表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

街に落ちた流星

作者: 辻本真之

*


肺に吸い込まれた煙は空気と混ざり合いながら白いもやとなって吐き出される。冷たい空気の中、私は空を見ようと手すりに手をつく。感情の欠落した冷たさだけが手のひらに伝わってくるのが分かる。アパートの2階から見上げた無機質で暗い空は、地上に灯る明かりによって白く淀んでいる。その中で強く光る幾つかの星だけが自らの存在を主張しているだけであった。いつからこの地は、月や星の明かりだけでは物足りずに自分達で光を放つようになったのか。再び吐き出した煙が上空に広がり、空の淀みと重なり合った時、眩い光の粒が音も無く西の方角に流れ落ちた。多くの人達はその光に気付かずに歩みを止める事はなかったが、私はその一瞬の煌めきを見逃さなかった。地球上で星を観察するのは人間だけである。多くの人間に見澄まれる事のなくなった健気な光の粒は、一瞬の生涯に何を願うのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ