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出会い

 私の通学路に墓地があります。暗くなると前を通るのが怖いです。もしもそこに女の子がいたら、そんな想像から生まれた物語です。

 僕の通学路には、墓地があった。小さい頃

は少し怖かった思い出があるが、今は日常の風景となりなんの興味も持たなかった。

いつからだろう。学校帰り、墓地で人が立っていた。初めて見た時は夜だったこともあってゾッとした。次の日もその次の日も彼女はそこにただ立っていた。


電車から降りて僕は解放感を感じながら家へと向かった。やっぱり高校は疲れる。僕は高校生になったばかりで電車通学にもまだ慣れていなかった。やっと家に帰れる、何をしようか? そんなことを考えながら僕は足を進めた。また、居た。墓地に一人の少女が立っている。本当に彼女は何がしたいのだろうか。僕はいつものように絶対に目を合わせないようにしてその女の前を通り過ぎようとした。

「高校って楽しい?」

 話しかけられる。

「楽しいはずです」

「待って。ここに来て」

 僕は墓地に連れ込まれた。早く帰ってゲームがしたかったのに。マジで幽霊だったらどうしよう。彼女の髪はとても黒くて長い。服は制服を着ている。だから余計に怖い。

「あの」

 僕の好奇心は待ってはくれなかった。

「いつも、この場所にいますけど、何をしているんですか?」

「暇だから」

「え、でも高校生ですよね? 制服着てるし」

 どう見ても中学生には見えなかった。

「高校行ってないけど。私、中卒だし」

「は? 」

 そんな人いるんだ。高校ってみんな行くものだと思ってた。

「でも制服……」

 高校に行ってないのに毎日制服を着て墓地でたたずむ女が目の前にいます。さて、僕はどうしたらいいのでしょう?

「あぁ、これ?」

 彼女はセーラー服を摘みながら言った。

「女子高校生ごっこ」

 彼女は得意げににんまーと笑った。

「君も付き合ってよ」

 いや僕、男子高校生なんですけど……。

彼女が言う女子高校生ごっことは、普通を味わう遊びらしい。彼女の名は望々ののはといった。僕は秋丈あきたけと名のった。もちろん偽名だ。正直、僕は身の危険しか感じていなかった。あーどうしようこの人恐い。

「明日もここに来て。待ってる」

 望々羽はそう言い放って、スタスタと去って行った。僕はただ墓地で立っていた。端から見れば、僕は望々羽に負けないくらい怪しかったと思う。

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