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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
守り神
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龍玉

 ミカの家は、寝るのが早い。寝る前に、おばあちゃんを自分の部屋に呼んで、おばあちゃんの実家に行きたいと話した。そして、思い切って夢の話しもした。おばあちゃんは、ミカの話しを否定しないで、黙って聞いていた。


「夢であったこと事が、日に日に現実味を帯びているのですね」


 本当は、もう、殆ど現実だが、麻衣さんの話はしなかった。


「はい、最近では、羽を広げて、飛ぶ事が出きるようになりました」


 おばあちゃんは、元々正座をする人だが、座りなおして襟を正す仕草をした。


「ミカが、わたくしの実家に行く事は、お勧めできません。もし、実家の誰かが、この話しを聞いたなら、あなたは、私の実家に引き取られてしまうでしょう。わたくしの実家は、そういう家なのです」


 いつもやさしいおばあちゃんの厳しい顔をミカは、初めて見た。


「夢の私は、裸です。お守りは、私が、唯一携帯していたものです。巫女の衣装がないと、とても恥ずかしいです」


「それは、少し、解決しているのでしょう。あれは、神殿用の布ではありませんか」

 おばあちゃんは、部屋に干しっぱなしにしていた。手作りの下着をみながら話す。


「友達に貰ったものです。これでは足りません」

 おばあちゃんは、いつものやさしい顔になっていた。


「もう、誰にも、実家のことは話さなくていいと思っていましたが。ミカちゃんは特別です。そうね、何所から話しましょう。おじいさんのご先祖様からがいいでしょうか、ご先祖様は、和歌山の人です。ですから、何年かに一度有るお祭りには、私の町に戻ってきていました。私達は、そこで知り合いました。体裁としては、ここに嫁いだ事になっていますが、駆け落ち同然だったのです」


 この後、おばあちゃんのラブロマンスを聞くことになる。おばあちゃんの実家が、普通の家ではない事がわかった。そして巫女の話しになった。


「わたくしの家は、天岩戸伝説のアメノウズメを奉じています。此処には、その時作られたという勾玉で作られた宝剣もあります。アメノウズメは、天岩戸の前で、楽しく踊って、岩戸に隠れてしまわれた天照大神に岩戸を開けさせるきっかけを作った神様です。一般的には芸能の神様ですね。今では、そうなのですが、元は、占い巫女を信仰している神社でした。天皇制が出来たころに、改宗しています。そうしないと取り潰されていたでしょう。占い巫女は、夢見の巫女として、村の人や、近隣の人から相談を受けてアドバイスをする。そういう生業です。永い家系の中には、ミカちゃんのように、夢で様々なものを見る人が、いたと何人か記されています。もし、ミカちゃんの事が、実家に知れると大変です。直系の血筋として、何が何でもを引き取ろうとするでしょう。あなたは、まだ12歳です。自分の事をまだ決められない年です。18歳までは、この事を伏せていましょう。それからは、自分で決めてかまいません。いいですか」


 そう、おばあちゃんに言われ、ミカは頷くしかなかった。急に和歌山に住むなど考えられなかったからだ。それに私は、一人っ子だ。この家を継ぐものだとばかり思っていた。そのうえ中学で、友達も出来た。私を理解してくれる友達は、そうはできない。麻衣さんと美代子さんに、この事を相談しておこうと思った。結局おばあちゃんは、実家の具体的な住所など、一切話さなかった。ミカは、部屋に干してあるひもパンと、ひもブラを見上げて、やっぱりこれを水着だと思うしかないかとあきらめた。

 おばあちゃんは、「この話は、わたくしが、分かるだけ、話します」と言って、又、話しましょうと部屋を後にした。



 ミカは、就寝前に麻衣子のメールを見た。龍頭山の鯉ちゃんは、龍玉を持っているかもしれないから、もう一度良く頭のあたりを見て欲しいと言うものだった。やはり、今の生活は、充実している。麻衣さんや美代子さんは、かけがえのないものに思える。



 ミカは、その夜、龍頭神社の鯉に会いに行った。やはり、キロキロ泣くので心配した。しかしどうしようもない。そこで、又、その話しを城山の玉にした。その時、自分の話も聞いてもらった。その日、鯨は現われなかったが、なんだか、玉に会うのが日課になってきたと思った。朝、目が覚めた時に、急いで、鯉ちゃんの絵を描き、麻衣さんに送信した。鯉は頭の部分が一番光っていて、絵に描くとこうなる。



 朝、美代子が迎えに来た。家が近い私達は、いつも一緒に登校する。ミカの絵はもう、潔に転送した。ミカの事が知られないように送信の形をとっている。道中、美代子が、ミカの絵を見たがった。美代子は絵を見てビックリしている。私と同じ印象を持ったのだろう。


「これ、光の玉だよね」

「みっちゃんもそう思う」

「頭より大きいじゃない。私達でも、両手で持つサイズだよ」

「ミカが言ってたよ。昨日会いに行った時も泣いてたって」


 もう、一刻の猶予もないと私達は感じた。


 学校近くになって、潔も追いついてきた。私達を見て駆け寄ってくる。


「手作り担架を作っておくよ。鯉を助けに行こうぜ、いいよね」


 潔も、事の重大さを感じたようだ。私達は頷いた。


 青龍を助けに行く。

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