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26日.遠くへ、もっと遠くへ
「逃げよう」
「どこへ?」
「二人だけの世界へ」
「素敵なところかしら」
「そうだろうね」
「あなたと?」
「そうだよ。嫌かい?」
「いいえ、素敵だと思うわ。でも、なんで?」
「君を他の人間に奪われたくないからさ」
「それなら無意味だわ。だって私にはあなたしかいないんだもの」
「それでも不安になるんだよ」
「そうなの?」
「そういうものなのさ、特に僕はね」
「大変なのね」
「一緒に行こう」
「いいけど、私を置いていかないでね」
世界の隅っこに行こう