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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
美代子
103/108

共鳴波長とは

 昨日、紗江子さんから、真理子の研究成果の報告を聞いた。幸子の脳波をキャッチすることはできたが、幸子の精神波を観測するのは、もう少しかかりそうだと言っていた。


 安子と洋介は、真理子から

「さっちゃんは、存在するわ」

と、言われ、泣きそうなぐらい喜んだ。居場所の特定という研究の成果が待たれるところだ。


 真理子は、幸子の脳波をキャッチすると同時に、幸子がいる光サイドの世界を紐解いた。真理子たちは、幸子の脳波測定と同時に、コンの脳波も測定した。お腹をくすぐられて笑ったコンの脳波は、どの周波数帯でも観測された。その時のコンの脳波は、強かった。微弱な電流を増幅して観測していたので、どの周波数帯も振り切れてしまった。


 神様を被験者にするとは、みんな、やりたい放題だ


 それで、分かったのだが、コンは、共鳴波長をもっていた。


『共鳴波長』 みんなよくわからない。


 真理子は、

「音でいうと、倍音みたいなものよ。美代子ちゃんに聞いてみて。ブラスバンド部なんでしょう。もう聞いているわよ」

と、言う。


 そこで、美代子の出番になった。


「倍音! あれでしょ、太鼓。太鼓って、不協和音がないのよ。普通、音って、ハモる音と、不協和音が、あるでしょう。なのに、太鼓には、それがないの」


 もう一つよくわからない。潔が、調べた。


「結論を言うとだな。一つの音の中に、いろいろな音があるってことだよ。最初に出した音の波長を1としたら、1/2、1/4と、高波長が響く。高い音が含まれているってこと。高い音に行くと、ドミソみたいな協和音、ハモる音も聞こえてくる。この、倍音から外れた音が入ってくると不協和音になる」


 美代子が引き継ぐ。


「そうそう、音楽って色々な音を出しているでしょう。でも、太鼓は、振動楽器だから、鳴った音、どの音にも共鳴して振動する。だから、不協和音がないのよ」


「それで、その倍音と共鳴波長ってどういう関係なんですか」

 ミカが不思議がる。みんな、私を見た。親戚が言っていることを解説しろと、当たり前のように聞いてくる。



「みんな、テレビのチャンネル知ってるよね。チャンネルが違うと、違う局の番組になる。私たちは、たぶん、1チャンネルしか持っていないんだよ。だけど、コンは、どのチャンネルも持ってる。だから、他の周波数帯も、振り切れたのよ」


 潔は、解ったようだ。


「そうか、だから、神聖林の植物を触れたり、触れなかったり、見えたり、見えなかったりするのか」


「私たちも、少しずつ、チャンネルの幅が増えていて、みっちゃんは、トマトが食べられるようになったでしょう。ミカは、そらまめ。チャンネルが広いさっちゃんは、全部触れるのよ」


 美代子も解った。


「そうか、コンは、太鼓のような人なんだ。じゃあ、私たちが見えていない世界も、見ているんじゃない」


「そう言えば、麻依さんに出会ってから、夢の世界が広がりました。私が、麻依さんに共鳴したってことですかね」


「そうかな、ミカの方がすごいと思うよ。麻依は、どう?」


「そうね、私は、最初、玉と共鳴したのかな。最初にオーラが見えたのは、みっちゃんだけど、城山で、遊んでいた時だったよね」


「あっ、そうかも。その後、大きい猫がいるって、言ってたよね。共鳴かー いいよね」


 潔が、長考を抜けて納得した。潔はずっと言霊を調べていた。


「分かった、分かったよ。言霊って、そう言うことじゃないかな」


「そう言うことって、どういうことよ」

 美代子は、分かりやすく言えと言い返す。


「一度に、いろいろな音を出せば、どのチャンネルにいるか、わからない精霊にも、声が届く。声に力が宿るんじゃないか」


「倍音だよね。ハモれってこと」


「オレ達、1チャンネルしか持ってないかもしれないけど、みんなちょっとずつ違うだろ。オレは、きゅうりが食べられる。綾瀬は、ニンジン。白川は、トマト。色々なチャンネルを持つみんなの声を合わせると、言霊になるんじゃないか」


「オズチ様は、気持ちを込めろってミカに言ってたわよ」


「じゃあ、そうしよっか」


「どうするんですか」


「みんなで、ハモるのよ。歌で練習しよ」


 こうして、浜辺で歌うことになった。美代子とミカは、声変わりが終わりそうで、高い音が出る。ソプラノだ。私は、まだなようで、アルト。テナーは、潔だ。一番低い音のベースがいない。安子を通して幸子にもその話をすると


「オズチ様がいるよ。たまに歌っているもん」

と、言う。超でかい猪が歌っているところは、想像しにくい。そのうえ、オズチ様の眉間には三日月の傷があってちょっと強面。だけどみんなで、朱雀に声をかけるときは、オズチ様にも、加わってもらおうと言う話になった。そこで、曲のレパートリーを幸子に聞いた。


「童謡が、多いよ。でも、最近は、夏の歌かな」


 そこで、美代子が、『浜辺の歌』をチョイスした。


「どんな歌だったっけ」


 聞いたことないと、言う。幸子に、美代子が歌い、安子が歌って聞かせた。


「聞いたことある。オズチ様も歌ってた」


 そこで、一緒に歌ってもらえるよう幸子にお願いした。幸子が、オズチ様に打診すると、

「そんなこと、言われたの初めてじゃ」

と、まんざらでもなさそうな答えが返ってきた。


 まさか、テナーのはずの潔が、私より高い声を出すとは、ちょっと複雑な気分。でも、これで、みんなで声を掛けられる。美代子は、ブラバンが役に立ったと、大喜びした。


 美代子は、みんなにハモれと言ったが、和音で歌えと言うことではない。チャンネルがずれているのだからみんなメロディーでかまわない。みんなで、ユニゾンすることになった。

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