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12日.知らない人
「今の電話、誰から?」
「さあ。間違い電話みたいよ」
「その割りには、親しげだったけれど?」
「そうかしら」
「まるで、別れたはずの男からの電話のような口振りだったよ」
「それは当然よ。別れた彼女に向けたはずの電話が、間違ってかかってきたんだから」
「それは、君に向けられていた電話ではなくて?」
「あなたらしくないわね。詮索するなんて」
「そうかい?」
「女性には秘密があるのよ。たとえ、間違い電話だったとしてもね」
しらないことを、しっている。