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境界を歩く者たち  作者: 星渚歌唄
第3章 暴走と赦しの狭間

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夜叉隊 結城凪

霧はますます濃くなり、六人の視界を容赦なく奪っていく。霧の揺らぎが仲間の輪郭を歪ませ、距離感を狂わせる。


「ちょ、ちょっと待って!」


彩姫の声は霧に吸い込まれ、思ったよりも遠くまで届かない。

天袮は前方に進もうとするが、霧に足元を隠され、彩姫やピーターとの距離が一瞬で開く。


「.....やつら、こちらの動きを読んでる.....のか?」


冷静に判断しつつも、無意識に視線が散る。

ピーターは彩姫の位置を確認しようと声をかけるが、霧のせいで声がかき消され、彩姫の姿が一瞬見えなくなる。


「彩姫!」


恋はピーターの隣で声を震わせる。


「......心斗くん......どこ......?」


霧の中で、六人は少しずつバラバラになり、それぞれが孤立していく。

視界の片隅で、黒コートの男や三人の敵の影が、霧の中を静かに滑るように動いている気配がした。

戦いはすぐそこーーしかし、六人の連携はすでに、霧に引き裂かれようとしていた。

霧が濃く立ち込める森の中、六人は完全にバラバラになっていた。

ピーターは足音を止め、周囲の気配を探る。

すると、霧の奥からゆっくりと姿を現す影一一口元を布で覆った男が、冷ややかな視線を向けてきた。


「......見つかったか。」


ピーターは身構え、手を光にかざしながら距離を取る。男の動きは静かだが、戦いの意思が滲み出ていた。

一方、彩姫は紫色の髪を揺らしながら進むが、突然視界の端に小さな黒い影がち

らつく。

その影が形を成すと、バイオリンを抱えた女が立っていた。


「ふふ.....あなたが紫魔女ね?」


彩姫は魔法の光を召喚しようと手を伸ばすが、霧で距離感が掴めず、慎重に構えるしかなかった。

恋は霧の中で、足元に潜む気配に気づき、身を低く構えた。

そして銃を構築魔法で手にした女が姿を現す。

恋は霧の中で、足元に潜む気配に気づき、身を低く講えた。

そして構築魔法で作ったであろう銃を手にした女が姿を現す。


「......さあ、終わりっすよ。」


恋は握った拳を固め、戦う覚悟を胸に秘める。

森の霧は静かだが、四方八方に不安と危険を孕んでいる。


それぞれが孤立し、目の前の敵だけに集中せざるを得ないーー。


戦いの幕は、静かに、しかし確実に上がったのだった。

___________________________

霧の中、ピーターは驚戒を解かず、足を止めて凪を見据えた。

その瞳は冷静で、敵の魔法の動き一つ一つを読もうとしている。

すると、ゆっくりと一歩前に出た。


「.....初めまして、ですね?紫魔女の守り人ピーターさん?」


穏やかな声に、森の霧もかすかに揺れるような静けさがあった。彼はにこやかに頭を下げ、敬語で続ける。


「初めまして。僕は夜叉隊が1人。結城凪(ゆうきなぎ)と言います。少しだけ、僕の魔法のことを......」


ピーターは少し眉をひそめる。敵が自己紹介をするのは珍しい。

凪はにこにこ笑いながら、手元の糸をくるくると弄る。


「空間中の"繊維”を、僕は自由に扱うことができます。服でも布でも、空中の微細な糸や塵でも。束ねる、伸ばす、切る、編む......使い方は色々です」


「......なるほど?

素直に自分の手の内を明かしてくれるとは…なんとも親切な敵だね?」


ピーターは小さく息を吐き、警戒を解かずに返す。


「君の魔法......かなり厄介そうだな」


凪はにこやかに軽く笑った。


「力はあまりないんですけどね。でも、このくらいなら......失礼しますね」


糸が霧の中に静かに伸び、次の瞬間、森の地面や木々を伝って、巧妙な罠を作り始めたー。

結城凪の言葉と同時に、空気の中に無数の細い糸が伸びた。地面を這い、木々に絡まり、まるで森そのものが凪の操る網のように変化していく。

ピーターは反射的に後ろに飛び、太陽の光を手に集めて盾のように構える。


「くっ......拘束魔法か」


糸は静かに、だが確実に彼の動きを封じようと迫ってくる。凪はにこやかに微笑む。


「ほら......逃げられませんよ、ピーターさん」


穏やかな声の裏に、計算された冷静さが隠れている。

ピーターは光の刃を繰り出し、霧ごと糸を切断。

だが凪は慌てず、即座に新たな糸を編み、地面から天井まで張り巡らせる。


「これでも......まだ逃げられません」


一瞬の隙を見せた瞬間、糸が手首や足元に絡みつき、巧妙に動きを封じる。

ピーターは光を集中させて糸を焼き切りつつ、一歩ずつ前に進む。


「君の魔法......侮れないな」


凪はさらに手を動かし、霧の中で糸を束ねて鋭い切断線を作る。


「僕は前には出ません、後ろからのサポートですから」


にこやかに笑いながら、冷静にピーターの動きを縛る一ーまるで影がもう一人、そこにいるかのように。

森の霧と繊維が交錯し、光と糸の駆け引きが続く。

二人の戦いは、静かな森を舞台に、しかし絶対に逃げられない戦場となったー。

___________________________

糸が森の霧に絡み、ピーターの動きを阻む。

だが、彼の瞳には焦りはなく、冷静そのものだ。


「なるほど......こういう動きか」


ピーターは一瞬の間合いを見極め、光を手のひらに集める。

焼き切ってもすぐに再生する凪の糸を前に、普通なら翻弄されるはずだ。

しかし、ピーターは動きを読み、光で霧ごと糸を炙り、攻撃の流れを崩していく。

凪はにこやかなまま、手元の糸を操る。


「これでもう逃げられませんよ......」


糸が東になり、ピーターの足元や腕に絡もうとする。

ピーターは瞬時に太陽の光を刃状に変え、絡む糸を斬り裂いた。


「そう簡単にはいかないよ」


次の瞬間、光の衝撃が霧を裂き、凪の足元を襲う。

凪は慌てずに新たな糸を作るが、ピーターの速度は圧倒的だ。

糸が空間を移ろう前に切り裂かれ、結界もあっという間に破られる。


「......くっ......!」


凪の笑顔にわずかな焦りが滲む。


「僕は......まだまだ......」


ピーターは光を纏い、迫る糸を斬り払いながら一歩ずつ凪に接近する。

凪が後方支援に徹しても、ピーターの速度と判断力には太刀打ちできない。

そして、光の渦が凪を包み込み、糸の操作も封じられる。


「もう、これで終わりだ」


ピーターの瞳が冷たく光り、凪は完全に制圧されたーー

霧の森に、勝者の静けさだけが残る。ピーターは深く息を吐き…


「早く彩姫のとこに行かないと」


次の仲間のもとへと駆け出した。

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