悔しくなって、手をくちばしの格好にして、ぴっ、ぴっ、ぴっ、ぴっ、と、つついてみた。物凄く嬉しそうに笑っている。


「くすぐったいじゃあないですか。やめてください」と、答えが帰ってきた。


 それじゃあと、脇をくすぐる仕草をした。ミカは、床に倒れて笑った。初めて会ったときに思った通りめちゃめちゃ可愛い。しかし、裸だ。なんかエロイ。上手に大事な所を隠しているから、なおさらだ。


「何やってるの?麻衣」


「くすぐってるのよ。ものすごくエロイ感じで、のた打ち回ってくれてるわ」

「ウワー、見てみたい」


 ミカからは、「まいりました」と、答えが帰ってきた。やっぱり、触ったのと同じ効果が有るようだ。美代子は、これも重要事項ねとノートした。


「今日は此処まで?」と、美代子に聞くと。

「本当は、もう一つあるんだけど、まだ、麻衣のお父さんがリビングにいるから無理ね。ミカにも、金魚鉢を見てもらいたかったんだ」

「そうかー 今度、私の部屋に置いとく」


「筆談って、結構かったるいし、今、ミカといろいろ話して約束しても、忘れちゃうでしょう。やっぱり明日ね。ミカは、なにかある」


 すると、ミカから「くすぐられたから、お返しがしたいです」と、言って来た。

「子供か!」と、思ったが、美代子が「やってやって」と、言うので、やらせることにした。ミカは本気で、美代子をくすぐり出した。


「うふ、うひょ。えっ、う、うー アハハハハ。だめ、くすぐったい」


 私は、慌てて美代子の口を塞いだ。美代子が、本気で笑い出すと、とっても声が大きいからだ。案の定、下からお母さんが怒った。


「麻衣子ーまだ起きてるの。もう寝なさい」

「はーい。ごめんなさい。すぐ寝るー」

「ごめん」

「ごめんなさい」


「多分、認識していると、干渉し合えるという事じゃない」


 しかし、これは、一大発見じゃないかと思った。今まで、只、見えていただけの世界が広がった。ミカと美代子と私は、最高の仲間だ。


「私達って見えない光の世界を解明できるんじゃない」

「最強のコンビだね」と、美代子。

 ミカが、あいうえお表を指差した。

「トリオです」


 美代子は「アハハハ」と、笑ってごまかしながら手を差し出した。私は、その手の上に手を重ね、ミカもそうしてきた。三人ともすごく楽しくなった。


「まず、そのエロイの何とかしないとね」とミカに言うと、急にくすぐってきた。本当だ、くすぐったい。私は、両手を合わせて、「ごめーん」と、謝るほかなかった。

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