第三話 小さい頃の教えは意外と大事
おいおいどういうことだ?全生徒に部活動参加を義務付ける?唐突すぎるだろ。しかも理由も言わずに、だ。意味がわからないな。せめて理由を言ってくれれば論破するなりできるのだが…。
「おい大翔」
アレ?これやばいのでは?俺は帰宅部という部活に入ってるけど、一応非公式扱いだからこのままじゃ他の部に入らなければならないだろうし…。
「おい大翔ってば!!」
あぁぁぁ俺の帰宅部LIFEがぁぁぁぁ!!!!
「無視すんじゃねぇよ!!!」ドゴッ!!!
「うぉっ!?」
何々!?なんで椅子に座ってたのに俺は教室の床に転がってんの!?
「てめぇ俺を無視するとはいい度胸だなぁ…!」
「へ?無視?」
「あぁ!?…もしかして気付いてなかったのか?」
「あ、ああ…考え事をしていたからな」
「そうか、なら仕方ねぇ許してやる」
「ちょっと待て昂平、俺はお前に気づかなかったから蹴り倒されたのか?」
「おう」
「それだけで!?」
「それだけってなんだ。俺は無視されんのが一番腹立つんだよ!」
「それは知ってるけどさ…」
お前は力強いんだからもう少し手加減をね…。でも昂平とは小さい頃からの付き合いだから昂平の急な攻撃にも無意識で対処できてしまう。慣れって凄いな。それにしても相変わらず手を出すのが早いなぁ…あ、手じゃなくて足か。
「それより大翔は部活どうすんだ?俺はサボりやすそうな文化部にしようと思ってるんだけど」
「いや、サボるのは駄目だろう。やるからにはきっちりやらねば!」
「お前変なとこマジメだよな…」
「そうか?でも部活か…校長め、なぜあんな校則を作ったんだ……!」
「さぁ?でもさ、わかんないなら聞きに行けばいいんじゃないか?」
「聞きに行く?」
「ほら、小学生の時習ったろ?『わからないことがあったら大人の人に聞きましょう』って」
た、確かに…!そうだ、あの日当時一年生だった若かりし俺は『わからないことがあったら大人の人に聞きましょう』と先生に言われたから、先生に『どうやったらあかちゃんはうまれるの?』『どうしてひとはあやまちをくりかえすの?』『どうしてせんせいはけっこんしてないの?』等と答え辛い質問ばかりをして先生をノイローゼにしてしまったのだ。
それ以降人に迷惑をかけないようにわからないことは自分で調べていたからすっかり忘れていた。
「昂平…お前、天才だな!!!」
「え、なんだよ突然気持ち悪ぃ…」
「よし、そうと決まれば早速校長室に行くぞ!!」
「いや、もうHR始まるんだけど…おい待て引っ張るな!」
さて校長室はどこだったかな?とりあえず校内練り歩けばつくだろう。慌てず走らず普通に教室のドアを開けると…
「仲谷に戸崎、どこ行くんだ?HR始めるぞ?」
向井先生が立っていた。
お久しぶりです。明々後日から怠惰な日々を捨て魔窟へと足を運ばねばならないので、次話は少々遅くなるかもしれません。