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醜と美そして陰謀論、を物語る。  作者: 神谷尚明
第三章 反逆×クーデタ×陰謀
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ヒロイン登場、その生い立ち、継母子問題

 

 まずヒロインが登場する。彼女は気が狂っていた。


 ……ここで紺という女が登場する。正しくヒロインでありだからこそ彼女は狂となる。


 これより醜と美に狂、そして陰謀論としてもいいやもしれぬ。彼女は狂ったあるいは狂わされてしまった又は覚醒したと言える。


 真実に目覚めているし世界の真実にしか見ないことにしている。

 

 その真っ直ぐという狂。延々と続く直線に人は不安を覚え慄き途中で曲がりたくなるものそれに耐えられないもの。だがそれに耐えるからこそ到達できるところもある。古来より王道とは直線道路のことでありそこに秩序と権威が宿ったのである。


 その狂気は親からの教育虐待により目覚めからクーデタを決行することによって完成させてしまうが、そこに到る一連の流れをしばらくご紹介しよう。


 その色の名のように彼女は深く落ち着く重厚さのある雰囲気を持つと同時に、または今でありイマという時を見つめることの大切さも名に込められていたもよう。紺・今と二つの名の意味を込めて以後彼女をコンと呼ぶ。


 しかし彼女への教育はその命名とは違った。今よりもひたすらに未来を見つめさせて今という時を捨てさせられていたのである。


 今という時など価値はなく明日と未来のために生きる日々。明日のために今日を殺せ、な教え。


『あなたの将来のためよ。いまは我慢なさい』という魔法の言葉によって朝から晩まで修行の日々。成長するためにただひたすらに勉学と鍛錬を積まされる日々であった。


 誰によって? それは継母によってであった。では彼女の家族関係を見てみよう。


 コンの父親はあの王子の長男であり前回で名前の出たジンである。彼は自分は不幸の結婚をしたと思っていた。


 三人の王妃候補者の中で最も好きになれない女を正妻の第一夫人とせざるを得なかったのである。本命であったカツテは追放されたために次点の候補、これがコンの母親だが正妻とはなれずに第二夫人となった。


 これは両親の意向もあったために逆らうことが出来ずに結婚もまた仕事であるお役目と割り切り受け入れることにした。しかしジンは性格的な弱さからすっぱりと割り切れずにいつまでもグチグチと不平を溜め込んでいく性分なため、これが夫婦関係または家族関係に悪影響を及ぼす。


 男には諦めないといけないことがある。それは妻と子の教育をである。こればかりは名君だろうが暗君であり本人である当人たちの才能を信じて託す他ない。


 悪妻を教育しなおすのは不可能であり却って悪化するだけである。たとえば逆にして愚夫を教育しなおして素晴らしい男になれるかどうかを考えてみるとよろしい。変わらないものは変わらない。


 よってジンは妻の教育をついには諦めていたものの、息子に対しては諦めきれていないからこその憎悪に発展を遂げることとなるが、そこはまた後ほどに。


 彼の妻へのは無関心というのは消極的な侮蔑だった。もとより政略結婚。話は合わないし見た目も性格も好きではない。もっとも彼は好みが中々に限定的なのであり、そこから大きく外れている妻には興味が持てなかった。


 結婚し男の子を産めばあとは好きにすればいい、とばかりに妻がなにをしようが彼は気にするも気にしないことにした。何か言っても無駄だという諦観かつ無興味といったところ。


 妻は政治に関心が無くそれほど権力欲のないのである。関わると害があるが距離を保てれば無害。そもそもジンは父親に似ず女にはあまり関心が無い。第三夫人を作る予定は皆無。第二夫人が正妻であったらそれ以外に夫人を傍に置かなかったのは確実。


 そこは父である女好きな王とは正反対で姿形はそっくりであるがまるで似ていないところ。これが彼の性格の重要な点となる。あのカツテが去ってからは第二夫人を愛するのみ。本質的には生涯でただ一人の女を愛したということになる。


 しかしこちらの愛も長続きはせずに第二夫人は二人目を出産中にて不幸にも赤子ともどもに早逝してしまう。愛するものはすぐに手からこぼれ落ち、憎むものは手にへばりつきいつまでも残る。ジンとはそういった運の無い男であった。


 さて、その第二夫人の一人娘であるまだ幼きコンは父であるジンの要望にて手元にそして第一夫人のもとに引き取られることとなった。


 ここで継子問題発生。注目されがちな継母と継娘関係。みんな大好きな関係性である。


 継母ときたらそれはもう継子に対してイジメをするにに決まっていると絵本で学びましたそこはバッチリです期待! な声が聞こえるものの統計によると継子いじめというのはそういった創作によるイメージに比べてあまりなく、実子いじめに比べても少ないとのこと。むしろ関係は良好であるが継子いじめのイメージは強い。


 余談だが最近読んだ更級日記でも継母がいなくなって作者である継子の娘が会いたいと寂しがるシーンがあった。


 昔話系の絵本でも実母による実子いじめの話が後の世では継母子の関係に変わるパターンもあるとのこと。


 これは母親側からの実子いじめを隠したいがために継母をスケープゴートにしたのであり、子供も実の母からいじめられる子というのは見たくないので共犯としてそうしているかもしれない。


 まさしくこれは一種の継母子いじめが成立した陰謀である。はいここで陰謀論「そうだったらいいのにな」が継子イジメ物語として成立したという根拠のない推論に過ぎぬ。


 思うに世の中の母は「あなたは私の娘」という意識で自他の境界が曖昧となる自己同一性な問題が起こりがちであるので「自分の子ではない」という他者という意識によりそこを免れるので現代的な母子問題にはなりにくいかもしれない。


 もし継母が継子をいじめるのがあるとしたらそれは前妻との関係の問題の可能性もある。いわば気に喰わなかった女の分身みたいな子を育てろと言われたらそれは嫌に決まっているわけだ。


 ではこの場合はいわば正妻が愛人の娘を引き取ったわけであるが彼女はどう思ったのか?


 結論から言うと「かわいそうにね」である。早めに死んでしまったライバルに同情したのであった。死は罪への許しであり救済である。まぁこの言葉も人間は生きているから許されないというもので「人間が存在しなければ、問題も存在しない」という鉄の男スターリンの格言を思わせて危険でもある。


 それでは次回、「この際だから自分の都合の良い存在に仕立て上げちゃいましょう。最強の王女に育て上げてメイドのようにこき使って……そしてクーデタへ」をお送りする予定です。

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