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好きなのに  作者: さくら
5/10

第5話

「あ、ここに座りましょう。」

主任はそう言って近くに空いていた席に座りました。


そこは優子たちの右隣の席でした。幸い、優子は酔っていてテーブルに寄り掛かっていたので智也は気づきませんでした。



「青木さん、今日もお疲れさま。乾杯!」

主任はそう言うと、智也とビールで乾杯をしました。


「主任もお疲れさまです。今日も遅くなりましたね。」

智也がぐいっとビールを飲んで、話しかけます。


「そうね。でも、あともう少しよ。来週にはすべて終わるわ。さ、食べましょ」

主任はそう言って焼き肉を焼きはじめました。


「はい、主任。でも、主任がいなくなると寂しくなりますね。」

智也はそう言いながら、焼けた肉を食べはじめました。


主任もじゅうじゅうと焼けていく焼き肉を食べながら、窺うように、

「寂しいの?うるさい上司かと思ってるかと思ったけど…。」


「まあ、何というか…。そういうときもありますけどね。主任は何かと頼りになりますし、寂しいですよ。」

智也は、少し苦笑いしながら言いました。


「言ったわね。ま、そう言ってもらえると悪い気はしないわね。」

主任は智也を少し睨みながら答えました。


「すいません。あ、主任は野菜は食べないんです?さっきから肉ばっかりですよ。」

智也は軽く首をすくめて、尋ねます。


「ああ、そうね。でも、私、肉の方が力がつくじゃない。焼肉ときは、野菜はあんまり食べないのよね。」

主任はふと気がついたように答えます。


「主任はそうなんですね。優子はいつも野菜を頼んでいるんで…。」

智也が寂しそうに呟きました。


「あら、彼女のこと?妬けちゃうな。」

主任は智也をからかうように尋ねます。


智也は少し顔を赤らめて、否定するように手を振りながら

「そ、そんなんじゃないですよ。ただ、優子はいつも野菜を頼んで一緒に食べてたなぁと思って…。」


「そうなの?女の子らしいわね。私なんて、肉ばっかりだから男みたいでしょう?」

主任は少し酔ったのか、智也にからんできます。


智也は少し困って、

「主任、そういうつもりで言ったんじゃないですよ。勘弁して下さい。」


「分かってるわよ。ちょっと言ってみただけよ。なんかさ、みんな私のことを男みたいに思ってるみたいなのよね~。」

主任はそう言って、ため息をつきました。


「主任、そんなことないですよ。女性らしいところもありますから。」

智也が慰めるように話しかけます。


「ところも?ってことは、そうじゃないとこもあるってことよね。」

そう言うと主任はグイッとビールを飲みました。


そんな主任を見た智也は、

「主任、飲み過ぎですよ。今日はこのへんにしましょうよ。いいじゃないですか、そう思いたい人にはそう思わせておけば…。主任には立派な彼氏がいるんですから、ね?」


主任は顔を上げて、急に笑顔になり、

「そうよね。私にはあの人がいるんだから気にすることないわよね。あともう少しの辛抱なんだし…。」


「そうですよ。主任、気にすることないですよ。」

智也はホッとしたように言うと、席を立ち上がり、

「すいません、ちょっとトイレ行ってきます。」


「行ってらっしゃい。」

主任が焼肉を食べながら答えます。


智也がトイレで席を外したとき、右隣にいた優子たちが席をたちました。


少し酔った優子が同僚の晃に支えながら帰るところでした。


ふと顔を見上げた主任が優子の姿を見ると、どこかで見た顔だなと思いました。


しかし、酔っているせいか誰か思い出せません。

誰だったかな…。


同じく優子も酔っているためなのか、主任に気がつきませんでした。


優子たちが主任の前を通り過ぎてレジをすませて、お店を出ようとしたそのとき智也が戻ってきました。

ベタな展開ですが、二人はどうなりますか…。



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