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好きなのに  作者: さくら
4/10

第4話

♪~◇◆◇◆~♪


キャー、キャー

出てきたよ~!


コンサートが始まりました。

三人とも夢中になって立ち上がって手拍子をしたりして楽しみました。


そして始まってなかばになったころ、アーティストが衣装変えのためいない間、優子はトイレに行きたくなり、隣でうっとりとしているさつきに、

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね。」


「そうなんですか。早く帰ってきて下さいね。」

さつきは気のない返事をしました。


「うん、分かった。」

優子は微笑んでそういうと立ち上がりました。


「松本さん、トイレ?ちょうど俺も行きたかったんだ。一緒に行こう。」隣に座っていた晃もそう言って立ち上がりました。


「え、あ、はい。」

優子はちょっと戸惑いがちに返事をして、二人は会場を後にしました。


優子は晃とは同期入社でしたがあまり親しくなかったので、何と言っていいか分かりませんでした。

ただ、チケットを手配してくれたと聞いたので、廊下に出たときに、

「さつきちゃんから聞いたんだけど、遠藤さんがチケットとってくれたんですね。」


晃はちょっと照れたように、

「うん。ちょっと手に入ったから、誘ったんだ。松本さんとは同期だし、親しくなりたかったし、迷惑だった?」


「そんなことないですよ~。大好きなアーティストのコンサートだから、誘ってくれてうれしかったです。」

優子ははにかんで答えます。


「良かった。じゃあ、このあと三人で食事でもしようよ。」

晃は上目遣いに尋ねます。


優子は三人ならいいかと思い、

「そうですね。じゃあ後、さつきちゃんにも聞いてみますね。」


そんな話しをしているとトイレの前にたどり着いたので、ふたりともトイレに入って行きました。


やがてコンサートも終わって、三人が会場を後にして、廊下に出ました。


「ねぇ、さつきちゃん、遠藤さんが三人で食事に行こうって言うんだけどどうする、行く?」

優子が遠慮がちにさつきに話しかけます。


「それって、遠藤さんのおごりですか~?」

さつきはあまえるように尋ねます。


「アハハ…。坂本さんにはかなわないなぁ。いいよ。おごってあげるよ。」

晃は笑って答えます。


「やったー!ごちそうさまです。」

さつきは手を叩いて喜びます。


「もう、さつきちゃんたら。しっかりしてるんだから。遠藤さん、大丈夫です?」

優子は苦笑いをしながら晃に尋ねます。


「もちろんだよ。じゃあ、何食べようか?食べたいものあるかな?」

晃が微笑んで聞いてきます。


「そうね。さつきちゃん、食べたいものある?」

優子がさつきに聞くとさつきは、


「あ、私、焼肉が食べたいです!」


「じゃあ私、いいとこ知ってるんだけどそこでいいかな?ここから近いし…。」

遠慮がちに優子は二人に尋ねます。


「もちろんいいですよ。じゃあ、行きましょう。先輩、遠藤さん。」

さつきが笑顔で答えると、三人で歩いてお店に行きました。





やがてお店に到着しました。

そこは、以前智也に連れてきてもらった焼肉屋でした。


早速三人はテーブルに座って好きなものを注文しました。


「あ、先輩、ここデザートもあるじゃないですか!」

さつきは笑って話しかけます。


「そうなの。だからここに来たのよ。」

優子は微笑んで答えます。


「なんでこんな店知ってるんですか?もしかして、彼氏さん…?」

さつきが窺うように尋ねます。


優子はちょっと照れたように、

「ええ、こないだ一緒に来たとこなの…。」


「そうなんですね。残念ですね、遠藤さん。望みなさそうですよ~。」

さつきがはにかんで答えます。


晃はちょっと動揺したように、

「おいおい、さつきちゃん、勘違いしないでくれよ。ちょっと親しくなりたいだけなんだから。」


そんなとき、注文したビールやチューハイ、焼肉がやってきました。


「あ、ちょうど来たよ。乾杯しよう。」

晃はため息をつきながら、ごまかすようにそれぞれ注文したものを渡しました。


「乾杯~!」



「遠藤さん、今日はありがとうございました。すごく楽しかったですよ。」

優子は微笑んで晃にお礼を言いました。


「いや、ちょうど手に入ったからね。俺も一人で行くより何人かで行った方が楽しいし。あ、これ焼けてるよ。食べて。」

晃が照れたように答えます。


「う~ん、美味しいですね。」

さつきが美味しそうに焼肉を食べはじめました。


「さつきちゃん、美味しそうに食べるわね。連れてきて良かったわ。遠藤さんも食べましょう。」

優子が微笑んでそう言うと三人が仲良く焼肉を楽しく食べはじめました。


そんなとき、さつきの携帯が鳴りました。

「あ、ちょっとごめんなさい。」

さつきはそう言うと携帯に出て話し始めました。


「うん。あ、忘れてた…!ごめん、すぐ帰るから…。」


さつきは通話を終えると、申し訳なさそうに、

「ごめんなさい~。用事があるのを忘れてて、すぐに家に帰らなきゃいけないんです。遠藤さん、先輩すみません。」


「いいよ。じゃあ、気をつけて帰ってね。」

二人がそう言うと、さつきはホッとしたように、


「ホントにすみません。お先に失礼します。ごちそうさまでした。」

そう言って帰って行きました。




二人が残されると、晃がポツリと、

「二人になっちゃいましたね。」


「そうですね。あ、遠藤さん、ビールなくなってますよ。頼みます?」

優子が気を遣って聞きます。


「ああ、頼もうかな。それより、松本さんもなくなってるじゃない。一緒に頼もうか。」

晃が笑って聞きます。


二人とも飲み物を注文して、飲み始めました。

優子は酔ってきたのか、顔を少し赤らめてくだけた様子で、

「遠藤さんがあのアーティストが好きなんて知らなかったですよ~。また、誘って下さいね。最近、なんか寂しくって…。」


「ああ、ちょっと酔ってるみたいだね。大丈夫?」

晃はこんな姿の優子を初めてみたので戸惑ったようになだめます。


「大丈夫です~。酔ってませんから。それより、遠藤さんも飲んで下さいよ~。」


「分かったよ。でも、もう松本さんは飲まない方がいいよ。すいません、お水下さい。」

晃はお店の人にお水をもらい、優子に飲ませました。


そんなときにお店に二人のお客が入ってきました。

それは優子の彼氏の智也と上司の山口主任でした。

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