2日目
僕はまたもや墓地に足を運んでいた。いや、家に帰ろうとしていのだ。そこを望々羽に呼び止められた。
「秋丈。また来てくれたのね」
いやいや、ここは僕の通学路である。どうやってこの墓地を通らず家に帰れと言うのか?
望々羽は今日もセーラー服を着ていた。
「さぁ、高校の話を聞きたいのだけれど……」
そういえば、彼女は高校に通っていなかった。
「高校は、忙しい所だよ。少なくとも漫画のように爽やかじゃない」
「そう。あなたは高校に行って楽しい? 私不思議でならなかったの。だってみんなどこか高校進学って義務みたいに考えているみたいだし」
そりゃあ、そうだろう。僕の友人は、絶対にミュージシャンになる‼ だから進学はしない‼ みたいなことを言っていたが、お願いだから高校だけは行ってと親に言われてしぶしぶ進学した。
「まぁ。義務みたいなものだな」
「義務教育は終わったのにね」
望々羽はどこかバカにしたように言った。
「望々羽は幽霊とか信じてるの?」
「信じてないわ。でも、なんでそんなこと聞くの?」
「いや、毎日ここに居るから」
僕は周りを見回した。たくさんのお墓が建っている。てっきり望々羽のことをオカルト女子だと思っていたのだ。
「ここが一番落ち着くのよ。なんだかお墓って人が土に戻る場所じゃない。神聖な場所なのよ」
「僕はできるだけ近づきたくないけどなー」
人が終わる場所に居たくなかった。僕もお墓にいつか入るのだろうと思うとやっぱり怖い。
「死ぬのなんて怖くないわ」
望々羽がつぶやいた。
「どうして?」
「終わりがあるって素敵なことよ」
そう言って彼女は笑った。
「終わりが無いなんて地獄よ。ねぇ、いつまで生きてればいいの? そっちの方が怖いわ」
なるほど、多くの人は不老不死を望んできたけど、それで何をする気なんだろう。長すぎる時間も怖いと思った。でも、「やっぱり君は変わってるよ」
やっぱり死ぬのは怖い。
「そう」
望々羽はそれだけ言うと帰っていった。