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塗料が飛び交う戦場で  作者: 伊森ハル
プロローグ
1/19

In The Past

※作中の『ゲーム』と現実に行われているゲームは別物です、実際に行う場合は法規制や安全に配慮してください。

 どこか遠くで、銃声が響いていた。

 やけに無機質な音が、仲間が一人減ったことを無慈悲に宣告する。

 その仲間を見捨てたことに対する罪悪感を覚えている暇すら、いまは惜しかった。

 生ぬるい風が首をなぜるのを感じながら、走る。身を隠すのにはうってつけだった丈の長い草も、いまとなっては行く手を阻む悪魔にしか見えない。

 息をするたびに肺がひどく痛む。走り通しの身体は悲鳴をあげていた。手中にある突撃銃(アサルトライフル)が、本来よりもずっと重く感じられる。いっそ捨ててしまいたいとさえ思うが、それが叶わないことは重々承知だった。

「はぁっ、……はっ……くそっ! なんだよ、なんなんだよ……!」

 毒づきながら、なおも前進。もはや速歩とさほど変わらない速度だったが、少しでも気が緩んだらそのまま倒れ込んでしまいそうだった。そんな強迫観念にも似た思いだけが、かろうじて身体を動かしていた。

 ――目標地点にたどり着くことさえできれば、全てが終わる。

 ただそれだけを頭の中で繰り返し唱えて、重たい足を必死に持ち上げた。



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