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オカルトクラブと翼の少女  作者: 星村直樹
美代子
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桂木家の様子

 桂木の家に着くと、おばあちゃんの船が、迎えに出てくれた。母屋は、使っているそうで、台所に通された。ここには、島の女たちがいっぱいいて、食事を作っていた。隅に、ちょこっと座れるところがある。そこにみんなで座り込んだ。


 船は、妙子さんに台所の指示をさせて、母屋や、客室を行ったり来たりして忙しくしている。でも、私たちのことを心配して声をかけてくれた。


「ずっとミカちゃんも一緒にいるけど、本当に当日は、健太郎の所に、こんで、ええんか」


「うん、ずさ神社は、ミカが見つけたんだけど、阪本さんは、お父さんとの約束を守りたいみたい」


「そりゃ、聞いたが、ほんまにええんか」


 ミカが頷く。


 桂木家も、石田家も、白門神社に報告したことで、気が大きくなっていた。逆にこちらが、秘密の手綱を引き締めないといけなくなる。


「だって、海守り様が、朱雀を守ってくれていたのでしょう。海守り様も守らないといけないってお父さんが」


「隆が・・・そうか、一本取られた」


 船が、額をたたいて反省する。


 本当は、紗江子さんの受け売り。ミカは、石田の家にいないと、こっちが困る。


「昼は、食べていくじゃろ。いま、紗江子を呼んでくる」


 そう言って、そそくさと、この場を後にした。



 紗江子さんは、私たちを見つけると駆け寄って、ミカと私を抱いた。ちょっと涙ぐんでいる。隆さんと良子さんが、親戚から、のけ者にされていたのを、紗江子さんは、ずっと気にしていた。やっと、大親友の良子さんと、幼馴染の隆さんが、海賊のことを知り、気兼ねがなくなる。ずっと黙っていたのはつらかったのだ。そのことを知っている両親の家族は、私だけ、朱雀のこともある。だから、私たちを見て、気が緩んだのだろう。


 今回、隆さんと良子さんは、海賊のことを知ることになる。口伝の伝承は、城山神社の光さんだ。私は、まだ12歳なので、聞けない。16歳まで、待たなくてはならない。この神主から聞く口伝は、島の者でも、ごく一部の者しか伝授されない。隆さんと良子さんは、重要な人だったと言うことだ。



「お昼を食べていくでしょう。美代子も、もうすぐ帰ってくるわ」

 ミカには、このことを話していたので、紗江子さんが涙ぐんでいても驚かなかった。


「はい、待ってます」


「健ちゃんの様子は、どぉ?」


「だいじょぶよ。涼子と彩がついてるわ」


「私たちも頑張ります」


 紗江子さんは、ニコニコして、「後でね」と、言って、母屋に帰っていった。



 お昼時になり、テツと美代子が海賊戦の練習から帰ってきた。二人とも、日に焼けて、真っ黒だ。子供たちは、このまま、台所で、昼食になる。テツは、果敢にも、大人たちに混ざって食べる気だ。その方がいっぱい食べれる。


 いつものごとく、どこかに、ふらっといなくなっていた潔が、昼食に帰ってきた。ミカが、美代子のトランペットを幽霊が出たように潔が言っていたと美代子に話してしまったので、どやされていたが、これで、全員そろった。そこで、ミカが、朱雀の名前を発表した。この名前だと、雄でも、雌でも行ける。みんなから了承を貰ったミカは、満面の笑みになった。


「じゃあ、ミカが命名した後に、私たちも名前を呼ぼうよ」


 美代子の提案に、みんな納得だ。そうなると、みんなで、声を合わせるきっかけがほしい。そこで、ミカに


「手話もつけてね」と、リクエストした。


 潔も、朱雀の名前を手話で覚えるよと、ミカに聞いていた。後は、ダイバー免許だけだ。私たちは、当日の準備を着々と進めた。

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