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現実のお話

たった数分の出来事

Who am I?

私は、人に流されるのが一番だと思う。だって楽だから。だけど、たまには例外もいいと思う。楽しいから。


少し手を加えてやれば、たらたらと溶け出し、姿を変える。溶けて別の場所へ行くと、愚痴をこぼしながらも、そろそろと固まっていく。同じ形には二度と戻れない。戻らない。

たまにちょっかいをかける。自分にとっては少しでも、相手にすると大打撃。姿を変え、固まろうとしている所を一刺し。音はしなくても、埋まる感触はわかる。なかなかに気持ちがいい。抜いてみると、先ほどまでのように丸みを帯びてはいなく、でこぼことしている。ちょっかいをかけるのに飽きて、ただぼーっと見つめる。ふと目を放すと、いつの間にか姿を変えている。壁が半分溶けていた。


残っていた壁は、上から見ると、きれいな三日月だった。ピンク色で小さいけれど。その壁をつついてみる。まるでさせないというかのように、オレンジと青がゆらゆらと揺れる。

収まった時、不意を衝いて壁を押してみる。オレンジと青が、一度だけ強めに揺れる。

つついた分だけ壁は後ろへ倒れる。穴が空くのを恐れるように。穴は開かなくても、へこむ物はへこむ。けど、それも数秒でたらり、と溶け出し、へこみは流され、消える。それをまた、ぼーっと見つめる。


オレンジと青は、たまに反撃を始める。ぱちりとはぜる。ただ、それだけ。熱っ、と声を上げながらも、自分の表情は変わらない。また、ぼーっと見つめ続ける。


見つめていると、ふと、気がついた。何時からなのかはわからないが、溶けてはいても、形が変わっていない、と。どうやら、自分で深く掘りすぎて、陸に手が届かなくなったらしい。オレンジと青は、恥ずかしそうに少し、揺れる。この自分の思考に、少し笑いながらも手を加える。まず、手っ取り早く壁を動かす。壁は、思っていたより簡単に剥がれた。青が少し多くなった気がした。やめろ!とでも言いたげに、オレンジがこちらへ向かう。青は向ってこない。青は、諦めたのだろうか。つまらない。オレンジが揺れるたび、壁が崩れた。え?とでも言いたげなオレンジをあざ笑うかのように、たらたら、がらがら、と。オレンジと青がいるから、壁は溶けても固まることが出来ない。オレンジと青は、少し小さくなった。それでも、ゆらゆらと揺れる。それを、ただただぼーっと見つめ続ける。


少し、いたずらしてみる。オレンジと青のいる場所を、動かして見る。オレンジと青の周りには、まだ固まっていない部分がある。だから、動かしやすい。ただの、ちょっとした悪戯。誰にも咎められることはない。誰かに見られても、少し微笑まれるだけ。ただ、オレンジに睨まれ、青にじっと見つめられているような気がした。


強く風が吹き、咄嗟に目を閉じると、オレンジと青はどこかへ消え失せていた。周りも固まっていた。刺してみると、ズプリと沈む。中までは固まっていなかったようだ。ジワリと中身があふれ出す。何かを切った後のようだった。また刺すと、端の方は固まっていた。だが、刺せなくはない。真ん中も固まり始めていた。真ん中を抉ると、楽しかった。最後に残ったモノは、気持ち悪かった。だから、新しいオレンジと青を作り出す。そして、また溶かす。また、板のような形に戻すために。今度のオレンジと青は、白と黄色と薄い青だった。色が薄いのではなく、物理的に。ここはどこ?と言いたげにゆらゆら揺れて、間もなく消えた。そろそろ材料が無くなってきた。どうしようか。


材料も補充を済ませ、また、準備に取り掛かる。こんどは、赤と透明だった。赤は、楽しげにゆらゆら揺れていた。透明も、つられてふらふら。新しい赤と透明を、ぼーっと見続ける。


このやり取りに、終わりはあるのだろうか。色が揺れると溶ける。けどすぐ固まる。いくらぐちゃぐちゃにしても、溶ければ元どうり。……終わりは、ある。それは、ただ一つだけ。赤と透明を作り出さなくなる時。創り出す者、『私』が、見ているのに飽きた時。赤と透明が作られないと、溶けることは、もう、ない。ただ、固まっていき、埃をかぶる。

その存在が思い出されるのは、いつになるのだろうか。何か月後か?それとも、何年後?


分かったら一言か活動報告「初一言!」にどぞ。もちろん報告しなくてもOKです。答えは活動報告「初一言!」にあります。分からなくて気になる方は御一見。

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