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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
守り神
25/108

ミカの告白

「ごめんください」


 ミカが来た。美代子が玄関に迎えに行く。町に来る時ミカは、萌え系のファッションで来る。今日も、とっても可愛い感じで現われた。私が、ミカに、龍の髭を触ってもらって、ロケットの説明をしていると、潔もやってきた。ついでに、ミカと潔を並べて説明した。


「五百円で、銀のロケットが買えたのよ。龍の髭を鎖代わりにひもに使うの正解だと思わない」


 ミカは、大賛成だったが、潔が、ごねた。


「悪くないけど、桃泥棒した時、杯だと厳しくないか。龍の髭で縛るのも手だろ」


 一理ある


「分かったわ、私だけ、いつでも見る事ができるから、ロケットに入れとくね。潔達は、写真入れなよ」


「絹糸だけで大丈夫かな。龍の髭で結んだロケットの方が安全じゃあないか。種集めが終わるまで、綾見が、二本もっていなよ。それなら安心だ」

「だったら、私のを使ってください。私は、お守りを持っていますから」


 もめてきた


 困ったなと思った時、紗江子さんが、ホットケーキとお茶を持ってきた。私は、カフェオーレ初挑戦だ。


 紗江子は、潔の心配に答えを出した。


「全員のロケットを作っていいと思うわよ。こんな感じに、絹糸を編めば、縛るより簡単に持ち運べるわ。二つ併せるともっと確実ね」

 そういって、輪っかでネットを作って見せた。あやとりで遊んでいた私達は、なるほどと思った。

「これだったら、私も作れるわ」

「私も」

「どう、分かった」

「おばさん凄いや」

「潔さんがOKなら、龍の髭のロケットは、みんなお揃いですね」


 ミカにそう言われ、私は、龍の髭を絹糸に織り込みロケット製作に入った。


「それから、鍾乳洞の話しは、待ってちょうだい。やり方は、有るのよ。出発点に杭を打って命綱をくくりつければいいの。でも、その前に、どれぐらいの人が知っているのか、調べる方が先決ね。私が知らないぐらいだから、一般の人は、知らないと思うのよ。見えない光の世界にとって貴重なのなら、秘密にしたほうがいいと思うわ。光の得意分野だけど、暫くは、潔君にがんばってもらうしかないわね」


 私達も、真剣に頷いた。龍の祠には、秘密の森がある。潔が、がんばると宣言した。


「じゃあ、オレの調査待ちだね。この祠の事を調べるには、時間が掛かると思うんだ。一度は、龍頭神社の宝物庫を調べる必要がある。同郷の神社の好で、出来ないことはないけど。父さんに紹介してもらわないと厳しいよ。それに、古い文献は、字が難しくて、まだ勉強中だから、いざとなったら、スマホで撮影して、調べながら読むしかないんだ。相当苦戦すると思う」


「潔なら、すぐよ」

「そうかな、最近ゲームをする暇がないよ」

「ぼやかないの」

「いい事じゃない」


 私達にそう言われ、潔は、苦笑いするでもなく、嬉しそうに笑った。


 美代子は、ホットケーキをほおばりながら、話しを進める。


「龍の祠は、潔待ちね。笠置神社の狐の事は何か分かった?」


「狐だけど、どれぐらいの大きさだった?大狐と子狐の話が有るんだ、もしかしたら、同じ狐かもしれないけど」


 私は、どう、答えようかと思い、ついミカを見てしまった。


「子狐です」


「そうなんだ。どの辺りで見たのかな。狐塚があるとおもうんだ」

「神社の縁の下に、入って行きました」

「それじゃあ、縁の下を調べてみようよ。親と逸れた人懐っこい子狐が、住み着いていたそうなんだ。あれっ、木野さん詳しいね」


「私が見た話しですから」


 ミカったら潔に自分の事を話す気になったんだ


「へっ、木野さんも見えない世界が見えるの?」


「はい、夢でなんですけど」


「エーーーー」

 潔は、ソファからずり落ちた。ちょっと勢いついて、でんぐり返っている。ミカの横に座っていたからなおさらだ。


「ぷっ、何してんのよ」

「木野さんが見えるなんて、聞いてないぞ」

「だって、話してないじゃん」

「みんな、知ってるのか?」

「私も知っているのよ」と、紗江子さん。

「ごめんなさい。あまり、人に話せるような話ではなかったからです。夢の事を知っているのは、おばあちゃん以外、麻衣さん、美代子さん、それと、紗江子さんだけです」


「ミカのことは内緒よ。分かるでしょ」


 潔は、私に言われて、素直に従った。そうよ、話してみれば、簡単なことだ。私のことも、小さいころから、ずっと秘密にして来た潔が、ミカの事を分からないはずがない。


「分かるよ。おどろいただけださ。それで、何時からそうなんだ。夢の話しを調べてくれって言ったから、まだ継続中だよ」

「私は、早生まれで、二月二十九日なんです。四年に一回だけのうるう年の日に生まれましたから、今年の誕生日は、その日で、いつもは、三月一日です。その頃からだったと思います」


「そっか、それで、十二歳になったら、お守り貰うんだ」

「お守り?」

「これです」


 ミカは、首から下げているお守りを胸から出して潔に見せた。

「中に、小さな勾玉が、はいっています」


 ミカは、潔に勾玉を紗江子にお守り袋を渡して、ぽつぽつ、話しだした。


「私、空を飛ぶのにあこがれていたんです。男の子が考えているように、飛行機とかじゃあなくて、ふわふわ浮いていかったんです。初めて飛んだときは嬉しかったです。最初は、地上からちょと足が離れていただけだしスピードも歩くスピードと変わらなかったんですが、夢だし本当に楽しかったです。そのときは、麻衣さんみたいに、見えない光もそんなに見えていませんでした。だから、町明かりが有るほうに、ふわふわ、向かいました」


「十二歳の誕生日から、ずっと飛ぶ夢、見てるの?」


「そうでもないです。いい事があった日は見るのですが、落ち込んだり、今日は、何もなかった、何て思ってしまった日は、見ていないです。麻衣さんや、美代子さんと友達になってからは、楽しい事が多いので、ずっと飛んでいますけど」


「そうなんだ」


「古代の巫女は、石と話しをしていたそうだよ。龍の祠を調べていたら、その話が出てきた」


 そう言いながら、勾玉をミカに返す。ミカは、紗江子さんに勾玉を見せながら話しを続けた。


「最初は、家の周りから遠くに行った事はなかったのですが、中学に上がって、通学するようになったので、遠出をしました。学校の近くに神社があるから、挨拶しておこうと思って、お参りに行った時に、狐を見かけたんです。私を見て、すぐ、縁の下に入って行ったので、一瞬だけでしたけど、子狐でした」


「じゃあ間違いない、コンだよ。百年ぐらい前の話しだから、最近の話しだよ」


「ごめん潔、先に、ミカの話しを聞いてあげて、ちょっと面倒な話しも有るのよ。話すのよ。ミカ」


 私に促されて、ミカが、お守りの話しを切り出した。ミカは、顔を真っ赤にして、下を向いていたが、決心したように話しだした。


「麻衣さんに夢の私が、見えるんです。それまで、気づかずに飛んでいましたが、裸で、飛んでいました。麻衣さんに教えられて、初めて鏡を見たんです」


「でも、すごいのよ。ミカには、背中に大きな羽が生えてるの。今は、背中に小さく収まっているけど、夢の中で、広げると片翼二メートルぐらいの大きさがあるわ」


 潔は、エッチな想像ではなく、天使のほうを想像したようだ。表情で分かる。紗江子さんや美代子が、潔をいい子だと評しているのは、こういうところだ。


「今は、潔さんに貰った、勾玉の敷物を水着に縫い直して着ています。ありがとうございました」


「勾玉の敷物?」


「私が、潔から貰ったじゃない。最初、この勾玉の入ったお守りだけは、持っていたのよ。黄緑色に光ってた」


 私に言われ、ミカが、真っ赤な顔のまま頷く。


「うちの本殿にあった勾玉にもご利益があったって事か」


「そうよ、売り物のお守りは、光っていなかったけど、勾玉とその敷布は別格だった」


「そうなんだ、今度から、売り場に置きっ放しにしないようにするよ。お払いは、ちゃんとしているんだよ」


「潔の神社も、本物だったって事だよ。それより、お守りのことで、大変な事が分かったんだ」


「そうなんです。お守りは、おばあちゃんに貰いました。おばあちゃんの実家は、弥生時代から続く神社です。最初の巫女は、夢で占いをしていたそうです。その後も、たまにそういう巫女が現われたそうですが、いつもというわけでは有りません。それで、もし、私の事が、おばあちゃんの実家に知れたら、直系の血を引く巫女として、どんな手を使ってでも、おばあちゃんの実家に、私を連れて行くだろうと言うのです」


「酷い話よね」

「ありえないわ」

「私も、その話は、すごく気になるわ。潔君調べてあげて」


「それで、夢見巫女か。おばあちゃんの実家は何所なんだ」


「和歌山です。おばあちゃんには、神社の名前も、住所も教えてもらえなかったのですが、天岩戸伝説のアメノウズメを奉じているそうです」

「うちと系列が違うな。でも何とかするよ。こういうのを勉強する人が減っているから、結構歓迎されるんだ」


「系列って?」


「古事記の神は、現人神だよ。うちのは、土地神信仰になるのかな。城山で死んだ人を慰霊している事が有名だけど、うちが青龍をお祭りしている神社なんだ。だからお祭りは、盛夏にやっているだろ。水掛祭りとも言われている。御輿を見たら分かるよ。天辺に龍がいるから。だから秋参道の話しに驚いたんだ。地龍だと東西が入れ替わることになる。そうしたら、オレの神社には、白虎もいることになるんだ」


「玉ってこと」


「どうかな、それより親とはぐれた狐の方が気になるよ。大狐伝説だと、真っ白だったそうなんだ。麒麟って首が長いじゃないか。猫より狐のほうが近くないか。本当は、うちに居なくちゃいけない気がするんだ」


 潔の気持ちはわかったが、私は、ミカの事が心配だ。


「狐はコンよね。後で話しを聞いてあげる。ミカのことで、他に分かることないかな」


「天使の羽だよね。翼ってことだけど、ギリシャ神話や聖書の世界だよ。古事記だとカラス天狗だけどなー 違う話しをしてもいいか。みんなも空を飛ぶ夢だったら見たことあるんじゃないか。木野さんが他の人と違うのは、綾見に会った事だよ。もしかしたら綾見に会うために木野さんの夢見の力が目覚めたんじゃないかな。二人いると、見えない光の世界が検証できるだろ。俺から言わせて貰うとすごすぎだよ。その上羽だよね。翼は、自由の象徴で、夢の中を自由に飛びまわれるってことだよ。綾見と出会っただけでもすごいのに、羽にはもっと強い意味が有ると思うんだ」


「私とミカが出会うためか、そうかも」

 私とミカは、ほのぼのした。


「だから、木野のおばあちゃんの実家は、けん制して、今ここにいる事を大事にした方がいいと思うよ。羽は、過去より、未来のために有るんじゃないか。例えば、オレ達の子孫の為かも知れない。二人は、見えない光の世界をもっと理解する事の方が、大事だと思うんだ」


「さすが、光の子だわ。説教っぽいけど、筋が通ってる」


「おばさん、説教くさいって」


「やーね説教っぽいって言っただけじゃない。お母さんは、誉めているのよ」


「いいんじゃない。説教くさくても、私は、ミカと出会えたことがうれしかったな。玉のおかげだよ。玉が引き合わせてくれたの」


「わたしも、みなさんと出会えて嬉しいです」


 みんな、なんだかホッとした。


「ホットケーキがさめちゃったわね。暖めなおしてくるわ。美代子は、もう、食べちゃったからダメよ」


「お代わり有りにしようよ。お母さん」


 美代子は、みんなのホットケーキを持って、紗江子の後について行った。


「それで、潔にお願いが有るんだ。ミカの服のことよ。勾玉の敷布は、ありがたかったんだけど、それだけだと足りないのよ。何とかならない」


「ごめん、厳しいと思うんだ。この間、勝手に勾玉の敷布を綾見にやっただろ、父さんに怒られたんだ。綾見じゃあしょうがないって言っていたけど、今度は、理由を話せって言ってくるよ。新しい敷布と取り替えて、古いのを持ってくることは、出来ると思うんだ」


「じゃあ、そうして敷布代は何とかするから」

「お願いします」


「わかった、何とかするよ。オレは、龍の祠の森に、着たい服を置いておくのがいいと思うけど」

「そうね。やって損はないわ」

「はい」


 紗江子さんもそうだが、潔は強い味方だ。


 この後私達は、龍の祠の光る森に、黒いケースを置いた。桜の木の下に埋めた黒いケースの中には、ジーパンやTシャツを入れてみた。美代子が、武器も必要だよ。と、言うので、ナイフケースつきの革バンドと小さなナイフも、そこにいれた。私のお父さんは、凝り性だが、一度飽きると、見向きもしなくなる。ナイフもそうなので、ミカが、「これ、高そうです。いいんですか」と聞いて来たが問題ないといった。後で、隆さんが、「ナイフどこ行ったかな」と、ぼやいていたのを聞いたときは、心で手を合わせて謝った。


「もう一つ分かっている事があるの。夢の中のミカは、最初、玉を触れなかったのね。だけど、玉が一瞬だけど、触らせてくれているの。龍神様や、祠の杯のことも有るから、ミカも何かを理解すると、触れるようになるかもしれないのよ」


「私が、城山に行こうと思うと、潔さんの神社を通ることになるんです。まだ飛ぶのに馴れていないから、カラスの巣に落っこちて、追い立てられたんです。それも見えないほうのカラスが四羽も。クチバシでつつかれると、とっても痛かったです。玉さんの所に逃げ込んで助けてもらった時、泣いちゃいました。その時、玉さんが触らせてくれて、とっても安心したんです」


「神社のカラス?悪い者ではないはずなんだけど。うちの守護は、カラス天狗なんだ。その使いのカラスかな」


「ちゃんと飛べなくて、カラスさんの巣に落ちたのは私です。謝りに行きたいのですが、すごく怖かったので、近寄れないです。城山に通って、海を眺めるのが日課になっているので、カラスさん達とも、仲良くなりたいです」


「とりあえず、うちの神社にお参りしなよ。綾見達も一緒なら怖くないだろ。本殿の扉を開けるから」


「そうね、急に夢で謝りに行かないで、のんびりやったらいいのよ」

「麻衣さん達も、一緒に来てくれますよね。潔さんお願いします」

「気にしなくていいよ。木野さんは、です、ますで、話すから、こっちが恐縮しちゃうよ。うちは、いつでも、ウエルカムなんだ」

「すいません」

「ミカったら、そこは、ありがとうでしょ」

「はい、ありがとうございます」


 美代子が、ホットケーキを持って戻ってきた。自分の分もゲットしたようだ。美代子は、身長が、160センチ近くある。いくら食べても太らない体質なのか、カッコいいスタイルをキープしたままなので、本人は、安心して食べる。紗江子さんが、あきれるぐらい食べている。夢の世界の物に触れる、触れないは、潔にとって、未知の領域だったようだ。紗江子さんも交えて話した結果、真理子が、何等かの答えを出すのではないかという話しに落ち着いた。結論を言うと、真理子も、巻き込むことに決めた。


 話が落ち着いた所で、紗江子さんが、写真を撮らないかと言ってきた。


「せっかくロケットを買ったのだから、庭で写真を撮らない? 私が撮ってあげる」


 そういわれ、身長が高い潔が一番後ろ、同じ身長のミカと私が左右、美代子にしゃがんでもらって撮影した。



 この後、紗江子さんも一緒に、城山神社にお参りして、玉のところにいった。紗江子さんも玉と友達になる事が出来た。私達の集まりの中心には、いつも玉が居る。私達が、勝手に玉のところに押しかけているだけだが、玉が、見えない光の世界を実感させてくれる。夢のミカと引き合わせてくれたのも玉だ。



 潔にオカルトクラブの話しをした。


「やっぱり体育館の備品室を勝手に使ってるのまずいよね」

「顧問になってくれる先生に心当たりがある。赤城先生」

「社会科の!」

「白髪の先生だよね」

「赤城先生は、お歳だから、どこの部の顧問もしていないんだ。綾瀬たちが、玉の名前を見つけたように、社会科の勉強のような部だって言えば、引き受けてくれるよ」

「任せていい?」

「わかった」


 潔は、四人目の部員になってくれた。中学一年の春、行楽シーズンの晴天日の今日は、初夏を思わすほど暖かだった。


 潔は、この後すぐ、オカルトクラブを創部にこぎつけている。赤城先生は、潔が自分に言いに来たのだから、部長をやりなさいと、顧問になる条件を出した。神社の息子だから、それなら、ホローしなくても楽だと思ったらしい。潔の奴、すぐ創部出来たのに、自分が部長になったものだから2学期まで、それを黙っていた。

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