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評価を失った悪役令嬢は、すべてを見返すことにした ~誰かに決められる人生なんて、もう終わりです~  作者: ルナ・ローゼ


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第24話 壊れないもの

 ――ここからが、本番ですわ。


 その言葉を口にした直後。


 世界は、静かに――そして確実に変わり始めた。


 最初に気づいたのは、音だった。


 ざわめき。


 それはただの人の声ではない。


 迷いと、戸惑いと、そして――選択。


「……なに、これ」


 誰かが呟く。


 それは、ミレイアではない。


 別の生徒。


 だが、その表情は同じだった。


「どうすればいいのか……分からない」


 その言葉に、周囲が反応する。


 同じ感覚を共有している。


 当然だ。


 今までは、“決められていた”。


 だが今は。


 ――決めなければならない。


「……静かに」


 黒の声が落ちる。


 それだけで、空気が整う。


 強制ではない。


 だが、従ってしまう。


 それが、この存在。


「新基準の適応を確認」


 淡々とした声。


 だが、その奥にわずかな揺れがある。


「対象群、選択を開始」


 その言葉に。


 わたくしは、少しだけ笑った。


「ええ」


 頷く。


「ようやく、“生き始めた”のですもの」


 カイゼルが、横で小さく息を吐く。


「……とんでもないことをやったな」


「いいえ」


 首を横に振る。


「元に戻しただけですわ」


 その言葉に、彼は苦笑する。


「それを“元”と言い切るのが、すごいよ」


 だが。


 否定はしない。


 むしろ。


 楽しんでいる。


 その時。


「……ルナ様」


 ミレイアが、少しだけ近づいてくる。


 顔に迷いはある。


 だが、逃げてはいない。


「どうしたの?」


「……選べません」


 正直な言葉。


 いい。


 それでいい。


「ええ」


 わたくしは、優しく頷く。


「最初は、誰でもそうですわ」


「でも……」


 彼女は、手を握る。


「間違えたら……どうなるんですか」


 その問いは。


 この場の全員が抱いているもの。


 沈黙。


 重い。


 だが。


 わたくしは、迷わない。


「間違えます」


 はっきりと言う。


 その瞬間。


 何人かが、息を呑む。


「必ず」


 続ける。


「一度は」


 ミレイアの目が、大きく開く。


「……じゃあ」


「ええ」


 少しだけ笑う。


「それでも、選びます」


 その言葉は、強い。


 だが、押し付けない。


「なぜなら」


 一歩、前へ。


「選ばない方が、もっと間違いだから」


 沈黙。


 だが。


 今度は違う。


 少しだけ、軽い。


「……」


 ミレイアが、ゆっくりと頷く。


 完全ではない。


 だが。


 動き出している。


 その時。


 ざわめきが、変わる。


「……え?」


 誰かが声を上げる。


 見る。


 掲示板。


 評価。


 そこに。


 奇妙な変化が起きていた。


「……動いてる」


 数値が。


 わずかに。


 だが。


 確実に。


 揺れている。


 上下している。


「……固定されていない」


 カイゼルが、低く呟く。


 理解している。


 これは。


 ――不安定。


「いいえ」


 わたくしは、静かに言う。


「“固定されなくなった”のです」


 その違いは、大きい。


「……」


 黒が、わずかに視線を動かす。


 初めて。


 “全体”を見ている。


 その視線に、迷いはない。


 だが。


 ――確信もない。


「……確認」


 低い声。


「基準の安定性、低下」


 その一言で。


 空気が、再び張り詰める。


「……問題か?」


 カイゼルが問う。


 だが。


 黒は、すぐには答えない。


 わたくしは、その沈黙を見逃さない。


「……問題ではありませんわ」


 代わりに、わたくしが言う。


 黒の視線が、こちらに向く。


「これは」


 はっきりと。


「“当然の状態”です」


 その言葉に。


 場が、静かに揺れる。


「人は」


 続ける。


「変わるもの」


 掲示板を見る。


 揺れる評価。


「ならば、評価も変わる」


 それだけのこと。


 だが。


 それを認めるかどうかで。


 世界は変わる。


「……」


 黒は、何も言わない。


 ただ、見ている。


 その視線は。


 今までとは違う。


 測るのではない。


 ――考えている。


「……ルナ」


 カイゼルが、低く言う。


「これ、どうなると思う?」


 わたくしは、少しだけ考える。


 そして。


「崩れますわね」


 あっさりと答える。


 その一言で。


 空気が、凍る。


「……崩れる?」


「ええ」


 頷く。


「このままでは」


 掲示板。


 人々。


 そして。


 黒を見る。


「維持できませんもの」


 沈黙。


 そして。


 黒が、ゆっくりと口を開く。


「……結論」


 その一言で。


 すべての視線が集まる。


「現行基準、維持不能」


 完全な宣言。


 否定ではない。


 事実。


「……なら」


 カイゼルが、低く言う。


「どうする?」


 黒は、わずかに目を閉じる。


 そして。


 開く。


「……再構築する」


 その一言で。


 空気が、完全に変わった。


 終わりではない。


 ――次。


 わたくしは、ゆっくりと笑う。


「ええ」


 頷く。


「それでこそですわ」


 その瞬間。


 空間が、深く歪んだ。


 今までとは違う。


 これは。


 ――“作り直し”。


 そして。


 黒が、静かに告げる。


「次段階へ移行する」


 その言葉と同時に。


 世界の輪郭が、崩れ始めた。

ここで「基準が崩れる」という段階に入りました。


評価は変えられるどころか、“固定されないもの”へ。

そして物語は、「壊す」から「作り直す」フェーズへ移行します。


ここから一気にスケールが広がります。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

次話では、“再構築された世界”がどうなるのかを描いていきます。

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