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A month  作者: しぃ
29/30

29日.薬指の温度

「指輪が欲しいわ」


「指輪?」


「そう、指輪。宝石なんてはまっていなくていいの。ただ、薬指を彩ってくれるだけでいいの」


「素敵だね」


「ふとした時に目に入るような、アクセントになるもの」


「うんうん」


「私のために作られたような、指に馴染むもの」


「なるほどね」


「私の薬指はどう輝くのかしらね」


「冷たく? それとも暖かく光るのかい?」


「嵌めてみないとわからないわ」


「じゃあ、その指輪は僕が君に贈った方がいいのかな?」


ひやりと、あたたかく。

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