【1分小説】星空の下で
都市の喧騒から少し離れた、静かな丘に建つ天文台がある。星野リナという女性はそこで、夜ごとに星空を眺めながら研究に没頭している。
リナの恋人、空良ケイは都市で働くビジネスマン。
二人はお互いの仕事の関係でなかなか会うことができなかった。
しかし、毎年7月7日の夜だけは、星空の下で会う約束をしていた。今年もその日が近づき、リナとケイは再会を楽しみにしていた。
しかし。
「ごめん! 今年の七夕、無理かも〜!!」
リナは天文台での観測が忙しく、時間が作れなさそうだった。
「ごめん! 俺も今年は無理そうかも……」
ケイも急な仕事に追われ、なかなか時間を作れないでいた。
リナは星空を見つめながら、ふと思う。
「織姫と彦星は毎年会うために一体どれだけ努力をしているのだろう」
決意したリナは、研究の合間を縫ってケイにメッセージを送った。
「今夜、星空の下で待っています。」
夜遅く、天文台に到着したケイ。リナが用意した望遠鏡を使って星空を見上げた。
二人は静かに手を取り合いながら、織姫と彦星が再会するその夜を共有した。
彼らの愛もまた、星空のように輝き続けていた。
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