白と黒
家を出て公園までの道なりをコートを羽織りながら面白いものはないかと目を光らせて歩いていたのだが
特にこれと言った収穫もなく早々に公園に着いてしまった
時間が時間なので公園には人っ子一人見当たらない、静謐な闇が広がっていた
誰もいないか.....
ナァーン
おっと...猫はいたのか、僕はいるよとでも言いたげに草影から光る瞳がこちらを覗いていた。この辺は昔から野良猫が多い
ナァーン
人懐っこい猫のようでが足元にごんごんと頭をぶつけてきた。
しゃがみ込み『すまんが餌は持っていないんだ』ごめんなと頭をうりうりと撫でてやると猫は満足そうにニャアと、鳴き何処かへ去っていってしまった。
可愛い奴だ
一枚撮らせて貰えば良かった
立ち上がると春風がサァァァーと桜を連れて流れていった
春と言えど夜は少し肌寒い、カイロを持って来ればよかったかもしれない
コートのポケットに手を入れて公園を散策しだす。
昔から眠れない夜や考え事をする時ここに来る事が多い。
家から近いしちょっとした遊歩道があって、運動不足の私の散歩コースにちょうど良いのだ。
それ今夜は花の降るロマンチックな夜だし
絶好の散歩日和と言えよう。
こんな不思議な夜ならば
今夜なら会えそうな予感がするんだ
青い瞳を持つ純白のライオンに
昔幼い頃私はこの公園で
不思議な存在に出会った事がある。
もう曖昧にしか思い出せない子供の頃の朧げな記憶
今思えば夢だったのかもしれない
現実である確証なんてない
それでもいいから
もう一度だけその存在に会いたい
また会えば....きっと分かるはずなのだ
私の妄執が現実なのかどうか