第四話 喧嘩は人気のないところでやりましょう
「では新生二年三組のHRを始める。担任の向井佳奈恵だ」
なんてことだ…まさかHRがあったなんて…すっかり忘れていた。俺は夢中になると周りが何にも見えなくなるからなぁ…気をつけねば。
「…これでHRは終わりだ。一年間仲良くな」
しまった!反省しているうちにHRが終わってしまっていた…。頭を抱えていると昂平がニヤニヤしながらこっちを向いてきた。そういえば出席番号順だから俺の前なのか、こいつ。
「大翔、お前向井の話聞いてなかっただろ?」
「その通りだ、よく分かったな。というか教師を呼び捨てにするな」
「細かいことはいいんだよ。それより…HRの内容知りたいか?」
ニヤついてたのはそういうことか…。
「…条件は何だ?」
「流石大翔、分かってんな。条件は今度お前の宿題を写させる、だ」
「仕方ない、その条件を飲もう。というか、お前頭いいんだから自分でやればいいじゃないか」
「めんどくさいからやだ」
「はぁ、お前はやればできるのになぁ…」
「お前は俺のお母さんか!」
「誰がお母さんだ!お父さんにしろ!!」
「ツッコミどころが違う!!」
え、違うのか?ってそれよりも…
「話がそれた、修正しよう。それでHRの内容は何だったんだ?」
「特に連絡事項もない、至って普通のHRだったよ」
騙された。詐欺師になれるんじゃないか、コイツ。
「…まぁ約束は約束だから守るけど…」
「けど?」
「一発殴らせてくれ」
「断る!!」
こうして俺たちは教師に取り押さえられるまで拳で語り合った。5分くらいで取り押さえられたのだが。…まぁ教室で騒いでたら当然だな!
久々の更新。週一のペースにまた戻ります。