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5日.5センチ
「君と僕の間にある5センチメートル」
「ええ。それがどうかした?」
「僕たちの心の距離だと思うんだ」
「そうね。その話続けて?」
「僕たちの間には5センチの見えない壁があるんだよ」
「穢れた人間には見えない、不可視の壁ね」
「この5センチを越えれば、僕たちはキスが出来るね」
「ええ、可能だわ」
「でも、僕は今、君にキスはできない」
「あら、どうして?」
「僕は、君のミントの歯みがき粉の匂いだけはどうしても苦手なんだ」
たかが5センチ、されど5センチ。