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境界を歩く者たち  作者: 星渚歌唄
第4章 重ねた約束

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刺客

一和解の直後、銀と晋祐はお互いに手を伸ばし、傷つきながらも再び隣に立った。

しかし、まさにその瞬間だった。

銀の視界の隅に鋭く光るものが映る。

魔法の矢一一高速で晋祐に向かって飛んできた。


「ーーっ」


咄嗟に銀は体を跳ね、躊躇なく晋祐を突き飛ばした。

晋祐に向けられた刃を、銀が躯で受けた。

ーパシュッ

矢が肉を裂く音。矢はそのまま銀の胸を貫き、血が噴き出し、鋭い衝撃が全身に走る。

左目の虚ろな光に、怒りと決意が混ざり合う。

魔法の矢の衝撃で体が揺れるが、銀は刀を振り、矢の射手を睨みつけた。


胸に走る痛みにもかかわらず、銀は倒れず、必死に体を支え、刀を握りしめた。

「.....なにしてやがんだ、バカ」


「晋祐......俺が、お前を殺すって言っただろ。

だから、てめえが死ぬのは困るんだよ」


「.....ふざけんな!なんで、俺のために一」


「......うるせえ。俺が決めた」


銀が膝をつきながらも、刀を握る。

晋祐は銀の胸を貫いた矢を見て咄嗟に叫ぶ。


「一一誰だ!何者だ!!」


銀の庇う行動により、晋祐は無事矢を避けることができた。

しかし、銀自身は胸に矢を受けたまま、激しい痛みと戦いながらも、毅然と立ち続けていた。


銀は胸に突き刺さった魔法の矢の衝撃で、重く膝をつき、そのまま倒れ込んだ。


「ぐ......っ......」


左目の虚ろな光がかすかに揺れ、体の痛みに耐えながらも、必死に刀を握り続ける。

晋祐もまた、先程からの激しい斬り合いで全身の力が抜け、呼吸は乱れていた。

しかし、銀が晋祐を守った直後、晋祐はふと視線を屋上の周囲に走らせる。

瓦礫の影、月光に映る人影ーーその瞬間、晋祐は悟った。


「......くそ......秘刑隊か.......!」


「動くな。これより処刑を開始する」


闇を裂くように現れた、秘刑隊の影ー美蝶叶と蒲田優人。複数の影が屋上に現れ、銀と晋祐を取り囲むように立つ。

彼らの装束は黒と銀の鎧に統一され、刃や魔法道具を構えた姿は戦闘集団そのものだった。

任務専用の黒装束。冷たい目が、銀と晋祐に向けられる。


「......四天王朱雀。そして、夜叉隊一条晋祐。

お前たちは "許される存在"ではない」


そして一優人が、一歩前へ。


「嬉しいな〜あの朱雀を殺れるなんてなぁ〜?」


銀は倒れたまま、弱々しく刀を掲げる。

晋祐はすぐさま銀の前に守るように立ち、矢の傷を確認しながら周囲を見渡す。


「晋祐、俺が切り開く。お前は仕留めろ」


「.....黙れ【魔力解放】」


晋佑は【竜巻】を銀を守るように起こす。


「てめぇらの相手は…この俺だ」


ボロボロの体で刀を持って銀を守るように立ち上がる。

銀は竜巻に守られる中


「ちっ…!あのバカ!【魔力解放】」


銀な【サイコキネシス】で周囲の瓦礫や破片を操り、罠を作り、自分の刀を秘刑隊に向かって操作したり、晋祐に近づく秘刑隊を吹き飛ばす。

動きを読んで先手を取る。だが、彼の剣術が本領。

優人の【火】が爆ぜる中、晋祐は一歩も退かず斬撃で火を裂く。


「こっちは、チンケな炎なんかより熱いモン背負ってんだよ!!」


晋祐が竜巻で視界を遮断し、一気に踏み込む。

風と炎がぶつかる中、刀が閃く。


「夜叉隊は、もう後ろ暗くなんかねぇ!!」


一撃。優人の肩口を切り裂く。しかしその瞬間叶が晋祐の刀を刀で折る。


「貴様らの時代は終わりだ」


銀は竜巻の中必死に晋祐を守るように叫ぶ


「てめぇらが晋に手ぇ出すんじゃねぇよ!!!そいつを殺すのは…俺だァァァ!!!!」


しかし秘刑隊は止まることを知らない


「死ね」


「またね〜」


銀は心の底から叫ぶ。


「晋祐ー!!!!!」


秘刑隊の優人と叶が追撃に出ようとしたその瞬間。

空間がねじれ、風が静止したような違和感が走る。


「そこまでです」


冷ややかな声が風に響く。


その場に現れたのは【神代寧音】と【月星天袮】だった。

___________________________

寧音は1本前に出る。その手には、お守りのようにいつも付けている鈴のブレスレットが光を放つ。


「彼らに.....触れないでください。もう誰も傷つけさせない」


天袮は感情を見せない顔のままだがその背中には、夜を裂くように浮かぶ【異空間の月】


「てめぇらが消える場所を、用意してやるよ」


天袮が空間ごと地面を裂き、敵の足元の地形を変化させる。【異空間操作】によって、逃げ場すら封じる。

優人が炎の剣を放つが一


「それ、届くと思うなよ」


彼の足元にブラックホールのような闇が開き、熱が吸収される。続けざまに寧音が水の刃を飛ばし、優人の腕をかすめる。

天袮はその隙に異空間の球体を作っての中に銀と晋祐を入れて守るように立つ。


「寧音頼む」


「任せて」


寧音はその球体に自ら入る。天袮は包丁を構えて嘲笑う。


「ほら?俺一人だぞ?」


しかし秘刑隊は動こうとはしない。


「チッ…邪魔が入った。」


「仕方ないよ叶。ここは一旦退却しよう。無駄な戦闘は避けるべきだ」


「ほぉ〜?ま、逃げたいなら逃げればいい。その代わり


.....次は、逃げ場があるとは思うなよ」


空間が歪み、秘刑隊は姿を消す。

彼らの残した血と傷跡だけが、戦場に残る。

___________________________

天袮は異空間の球体を解除して3人を外に出す。

銀はまだ傷が深く、立ち上がれない。

寧音は2人に治癒魔法を発動させながら涙をこぼす。


「なんで......なんで2人ともこんなにボロボロになるまで......」


「.....あいつが、俺を庇った。

でも......あいつを守るのは、俺との約束だった…」


天祢は言葉を挟まず、静かに空を見上げる。

その目に一瞬だけ、怒りに似た光が灯る。


「とりあえず場所変えるぞ」

___________________________

秘刑隊の襲撃後、瀕死の重傷を負った銀と晋祐。

彼らを救ったのは、神代寧音の強力な【治癒魔法】だった。


「…助かった」


「どういたしまして。…ねぇこの目と髪はどうするの?」


「…」


銀は何も言わない。

寧音は優しく銀の失われた左目と、赤に染められた髪に手を添えた。


「......これはあなたのものじゃない。奪われたものは、きっと取り戻せるからー」


銀の左目と髪に温かい光が包む。その瞬間銀の目は再び光が戻る。

そして、燃えるような朱の髪は、元の銀色に染まりなおした。

風に乗って、月の光のように揺れるその髪は、かつて晋祐がつけた「銀」という名に、ようやく追いついた。


「…晋」


銀は元に戻った姿を見せに行く。その時銀は晋祐の首にあったはずの傷が消えているのに気づいて目を開く。


「お前…」


「もうこの傷はいらねぇんだんだよ。俺の取り戻したかったもんは…もうここにある」


傷があったはずの首を擦りながら自身の胸を軽く叩いて笑う晋祐。その瞬間、銀は俯きながら笑う。


「馬鹿なんじゃねぇの?」

陽が差し込む窓から、銀色の髪がふわりと風に舞う。

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