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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
美代子
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浜辺の歌

 オズチ様は、久々に、玉の所にやってきた。玉は、いつものように、東のクジラが出現する青海島の方を見ていた。


「久しぶりじゃのう、玉」


「にゃん!」


「なに言うとるか、ギョクは、ギョクじゃろ」


「にゃぁん」


「いまは、タマなんか?」


「にゃんにゃん」


「そうか、麻衣たちに・・ええぞ、当分タマいうて呼んでやる」


 玉は、嬉しそうに南の海上に、目を戻した。


「今日来たんは、東のクジラが、いつ、浮上するか聞くためじゃ。朱雀を復活させる」


「にゃー?(どうやって)」


「麻依たちじゃよ。ミカが、朱雀に名前を与えるぞ。コンに、朱雀の結界を破らせるんじゃ。じゃが、力不足じゃ。ポポワの力を借りたい」


「にゃにゃん(ええっ、初めて聞いた)」


「すまん、わしが、麻依たちを急かした。ポポワの力を借りるために、夜中に行くしかないじゃろ。危ないところじゃ。みんな、島で準備しとる」


「にゃん」


 玉は、立ち上がり、オズチ様の鼻先まで浮かんだ。ポポワは、今夜、浮上する。自分も一緒に、潮吹きをお願いすると言う。


「ええぞ、わしの背中に乗れ」


 オズチ様は、城山から、ものすごい勢いで下り、そのまま海上を疾走した。





 決行2日前、美代子の提案で、私たちは、青海島の砂浜で、歌を歌うことになった。ダイバー免許も取り、いつでも、健太郎をホローをできる体制は整っているが、朱雀については、不思議なことが多くて、準備できているのか正直、不安になる。


 今日は、幸子とコンも、ここにやってくる。二人とも汽船は、ただ乗りだ。コンは、早めに島に入って、島の空気に慣れる。安子に、砂浜にいると言っていたので、幸子と、コンが、砂浜にやってきた。


 美代子がスマホから、『浜辺の歌』の歌詞と、曲を拾ってきた。


 あした浜辺を さまよえば、

 昔のことぞ しのばるる。

 風の音よ、雲のさまよ、

 よする波も かいの色も。


 ゆうべ浜辺を もとおれば、

 昔の人ぞ、忍ばるる。

 寄する波よ、かえす波よ。

 月の色も、星のかげも。



 これなら、オズチ様も歌えると言う。『ふるさと』などの童謡もレパートリーにあるのだが、ブラスバンド部の美代子のチョイスに、みんな従った。潔は、のどから、血が出るまで歌うと、豪語していたが、みんなに笑われ、すねてしまった。


 ここに、幸子とコンが来た。


「どう、みんなハモった?」


 みんな、あきれ顔で、岩場の方を見た。潔は、そこで、すねていた。  


「ごめんね。潔が、ボーイソプラノだったのよ。もうすぐ声変わりだと思うんだけど。歌うと麻依より声が高いんだよ」


「笑っちゃいますよね」

 ミカは、悪びれない。私は、微妙な顔をした。


「オズチ様は?」


「玉と後から一緒に来るって」


 そうなのだ、龍頭市の城山が燃えた日と関りがある朱雀の話を 私たちは、玉に報告し損ねていた。怒っているかなと思ったが、怒るどころか、ポポワさんにオズチ様と一緒に潮吹きしてくれるようにお願いに行ってくれた。流石は、われらが玉だ。


「のう、もう来とるぞ」


「オズチ様!」×4 (潔抜き)


「潔は、?」

「にゃん?」

 玉が、オズチ様の背中から、顔をのぞかせた。


「玉ー、みんな玉よ。オズチ様の背中にいる」

 みんなで駆け寄った。


「もてるのう、たま」


「ごめんね。朱雀のことを話したかったんだ。でも、大変な所だったのよ」

「そうなんです」


「私は、島から動けなかったし。きよしー、玉が来たよ」


 玉が来たと聞いて潔がやってきた。


「たまさん、みんなひどいんですよ。ボーイソプラノって、貴重なのに」


 まだ、根に持っていた。


「いいから、オズチ様が来たから、ベースは大丈夫よ。みんなの声を合わせる練習、再開よ」


 美代子が、みんなを引っ張る。


「さっちゃんも歌いましょう」

 ミカが、幸子を誘う。

 やっと練習が、再開した。


 ここは、青海島でも、白門島側の小さな浜辺だ。人はいない。でも、潔がいた岩場の上には、阪本家が建っている。阪本の、おじいちゃんの部屋は、良く聞こえるだろう。


 オズチ様が加わった。全員の声が聞こえる幸子が、うまくいっているか聞く役だったのに、幸子も歌ってしまった。幸子が、気持ちよさそうに歌っているので、ハモっているのだろうと美代子は、判断した。

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