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境界を歩く者たち  作者: 星渚歌唄
第3章 暴走と赦しの狭間

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誓守

霧の森の中、意識を失った恋の横で、理子と結城が二人で立ちはだかる。

その時、頭上から無数の葉が舞い降りてきた。


「え.....!?な、に......この葉は!?」


理子も結城も、思わず上を見上げる。風に乗って舞い落ちる葉の量は尋常ではなく、視界を覆うほどだ。

その瞬間一ー


「僕の大切な人に、何してるの?」

葉の向こう、霧と木漏れ日の間から静かに現れたのは、心斗だった。

恋の横に立ち、守るべき者を前にした彼の眼差しは揺るぎなく、凛としていた。

手には光を帯びた魔力の痕跡が走り、森の霧を切り裂くように迫力を放つ。

理子の銃構築の動作も、結城の繊維魔法の指先も、一瞬止まった。

森の中に、緊張と静寂が張り詰める。


「さあ......ここまでにしてもらうよ」


葉が舞う森の中、心斗は恋のそばを離れず、守る姿勢を崩さない。

理子と結城の二人は、目の前に現れた"守る者”の圧倒的な存在感に、戦意を試される。

霧の森の中、意識を失った恋の横に立つ心斗。

普段は目を細めてニコニコと笑っている彼だが、今は違った。

目を見開き、真剣な怒りをたたえた瞳で、理子と結城を見据える。

そして、片手を横に広げた瞬間一ー

その場に舞っていた無数の葉や、木の枝についていた葉までもが、まるで意思を持つかのように彼の片手の先に集まった。


「.......」


葉は一瞬で渦を巻き、風に乗って舞う霧と混ざり合い、森全体を支配するかのような圧迫感を放つ。

理子も結城も、思わず立ち止まり、その異様な光景に息を呑んだ。


「僕の大切な人に手を出すな」


心斗の声が霧を切り裂き、怒りの波動が森の奥まで響き渡る。

普段の柔らかい笑顔は消え、そこにはただ、守るべき者を前にした覚悟と怒りだけがあった。

森の霧も葉の舞いも、彼の魔力によって一瞬にして戦場の中心に引き寄せられるーー。

霧の森の中、葉が渦巻く戦場の中心で、心斗は目を光らせて立っていた。

だが、ふと視線を下ろすとーー目の前で倒れてはずの恋が、そこにはいなかった。


「......ん?」


心斗は微かに笑みを浮かべる。


「この子には、手を出させない」


その言葉と同時に、彼の片手がひらりと動き、一枚の葉を拾い上げた。

その葉は光を帯び、微かに震えている。


「......これで君を守れるよ」


心斗はその葉を見つめながら、恋を魔力で完全に葉へと変換したのだ。

森の霧と混ざる無数の葉の中、恋はひとつの葉となって心斗の魔法に包まれ、安全に保護されていた。

普段の笑顔を取り戻した心斗は、葉となった恋を胸元に軽く抱き、敵に向き直った。


「さあ......残りは、君たちだけだ」


森全体が彼の魔力に支配され、葉が舞う渦の中、理子と結城の二人は戦慄し、次の一手を躊躇うーー。

___________________________

理子と結城は、目の前にいる心斗に一気に攻撃を仕掛けた。


「やるっス!凪先輩!」


理子が構築した銃を同時に撃ち、結城も繊維魔法で空中から拘束線を飛ばす。

二人の攻撃は同時に心斗へ向かい、まさに命中するーーその瞬間、


「一ーっ!?」


心斗の体は、突如として無数の葉に変化した。

腕も脚も胴体も、地面に向かってひらひらと舞い落ち、まるで森の一部となったかのようだ。


「な、なんだ.......!?」


理子も結城も、その変化に一瞬息を呑む。攻撃は完全に空を切った。

葉のひとつひとつが、光を帯びて宙に漂い、静かに渦を描く。

その中に、確かに守られているはずの恋の姿も含まれていた。


「.....ふふ、まだまだだね」


葉の中から聞こえる微かな声。心斗はすでに姿を消し、敵の目の前で戦場の支配権を掌握していた。

森の霧と混ざる葉の舞い一一理子と結城は、改めて敵の圧倒的な存在感に震える。

無数の葉が舞い、霧と混ざって視界を奪う森の中。

心斗は葉の魔法を自在に操り、理子と結城を翻弄する。葉が縦横無尽に飛び交い、二人の攻撃はことごとく空を切る。


「どこだ......!」


理子の視線は、ただ一つ一一意識のない恋を捕まえることに集中していた。

葉が渦を巻き、心斗の姿はどこにもない。だが、理子には分かっていた。

この混乱の中、恋を守っているのは一一間違いなくあの男心斗だと。


「絶対に......あの葉の中にいるはずだ」


理子は拳を握りしめ、目を凝らす。葉の一枚一枚が光を反射し、微かに揺れる動きが見える。

心斗は葉を操り、森中に散らしながらも、微かに葉を手元に引き寄せる。

理子は拳を握りしめ、目を凝らす。葉の一枚一枚が光を反射し、微かに揺れる動きが見える。

心斗は葉を操り、森中に散らしながらも、微かに葉を手元に引き寄せる。

理子の集中は、恋を見失わないために研ぎ澄まされ、彼女の攻撃は次第に葉の中の"核心"を狙うようになっていく。


「......その女さえ捕まえれたら私らの勝ちっすね」


理子の心の奥で、恋を奪うという決意が、攻撃の精度を高める。

葉の舞う森で、心斗と理子ー一守る者と奪う者の存在が、見えない糸で結ばれたまま、静かに、しかし激しく戦場を支配していた。

___________________________

理子は葉の中の恋を狙い、全力で魔法を込めて攻撃を仕掛けた。

鋭い光を帯びた魔力が葉に向かって飛ぶーー

しかし、心斗はわずかに身をかわし、ニヤリと笑った。


「命よりも大切なものって、どこにあれば守れると思う?」


理子が目を見開く中、心斗は素早く葉を操り、彼女の胸元からひとつの葉を取り出した。


「正解は一一相手の急所だよ」


そして、その葉を魔力で刃状に変化させ、掌に握りしめる。


「さようなら」


その瞬間、心斗は葉で作った刀を振るい、理子と結城の二人を同時に切り裂いた。

無数の葉が舞う森の中、二人は防御を試みたものの、心斗の圧倒的な魔力と正確無比な技によって、あっという間に攻撃を防がれ、戦闘の主導権は完全に心斗の手に握られた。

葉の渦の中、守られるべき恋は安全に包まれ、心斗の鋭い眼差しは、まだ戦う敵たちを冷徹に見据えていた。

___________________________

地面に降り立った瞬間、心斗の手元で微かに光っていた葉は、ふわりと元の恋の姿に戻った。


「よし、これで安心だ」


無意識に恋をお姫様抱っこするように抱き上げ、心斗は慎重に歩みを進める。

彼女の体はまだ意識が戻っていないが、その柔らかさと温もりを確かめながら、全身で守る覚悟を示していた。

森の霧と舞う葉の中、周囲の敵の動きにも目を光らせながら、心斗は恋を安全な位置まで運ぶため、一歩一歩確実に前進する。


「悪いけど......恋ちゃんだけは、絶対に手を出させないよ」


心斗の低く響く声は、森全体に静かな威圧感を放った。

恋を抱く腕の力が、自然と増していくーー彼にとって、守るべき存在は命よりも大切なのだ。

森の霧に包まれながらも、心斗の視線は常に周囲を巡り、敵の隙を見逃さない。

葉の魔法で一度守られた恋は、今や心斗の腕の中で、完全に安全な存在となった。

___________________________

森の中、心斗は恋を抱きながら慎重に歩を進めていた。舞い散る葉と霧の間、彼の目は常に周囲を戒している。


「絶対に、恋ちゃんには手を出させないよ.....」


その時遠く、微かに紫色の光が揺れる。

彩姫だ。

彼女は強い魔力の波動を放ちつつ、ピーターと共に森の中を進む。


「心斗!恋は無事?」


彩姫の声が霧の中に響く。


「大丈夫だよ。彩姫。ピーター......ここからは任せてもいいかな?」


短い言葉の中にも、恋を守り抜く覚悟が込められていた。ピーターは微笑み、彩姫に小さく合図を送る。


「よし、このまま全員で森を抜けるんだ」


まだ寧音と天祢は合流していないーーそれでも、今ここにいるのは、戦力の半分だけ。

心斗は恋をしっかり抱き、仲間たちとともに森を進むことで、未だ霧の奥に潜む敵から恋を守り抜く。

彩姫は恋の姿を確認し、静かに微笑む。


「はぁ......無事でよかった」


森を抜ければ、残る仲間とも再び合流できる。だが今は、恋を抱く心斗と、彩姫、ピーターーーこの三人の力で生き延びるしかない。

霧に包まれた森の中、音は足元の葉や枝を踏みしめながら慎重に進む。

どこを歩いても同じ景色が続き、迷い込んだような感覚が胸を締め付ける。


「......ここ、なんだか変…」

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