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白と黒

真夜中深夜一時頃やっと長引いていた仕事に片がつき、書き終わった書類を封筒にまとめていた。


要領が悪すぎるせいで夕方から始めたのにもうこんな時間になってしまった


やはり手書きは厳しいものがあると己の限界を感じるようになった。


効率を求めるならばPCで作業をした方が楽なのだろうが....機械音痴のせいかどうもしっくり来ないんだよな


何もしてないのに壊れるし....



ふわぁああと大きな欠伸がでてきた


早く済まして今日はもう寝ようかな


これでよしっと封筒を軽く叩く、

入れ忘れは無いはずだ後は写真を入れて…


机の上に無造作に置かれている写真を手に取って暫し眺める


今回はうまくいったけど…

もし見つかった時の事を考えると


うぅ、ゾッとする

背筋が冷えたので素早く写真数枚を封筒に押し込め封を閉じた。


本当面倒な案件を押しつけられたものだ



私の事を助手同様、便利に扱ってはいるけれど本来押し付けられたからと言ってこのような危険な橋を渡るべきではない



イライラしながら鞄に書類を詰め込む、明日会ったら文句言ってやろう…大体いつもなんで私にこんな無茶振りを押し付けて....


沸々と日頃の鬱憤が溢れ出してくるがふと我に返った


....駄目だ、眠くなると愚痴っぽくなっていけない、我ながらこれは良い傾向ではないな....


気持ちを切り替えるように頭をブルブルと振って頬を叩くとポケットから端末を取り出し深夜にも関わらず依頼人に電話を掛ける


もちろん普通の依頼人にこんな深夜に非常識な電話はしない…が彼は違う


プルルルプルルルプルルル


ガチャッ


3コール目で繋がった


電話の主は眠そうな声で「お前....こんな時間に電話なんて常識ってものがないのか...?本当に父親にそっくり」と他にも色々ゴチャゴチャ言われはしたがまともに聞いていると長くなるのでいつも通り簡潔に『今日中に行く人払いよろしく。』用件だけを言って通話を終了した


電話口でまだ何か言っていたがたいした用でもないだろう


これで


終わった終わったー!


あぁー疲れた。猫のように背伸びをしながら椅子にもたれ掛かるとボキボキと音を立てる関節、最近は徹夜続きだったからろくに寝ていないし夕飯はもういいか....寝よう。本で散らかっているソファーへ近づき積み重なっている本を手で床へ払い落とすと空いたスペースに横になった


ソファーだと体が痛くなるけど、ベットまで戻るのは面倒くさいからとりあえず今日はここで我慢しようかな


昼頃までは寝れる!

端末の目覚ましをセットすると背もたれ無造作に投げ掛けていた服を手で手繰り寄せ布団がわりに体に掛ける


安眠モード完成!


いつもはこうすると直ぐに眠りにはいれるのに今夜はやけに眼が冴えていて...


徹夜続きで寝方でも忘れたのか?と言う一抹の不安が頭をよぎったがどうやら違うらしい、ザワザワと胸が騒がしくなり何がが起こりそうな予感がした。


こういう事はザラにある事で驚くことではない


勢いよくソファーから起き上がり窓の外を見る



なるほど



これでは眠れないはずだ



窓から見える景色には雲一つない満天の星空に偃月(えんげつ)が煌めいていて、偃月から緩やかな川の流れように地上へと花がさらさらと降り注いでいた


白くて花水木に似たような花だ

町の何処かで似たような赤い花を見たような気もするけれど…それとは少し形が違うか?


久しぶりの幻想的な光景に目を奪われた


しばらく見とれていたがハッと我に返ると、慌てて投げてあったジーンズとブラウスに着替えコートを片手に首からカメラを掛けて外へと飛び出した。


扉に鍵を掛けるのさえ煩わしい位に気持ちが焦いていた。


ふいに撫でるよう頬に花が掠めた

ふんわり甘い香りを漂わせ


あぁ…



風の流れに乗ってこちらまで飛んできたのだろうか、頬を掠めた花は地面に落ちることもなくシュワっと弾けて消えてしまった



やはりこの世の物ではない....か


そう思うと少し悲しくなった





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