夜叉隊 水瀬奏羽
霧の森に、紫の髪が揺れる。
彩姫は警戒を解かず、前方の少女を見据えた。
「.....あなたが、私の相手?」
彩姫は手をかざし、光の魔力を準備する。
少女はにこりと微笑み、バイオリンを抱えたまま小さくお辞儀する。
「ええ、そうですわ。私は水瀬奏羽一一弦を操る魔法使いですの」
彩姫は眉をひそめる。
「弦…....?」
奏羽は頷き、バイオリンの弓をゆっくりと弾く。
「この弦で、斬ることも拘束することもできますの。振動と魔力を組み合わせて、いろいろな戦い方ができるんですわ」
その声はおっとりして柔らかいが、目は鋭く光っている。
「ふふっ......面白そうね、戦い方も、性格も」
彩姫は笑みを返し、覚悟を固める。
奏羽は少し頬を赤らめて、小さく息を吐いた。
「でも......私は、戦うときは本気ですわよ?あなたも覚悟してくださいね」
霧の中で二人はにらみ合う。
紫魔女と弦使い一一異なる魔法の力が、やがてぶつかり合う瞬間が迫っていた。
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突然、空間に細い弦が走り、霧の中で鋭利な光を帯びる。
「音律刃......!」
彩姫は反射的に魔力を集中させ、振動を感知。弦の刃が彼女の周囲をかすめて切断線を描く。
「くっ......!」
奏羽は微笑みながら弓を引くように手を動かし、弦の刃を次々と生み出す。
その速度は圧倒的で、距離を取りつつも、彩姫の動きを封じるように張り巡らされる。
彩姫は咄嗟に魔力を掌に集め、光の障壁を瞬間的に展開。弦の刃を防ぎつつ、周囲の霧を巻き上げ、視界を隠す。
戦場は霧と魔法の光、そして鋭い弦の振動が混ざり合い、互いの技量が火花を散らすー。
彩姫は光の魔法を操りながら、仲間のことを考え、敵を封じ込める最善の動きを探っていた。
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霧の中、鋭い弦の刃が次々と彩姫を襲う。
「くっ......!」
奏羽はバイオリンを弾くたびに、空間に弦を張り巡らせ、彩姫の動きを封じようとする。
「共鳴の檻......これで動けないはずですわ!」
だが彩姫は光の魔力を集中させ、霧と弦を一瞬で焼き切る。
「これくらい......なんてことない!」
奏羽の目が一瞬見開かれる。
「なっ......!?」
彩姫は光を刃状に変え、霧ごと弦の結界を斬り裂く。
弦の振動を感じながらも、彼女は動きを止めず、精密に敵の動線を読んで距離を詰める。
「あんたの魔法......面白いけど、私には通用しない!」
彩姫が手を前に突き出すと、光の波動が森の霧を切り裂き、奏羽の周囲に渦巻く弦を一掃。
弦の刃が砕け、奏羽は思わず後退する。
「まだ......終わらない......」
奏羽は弓のように手を動かすが、彩姫はその動きを完全に読んでいた。
光の刃が一閃一一弦の刃をはじき飛ばし、奏羽を背後の霧へ押し戻す。
「これでどう?」
彩姫の瞳が鋭く光り、圧倒的な力を見せつける。
奏羽は必死にバイオリンを守るように抱え込むしかなかった。
戦場に静寂が訪れる。
霧の中で、紫の髪が揺れ、光が森を照らす。
圧倒的な実力差を前に、奏羽は動きを封じられ、彩姫の反撃は完全に成功したーー。
「思った以上に手応えなかったな…」
彩姫は気絶している水瀬をそのままにして、はぐれた仲間を再び探しに向かった。




