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好きなのに  作者: さくら
7/10

第7話

主任は美しい顔を曇らせながら、

「まぁ、いいわ。上司より彼女が大切ってことよね?」

刺のある言葉で智也に話しかけます。


それを聞いた智也は絶句して、

「そ、それは、その…。」



それまで黙っていた優子がおずおずと、

「あの、智くん、ごめんなさい…。私は大丈夫だから。主任さん、申し訳ありません。」

そう言ってお辞儀をしました。


「優子さん、ね?久しぶりね。こんなところで逢うなんて思わなかったわ。」

主任が微笑んで話しかけます。


「お久しぶりです。あの、今日は同僚と食事に来まして…。」

優子が遠慮がちに言います。


「あらそう、ちょうどいいわ。一緒にどうかしら?」

主任がニッコリ笑って話しかけます。


「あ、いえ、僕たちはもう帰るところなので。申し訳ありません。」

晃がすまなそうに優子に代わって、答えます。


「あなたは、優子さんの同僚の方なの?」


「はい、松本さんの同僚の遠藤と申します。はじめまして。」

晃がにこやかに話しかけます。


「はじめまして。それなら仕方ないわね。また、機会があったらご一緒しましょうね。」

少し残念そうに主任が智也をちらっと見ながら優子に話しかけます。


「はい、すみません。今日はこれで失礼いたします。」

はにかんで優子が答えます。


「もう遅いから気をつけてね。おやすみなさい。」

主任がそう言って二人を送り出します。


智也は少し不満そうな表情で、

「優子、帰るんならタクシー呼ぼうか?」



「ううん、遠藤さんもいるから大丈夫よ。ありがとう。もう行って。私のこと、気にしなくていいから。それじゃあ、また、ね。」

そう言うと優子は逃げるように晃と一緒にお店を出て行きました。



智也は何かを言う間もないほどでした。

智也は、呆然と立ち尽くしてしまいました。


「青木さん、いつまでそこにいるつもり?」

主任の言葉にハッと智也は我に返りました。



「あ、すみません。席戻りましょうか?」

智也はそう言うとトボトボと主任と一緒に席に戻りました。




それから二人はまた飲み始めました。

しかし、さきほどとは雰囲気が変わって、智也がどんよりとしています。




「ちょっと、どうしたの青木さん?やっぱり彼女のことが気になるの…?」

主任が智也をからかうように尋ねます。


「ええ、まぁ…。」

智也はそう言うとぐいっとビールを飲み干しました。


ふぅ~。

優子はどうしたかな?さっきの遠藤とか言う同僚と帰っているのか…。



「彼女、遠藤さんだったけ?同僚と食事してたのね。知ってたの?」

主任が上目遣いに智也に尋ねます?




「いや、聞いてないです…。でも、同僚と食事くらいするでしょうから。」

智也は暗い表情で答えます。



これは重症ね…。

いけないこと聞いたのかしら。


「そう、よ。私たちもこうして飲んでいるんだから…。」

主任が智也を慰めるように話しかけます。


「そう、ですよね。

あの、二人だけって、普通ですか…?」

智也が主任に窺うように尋ねます。




「それはどうかしらね。二人はお似合いのようだったけど…。仲が良かったり、一緒に仕事したりするとそういうこともあると思うわよ。私たちもこうして飲んでいるんだし…。」



お気に入り登録してくださった方、お読みいただいた方ありがとうございます。

読んでくださる方がいると思うと励みになります。


それから本当は2、3話で終わるつもりでしたが思いのほか長くなってしまいました。よろしければもうしばらくお付き合い下さいませ。

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